製品原価の正確な把握で、売価の妥当性に確信

製販一気通貫システム+5S活動で在庫と原価の管理精度が格段にアップ。明確な納期回答で顧客への信頼性向上

川辺農研産業株式会社 導入事例

製造業1~100名ERP・基幹業務・業務管理営業・業務プロセス効率化コスト削減・売り上げ向上

「トレンチャー(溝掘り機)」をはじめとする特殊農機を製造・販売する川辺農研産業株式会社は、生産管理と販売管理を統合した一気通貫型システムを導入。在庫管理と原価算出の精度が向上するとともに、明確な納期回答で顧客への信頼性向上や、売掛先の入金遅れが解消されるなど、各部門で業務効率向上が実現した。

  • 業務の効率向上
  • 在庫管理の最適化
  • 原価計算の精度向上

2020年10月取材

川辺農研産業株式会社

導入先の概要

業種
製造業
事業内容
農業用・土木用トレンチャー、硬盤破砕・地中深耕用バイブロスーパーソイラー、各種根菜類収穫用オプションアタッチメントなどの製造・販売
従業員数
28名(2020年10月現在)
ホームページ
http://www.kawabenoken.co.jp/

導入の狙い

  • 生産管理システムと販売管理システムを統合運用したい
  • 複雑な原価計算を短時間で正確に行いたい
  • ストック部品の在庫を適正に管理したい
  • 多様な書式の伝票類を自在に発行したい

解決策

  • 生産と販売を一元管理できる製販一体型のパッケージシステムを運用
  • 指定伝票の発行などを可能にするCustom AP Builderの活用

導入したメリット

導入システム

製品カテゴリー製品名・型番お問い合わせ
基幹業務システム生産革新 Fu-jin SMILE Vお問い合わせ
アプリケーション開発ツールSMILE V Custom AP Builderお問い合わせ

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導入事例詳細

自社開発の特殊農機を製造・販売し、栽培農家の作業負担軽減に貢献

代表取締役社長 川辺 一成氏

東京都稲城市に本社を置く川辺農研産業株式会社は、トレンチャーをはじめとする特殊農機を製造・販売する企業である。創業は1959年。もともと土木工事用の機械であったトレンチャーを農業用に改良して販売し、ゴボウ、長イモ、ダイコンなど主に根菜を栽培する農家の収穫作業の省力化を実現した。同社の製品は深層施肥溝掘りや、天地返しをするハウス農家や果樹栽培農家でも用いられるようになり、土づくりの重労働を軽減。その後、重量のある耕運機によって踏み固められた畑周りの土を、掘り返さずに柔らかくほぐす「スーパーソイラー」なども開発し、農作業の負担軽減と効率アップに貢献している。

「当社は大手農業機器メーカーの手が回らないニッチな製品を専門に手掛けてきました。トレンチャー、スーパーソイラー、長ネギの掘り取り機などを主力製品としながら多様な特殊農機を製造し、開発から組み立てまで全て自社内で行っています」と話すのは、代表取締役社長の川辺 一成氏。

近年は農業分野も離農や後継者不足による深刻な人材難に直面しており、少ない人手で農作業をするために効率改善を図ることが求められている。農家の作業負担を軽減する特殊農機を提供することで、そうした課題の解消に尽力することこそが自社の使命だと川辺氏は語る。

原価計算と部品の在庫管理を適正にすることが長年の業務課題

同社の主力モデル「NF-843LH」自走式であるため部品点数も200点を超えている

外部から購買した部品を組み立てて農機を製造する同社は、受注に即応できるよう主要製品の部品を常時ストックして一定ロット数にて生産を行っている。基本的には農機を1台生産するごとに、使用した部品を補充するという方式を採っているが、農機の需要が増す農繁期前には十分な量の部品をストックしておく必要がある。しかし、在庫過剰になったり保守部品として出荷されてしまったりと、現場での部品在庫管理にも課題があった。つまり、製造現場の「どこに・どの部品が・どれだけあるのか」などを含めた「5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)」の改善も同時に必要だったのだ。中でも同社の主力モデルである自走式トレンチャー「843シリーズ」は、構成部品が200点を超えるため、部品在庫の課題とともに、正確な原価算出が困難という課題も抱えていた。

同社はそうした状況の改善と業務効率の向上に向け、2004年に生産管理システム『TECHS』と販売管理システム『SMILEα』を導入した。しかし取り扱い部品のアイテム総数は約1万2,000点と膨大なことから、部品マスターの登録作業が思うようにはかどらず、在庫管理をはじめとする各種機能を使いこなせずにいたという。

生産管理と販売管理を一元化させたい

「システムをうまく使いこなせなかったため、自社工場における生産管理には『TECHS』、販売管理には『SMILEα』と、それぞれシステムが個別に運用されている実態がありました。そのため発注仕入れの入力も無駄な重複作業が必要で非効率だったのです」と、製造部 工務課 主任の長田 守氏は振り返る。

マスター登録ができずにいたため、『TECHS』に備わる機能を十分に活用できず、原価計算は手作業で行うしかなく正確な在庫も把握できずにいた。社内からは「二つの基幹システムが独立して運用されているのは不都合なので、生産管理と販売管理を一貫して行える統合システムが欲しい」という声が上がっていた。『TECHS』と『SMILEα』の導入から10年後、同社は生産管理と販売管理を統合する新たなシステムによって、あらためて業務改善を断行することを決断した。

