建設DXを目指してオートデスク製品を導入

少人数でも高効率で施工するため、人手不足を補う“道具”としてBIM/CIMソリューションを活用

株式会社加藤組 導入事例

建設業101~1,000名製品の導入・活用支援営業・業務プロセス効率化

総合建設会社株式会社である加藤組は、土木・建築現場における人手不足を解決する体制構築を視野に入れ、オートデスクの建設業向けBIMソリューション『AECコレクション』をはじめ、複数のシステムを導入・活用。業務最適化を実現するシステム連携を行う一方、研修サービスを利用しながら人材育成にも力を入れている。

  • 建設DX
  • 人材不足への対応
  • 生産性向上
  • 事業価値の創造

2022年10月取材

株式会社加藤組

導入先の概要

業種
土木・建築業
事業内容
社会インフラの保守を主軸とする土木・建築事業
従業員数
142名(2022年10月時点)
ホームページ
https://kato-gr.com/

導入の狙い

  • 少人数で現場を回せる体制を整えたい
  • 3D CADの利用を前提とした人材教育や採用を強化したい

解決策

  • オートデスクの建設業向けBIMソリューション『AEC Collection』を導入
  • CADの技術研修サービスを利用し、専門性を高める社員教育を実施

導入したメリット

導入システム

製品カテゴリー製品名・型番お問い合わせ
3次元CADAutodesk Architecture,
Engineering & Construction Collection
(AECコレクション)
お問い合わせ
3D点群処理システムTREND-POINTお問い合わせ

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株式会社加藤組 導入事例(PDF:3,964KB)

導入事例詳細

社会インフラの保守を主軸に、土木・建築事業を展開

取締役土木部長 原田 英司氏

株式会社加藤組(以下、加藤組)は、広島県三次市に本社を構え、国土交通省、広島県、三次市の公共工事を中心に、土木・建築および保守工事を行っている総合建設会社だ。

創業は1935年。1957年に会社を設立し、その後、長きにわたって地元の道路や河川、ダムなどの社会インフラ建設に携わってきた。現在は、そうした社会インフラの保守を事業の主軸としている。

「工事に限らず、夏は除草、冬は除雪など、インフラ保守のための作業は多岐にわたります」と説明するのは、取締役土木部長の原田 英司氏だ。事業の一つとして災害復興も行っており、地元だけでなく、全国の被災地の災害復旧や支援、防災対策などにも貢献している。

地元の三次市は、わずか人口5万人の市だが、この規模にしては、国道や高規格道路といった国のインフラが非常に多く集中しており、これは全国でも珍しいそうだ。その保守工事は安心安全な街づくりを担う加藤組にとって、非常に重要な仕事となっている。こういった環境から、事業の主軸は国・県・市の公共事業になっているが、新設の工事がある場合は出向いて対応も行う。一般的に総合建設会社は施工管理だけを行い、実際の工事は下請けの会社に回すことが多いのだが、同社は現場作業員やオペレーターを社内に擁していて、ある程度の工事は自社のリソースだけでも行える。加藤組の対応力の幅広さが、強みになっていると言えよう。

建設DXを積極的に推進し、国土交通大臣賞を受賞

建設DXを推し進める加藤組では、現場も経験している社員が3次元設計データの作成技術を学び、実用している

加藤組は、i-Constructionをはじめとする建設DXに積極的に取り組んでいることにも定評がある。

平成30(2018)年度には、ICT建機による施工が困難な国道の歩道工事を独自の方法で実施し、i-Construction大賞の国土交通大臣賞を受賞した。

「当社はi-Constructionが本格的に動き出す前から、国が示す将来の方向性に沿って、いち早くi-Constructionをはじめとする建設DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んできました。その成果がこの評価につながったのだと思っています」と原田氏は振り返る。

DXを推進するには相応の投資が必要だが、加藤組の代表取締役である加藤 修司氏はIT企業に従事していた経験があるため、建設DXの必要性に関する理解が深い。進化が目まぐるしいCAD製品の選定に当たってもグローバルな視点で情報を捉え、世界水準を指標として、i-Constructionに対応したソフトウェアや機器の導入などに積極的な投資を重ねてきた。

スタートアップ企業ともコラボレーション

加藤組が建設DXに力を入れているのは、将来の人材不足を見据えてのことである。人口減少で構造的に人手が減っていることに加え、若い世代の多くが建設業で働くことに魅力を感じていない現状がある。

「このままでは、地域を守るための社会インフラ保守の担い手がいなくなってしまうという強い危機感を持っています。当社だけでなく、地元にとっても大きな課題です。建設業の魅力を発信して人材を獲得する努力は続けていきますが、一方で、少ない人数でも保守を行っていけるような体制を整えなければなりません。そのために、建設DXに積極的な投資を行っています」と原田氏は説明する。

DXは文字通りデジタルの利活用によって、従来の仕事のやり方を変革する取り組みだ。それを推進するには、建設業以外の技術や知見を積極的に採り入れることが不可欠である。

加藤組は先端的な工法や通信の技術を持つスタートアップ企業とコラボレーションを行っており、それによって自社の建設DXを進化させようとしている。「建設業とのしがらみがないスタートアップ企業からの提案は目からうろこが落ちる発想や提案が多く、とても刺激になっています」と原田氏は語る。

