『kintone』を活用して庁内DXを積極的に推進

課ごとに管理していた農業者情報を一元管理し行政サービスの品質を向上。ため池ポータルで情報共有を円滑化

広島県 導入事例

官公庁・自治体1,001名~製品の導入・活用支援営業・業務プロセス効率化

広島県農林水産局は局内のDXを推進するため、『kintone』を導入。大塚商会による伴走支援の下で内製化を進め、150以上ものアプリを開発した。農業生産者情報の一元管理による行政サービスの品質向上、ため池ポータルの構築による情報共有の円滑化など、庁内外での活用と業務効率化が進んでいる。

  • 業務効率の向上
  • 情報共有の強化
  • 事業価値の創造

広島県

導入先の概要

業種
地方自治体
事業内容
行政
職員数
5,901名(2022年4月1日現在)
ホームページ
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/

導入の狙い

  • 局内におけるDXを推進したい
  • データの利活用を促進したい
  • 紙中心のアナログ業務から脱却したい
  • データを活用し資産化することで効果的な政策を機動的に打つなど、最大限の価値を創造したい

解決策

  • 管理職を含む県職員へDX研修を行い、職員自らが業務改善に取り組める環境を整備
  • 『kintone』の導入によって業務効率の改善を図るとともに、ペーパーレスやデータ利活用を推進する

導入したメリット

導入システム

製品カテゴリー製品名・型番お問い合わせ
 kintoneお問い合わせ
kintone連携プラグインカンタンマッププラグイン-
FormBridge-
kViewer-
PrintCreator-
gusuku Customine-
krewDashboard-
krewSheet-
ほか

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広島県 導入事例(PDF:4,047KB)

導入事例詳細

農作物を効率よく収穫してもらうため“スマート農業”を支援

広島県は南は瀬戸内海に面し、北は中国山地が広がる、海の幸、山の幸に恵まれた県だ。生産量日本一を誇る牡蠣(かき)・レモンなど名産品や特産品も多く、農林水産業の振興は県の重要な政策の一つとなっている。

広島県農林水産局 農業技術課 参事 佐々木 義和氏

「平地が比較的少なく、中山間地が多い広島県では、狭い農地でいかに効率よく農作物を栽培・収穫するかが大きな課題となっています。そのため、県としては“スマート農業”の振興支援に力を入れています」と説明するのは、広島県農林水産局 農業技術課 参事の佐々木 義和氏だ。具体的には、ハウス栽培における温度、湿度などのデータをAIに分析させ、最適な環境を整えることで品質のよい農作物を大量に収穫してもらうための支援を行ったり、ブドウの粒の数を瞬時に数えられる「スマートグラス」など、最新のデジタル機器を県内の農業生産者に紹介して作業効率の改善を図ってもらったりもしている。

「高齢化が進む中で、未経験者でも農業ができるような環境を整えて就農者を増やすことも、県としての取り組むべき大きなテーマです」と現状について佐々木氏は語る。

『kintone』の活用をきっかけにDX推進プロジェクトが始動

広島県の第一次産業の発展を支援する農林水産局は、局内の業務においても積極的なDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している。

そのきっかけとなったのは2020年、業務アプリ構築クラウドサービス『kintone』を使って食品表示アプリを開発したことだ。当時、農業技術課に所属し、開発に携わった同局 西部農業技術指導所 次長の西田 寛史氏は次のように振り返る。

「食品表示に関する業務はExcelと紙で管理しており、更新や検索に手間がかかっていたので業務全体のデジタル化ができないかと考えました。当初はRPA導入も検討していたのですが、大塚商会さんからノーコードでアプリが作れるサービスがあると『kintone』を紹介されたのです。早速開発を支援いただいたところ短期間ででき上がり、業務の効率化を実現し、何冊もあった分厚い紙ファイルがゼロになりました」

『kintone』で作成した「生産者情報運営システム」の情報は、目的に合わせてビジュアル化して表示することも可能だ

広島県農林水産局 西部農業技術指導所 次長 西田 寛史氏

全ての管理職に研修を実施

西田氏は佐々木氏に「一緒に局内のデジタル化を進めていきませんか」と相談。プログラミングをする必要がなく、専門知識のない職員でもさまざまな業務アプリが開発できる『kintone』は評判となっていたこともあり、局全体に普及させようという機運も高まっていった。これを受けて佐々木氏は上層部に働き掛け、正式に『kintone』導入の了承を得るに至った。そして2021年、農業技術課を“推進役”とする農林水産局のDX推進プロジェクトが始動した。

「一般に行政のDXはIT専門部門が担当することが多く、農業技術課のような現場が主導するのは非常に珍しいと思います。とはいえ、現場の課題は現場の人間が良く分かっているので、自分たちが主導するのが望ましいと考えました」と西田氏は説明する。

農業技術課は大塚商会に相談し、職員のDXに関するマインドセット(意識醸成)とスキルセット(技能)研修を行った。DXとは何か、その重要性と手法を理解してもらい、能動的にDXを推し進めようとする意識と技術を身に付けさせることにしたのである。

「農林水産局全体に浸透させるため、全ての管理職に研修を受けてもらいました。スキルセット研修だけでなく、マインドセット研修も同時に実施していただいたのが効果的でした」と西田氏は振り返る。