マスターデータを完備したことで原価計算と在庫管理の精度が向上

製造部 工務課 主任 長田 守氏

まず、コンサルタントによって「5S」を徹底するための取り組みが行われた。それと並行して大塚商会によるシステム統合化の提案がなされた。もともと、個別受注生産に特化した生産管理システムを導入していたが、むしろ標準構成部品による組立業向けパッケージが適していることを踏まえ、製販一気通貫を実現したパッケージシステム『生産革新 Fu-jin SMILE BS2』(以下、『Fu-jin』)の導入を決定した。

「本格的な運用開始に先立って、大塚商会の担当者のサポートを受けながら、正確な原価計算ができるようアセンブリー単位の構成部品の細目をマスターデータとして登録しました。その作業に半年ほどの期間を要しましたが、おかげで原価算出と在庫管理の精度が、以前とは比較にならないほど向上しました」と長田氏は語る。

構成部品のマスターデータが完備すれば、おのずと製品の原価が明確になる。原価をはっきり割り出せれば、売価も適正化できる。かつては値上げすることを躊躇(ちゅうちょ)していたが、『Fu-jin』導入後は「部品原価の正確な把握が可能になり、売価の妥当性に確信が持てるようになった」と川辺氏は語る。

業務効率を一層高めるため最新バージョンへの切り替えを実行

『Fu-jin』には受注生産量に応じた所要量計算を行ったうえで、現在庫数を考慮し、適切な有効在庫数を時系列ではじき出す機能が備わっている。また、各品目の構成レベル・リードタイムを考慮し、不必要な先行購買による過剰在庫リスクも防止。以前は農機の受注時に必要な部品が欠品となっていることを恐れるあまり、つい過剰在庫になってしまう傾向があったが、そうした状況も是正された。『Fu-jin』には、部品ごとの在庫個数だけではなく、保管場所も情報として入力することが可能だ。この導入を機に製造現場で「5S」に取り組むようになった成果もあいまって、以前のようにどこに保管されているか分からない部品を探す無駄な時間をなくすことに成功した。

「棚卸資産が多いことも当社の課題でしたが、『Fu-jin』の運用後はそれが解消し、実在庫との差が少なくなっているという実感があります」(川辺氏)

同社は、指定伝票や送付状を発行するためだけにミドルウェアの事務用コンピューターを使っていた。しかし『Fu-jin』の運用を開始した3年後に大塚商会の提案を受け、SMILE V 開発ツール『Custom AP Builder』(以下、『SMILE CAB』)を追加導入し、必要な帳票類を発行できるようになった。また、製品ごとの構成部品や生産計画の工程を俯瞰(ふかん)するため、画面に表示したい項目を自在にレイアウトすることも可能になった

2019年には、業務生産性をさらに高めるべく、最新の『生産革新 Fu-jin SMILE V』にバージョンアップ。材料の所要量計算や原価の積み上げ計算が、以前より速くなったことを感じていると長田氏は言う。また、補用部品を仕入れるべきタイミングなどがよりスムーズに把握できるようになった結果、お客様への明確な納期回答が可能となったことも川辺氏は高く評価する。

一元管理のデータ活用で経理部門の業務生産性も大幅に向上

生産現場だけでなく、経理業務においても大きな業務効率向上をもたらした

最新の『Fu-jin』は生産管理・販売管理のみならず、経理の業務効率も高めた。経理部門の担当者からは、「締め日や入金サイクル等の細かな情報を得意先データとして登録することで、より正確な納品書と請求書の発行が可能となった」、「請求書を以前より早く発行できるようになり、繰越残高も記載されるのでお客様からの入金遅れがなくなった」、「毎月の売上明細の集計・回収予定表を活用することで半年先までの入金予定が分かり、経営に欠かせない資金繰り情報を得られるようになった」と効果を伝える意見が上がっている。

「さまざまな業務に潜んでいた無駄を省くとともに、原価や在庫をしっかり把握できるようになったことで、社員全体の仕事に対する意識が高まったことも、大きな効果の一つです」(川辺氏)

さらなる管理精度のアップで業務改善を目指す

材料の仕入れ担当者である長田氏は、原価管理と在庫管理を今以上に正確なものにするとともに、『Fu-jin』に蓄積されたデータを分析し、より適切なタイミングで購買することで仕入れ額を低減させることを今後の課題として挙げる。

『Fu-jin』によって業務改革を実現した川辺氏も、現状に満足することなく、さらなる業務効率の向上を目指す構えだ。「当社は年配の社員が多いこともあり、以前はITの導入に前向きではありませんでしたが、大塚商会さんの厚いサポートを受け業務に不可欠なシステムをしっかり運用できるようになりました。多彩な機能がありますが、まだ使いこなせていない部分もありますので、引き続き活用に関する多角的なアドバイスをお願いします」と、大塚商会への要望を口にした。

大塚商会担当者からのコメント

「今後も業務効率向上につながる提案を積極的に行います」

農機製造に必要な多数の部品を仕入れる川辺農研産業株式会社様の生産・販売管理業務を効率改善できたことをうれしく思います。さらなる生産性向上に貢献できるよう、引き続き全力でご支援します。

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  • * 本事例中に記載の肩書や数値、社名、固有名詞などは取材時点のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

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