世界水準を指標にAutodesk社の『AECコレクション』を選定

『Civil 3D』で作成した3D設計データを『TREND-POINT』に合成することで施工イメージをシミュレーションできるため、現場での効率を飛躍的に向上させている

一方で、加藤組が建設DXの一環として積極的に取り組んでいるのは、BIM/CIMソリューションの活用である。同社は大塚商会を通じて、3D測量や設計、施工のためのさまざまなソリューションを導入している。その一つが、Autodesk社の建設業向けBIMソリューション『AECコレクション』だ。

『AECコレクション』は、多様なBIMソフトウェアを使用して、建設の計画、設計、施工、管理が行える『Revit』、3Dで土木設計や設計図書作成ができる『Civil 3D』、干渉チェックや5D解析が行える『Navisworks Manage』など、複数のソフトウェアが利用できるパッケージ製品だ。

『AECコレクション』を選定した理由について原田氏は、「3Dソリューションの世界標準であるAutodesk社の製品であることが決め手の一つになりました。汎用性が高いだけでなく、パッケージされているソフトウェアの種類が充実しており、コストパフォーマンスも高いと感じました」と説明する。

大塚商会の研修サービスを利用

土木の分野における3D設計データの活用。橋台モデルと地形を合成し、現場で活用できるデータ作成を行っている

同社が大塚商会を通じて『AECコレクション』を導入したのは、Autodesk社製品以外にも数多くのBIM/CIMソリューションを取り扱っており、最適な製品の組み合わせや、活用法のアドバイスといったサポートが期待できると考えたからだ。

さらに大塚商会は、3Dソリューションを活用できる人材を育成するための研修サービスも行っている。加藤組は、この研修サービスを利用して、導入したソリューションを使いこなせる人材を育てることにした。

「初心者編と応用編の二つのコースが用意されており、両方を契約しました。初心者編は若手社員を中心に学ばせましたが、マンツーマンで指導してくれるので理解が早かったようです。目標としては、30代の社員全員が3D CADを使いこなせるようになってほしいと考えています」(原田氏)

ただし、使いこなせるようになるためには、ある程度、施工現場の経験が必要だと原田氏は考えている。

「当社が目指しているのは設計ではなく、施工の効率を良くするための3Dデータの活用です。これを実現するには、丁張(ちょうはり)などの現場作業をある程度経験してもらってから、3D設計に取り組ませる必要があります。現場の経験がないと、実際には使い物にならない3D設計であることに気づかない恐れがあるからです」

施工効率を上げ、人手不足の課題に対応するという本来の目的を果たすためには、これから加藤組を担う世代にとって3D設計技術が基本スキルとなる教育が不可欠だと考えているのだ。

限られたマンパワーで、工事や保守ができる態勢を目指す

運動施設の3D点群データ。加藤組は建築分野にも積極的にBIM/CIMソリューションを取り入れ、施工効率の視点から最適なソリューションを選択し、活用している

加藤組は、実際の土木建築作業において、『AECコレクション』をはじめとするBIM/CIMソリューションを徹底活用している。具体的には、3D計測装置による施工現場の現状把握(測量)、それに基づく3D設計、ICT建機などを使った施工、工事完了後の計測、完成したインフラ維持・管理などだ。BIM/CIMをライフサイクルの全般にわたって活用し、少ない人手でも効率良く作業が行える体制を整えつつある。

「まだ、BIM/CIMを使いこなせる人材が十分に整っているとは言えませんが、教育の継続によって、限られたマンパワーでも工事や保守ができる体制を整備していきたい」と原田氏は今後を見据えている。

“適材適所”でソリューションを使い分ける

同社は現在、どの作業には、どのソリューションが適しているのかという検証作業も行っている。「『AECコレクション』にパッケージされているソフトウェアはどれも優れていますが、個別の作業に当てはめると、むしろほかのソリューションのほうが使い勝手が良い場合もあります。当社は、大塚商会さんを通じてさまざまなBIM/CIMソリューションを導入しているので、状況に応じていろいろなソリューションを試し、“適材適所”で使いこなしていきたいと考えています。これまでさまざまなソフトウェアを試してきた経験から、ようやく今は業務最適なシステム選定をできるようになったと感じています」(原田氏)

試行錯誤を重ねる中で、『AECコレクション』は作業プロセスを時系列で設計する「4D設計」に適していることが分かってきた。「今後はその特性を生かして、施工を効率改善するだけでなく、手戻りのない工程管理を実現したい」と原田氏は語った。加藤組の建設DXは、さらに加速しそうだ。

大塚商会担当者からのコメント

「“適材適所”のBIM/CIMソリューションを提案します」

株式会社加藤組様は、作業に応じてBIM/CIMソリューションを上手に使い分けておられます。これからも、ご要望に応じて“適材適所”のソリューションを提案できるように努めます。

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  • 印刷して上司への説明に
  • 印刷して稟議書に添付して
  • 印刷して会議資料に

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  • * 本事例中に記載の肩書や数値、社名、固有名詞などは取材時点のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

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