(左)広島県農林水産局 農業技術課 食品表示担当 主任 藤岡 優香氏
(右)広島県農林水産局 農業技術課 食品表示担当 主事 福永 健太氏

アプリを開発する職員が相談できる環境を整備

研修の成果は目に見えて表れた。2021年のプロジェクト始動からわずか2年余りで、『kintone』の技能を身に付けた職員は約200名に。農林水産局の全職員数は約800名なので、4人に1人が自分たちだけでアプリを作れるようになった。

現在、農業技術課では定期的に大塚商会と技術相談会を実施している。「高度な質問をする職員もおり、かなり使いこなしていると感じています」と語るのは、同課 食品表示担当 主任の藤岡 優香氏だ。また、同局は『kintone』のほかに、その機能を拡張するさまざまなプラグイン(連携ツール)を導入しているが、その利用申請は農業技術課が受付窓口となっている。「便利なプラグインをいくつも導入しているので、『これを使ってみては?』と提案することもあります」と語るのは、藤岡氏と同様、『kintone』関連の問い合わせに対応している食品表示担当 主事の福永 健太氏だ。こうした“コンシェルジュ”的な機能も、局内のDX推進にひと役買っているようだ

先進的な運用事例から学び管理ルールを作り上げる

職員たちが積極的に開発を行った結果、2年余りで500以上ものアプリができ上がった。ただし、積極的に活用しすぎてアプリの本数が多くなり過ぎると、管理が煩雑になり、ガバナンスが効かなくなる恐れもある。

そこで大塚商会の助言の下、佐々木氏らは、『kintone』の利用上のルールや、アプリ管理、アカウント管理などの各種規定等を作成し、運用を厳格化していくことを決定した。

「大塚商会さんに依頼して、先進的な運用を行っている他の自治体や一般企業さんなどを視察させてもらい、それらの運用を参考にしながら規定をまとめ上げました。作成に当たっては、局の垣根を越え、デジタル化の専門部署であるDX推進チームの協力も仰ぎました」(佐々木氏)

こうして「野良アプリ」の増殖には歯止めが掛かったが、それでも実際に業務で運用されているアプリの数は2024年1月時点で152に上る。いかに、職員によるアプリの開発や活用が進んでいるのかを証明する数字だと言える。

専門知識がなくてもわずか数カ月でアプリを開発

具体的に、『kintone』を使ってどのようなアプリが開発されたのか、二つの例を紹介しよう。

一つは、「生産者情報運営システム」だ。県内の農業生産者の基礎情報や就農状況、技術・経営指導の履歴といった情報を一元的に管理できるようにした。従来、生産者に関するこれらの情報は、就農支援課、農業技術課、農業経営発展課など複数の課がそれぞれに管理してきた。

(左)広島県農林水産局 ため池・農地防災担当 主査 原 健司氏
(右)広島県農林水産局 ため池・農地防災担当 技師 岩田 了大氏

『kintone』でため池・農地防災担当が作成したアプリ『ため池ポータルサイト』。ため池に関するさまざまな情報が一元管理されている

「同じ生産者に関する別の情報を調べたいときには、その都度、他の課に情報を提供してもらう必要がありました。そこで全ての課の生産者情報を一つの画面で表示される仕組みを構築しました」と佐々木氏は説明する。それぞれの課で情報を修正すると、その内容はリアルタイムにマスターに反映される。情報の不整合や二重入力の手間がなくなり、情報の利活用が効率的になった点に大きなメリットを感じているという。

もう一つは、「ため池ポータルサイト」だ。「広島県には防災重点農業用ため池が日本最多の6,859箇所もありますが、情報がバラバラに管理されていたため、県民や市町行政機関からの問い合わせ対応や、災害時などにため池情報を活用する際の検索に時間を要していました」と語るのは、農林水産局 ため池・農地防災担当 主査の原 健司氏である。

そこで、『kintone』を使って「ため池ポータルサイト」を作成。ため池ごとに番号を付与し、それに紐づけてさまざまな情報が一元的に閲覧できる仕組みを作り上げた。開発に携わった同局 ため池・農地防災担当 技師の岩田 了大氏は、「点検結果の写真を豊富に添付できたり、地図情報とも連携するなど、シンプルながらも使う人目線で活用しやすくなるよう工夫し、県庁内外の方に活用いただいています」と語る。

構築したアプリやノウハウを他の県にも広めたい

佐々木氏は今後、DX推進の経験とノウハウや広島県を含め各都道府県で作成した『kintone』アプリを共有する仲間づくりを提案していきたいと考えている。

「同じような課題を持った他の自治体さんも多くいると思います。私たちの取り組みが参考になり日本全国の行政サービスの効率化に役立ててもらえるなら、願ってもないことです。早ければ2024年度から働きかけを始めたいと思っています」と抱負を語った。

大塚商会担当者からのコメント

「AI技術を取り入れたさらなるDX推進を提案します」

広島県農林水産局様からは『kintone』に蓄積された情報資産を活用したAI技術の導入についてもご相談いただいております。今後も最適なソリューションを提案させていただきます。

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