近畿大学附属広島高等学校・中学校 福山校 鳥生 浩紀

2022年4月15日公開分のTeacher's CLIPの番組サマリーをお届けします。

今週のTeacher's CLIPも、Zoomを使って収録しています。

番組サマリー

4年の歳月をかけて全学年で一人1台環境を実現

近畿大学附属広島高等学校・中学校 福山校は中学校を併設する中高一貫校、ほとんどの生徒が大学に進学します。学校全体としてICT環境を整えようと動き出したのは2018年。同じ附属校の乾武司先生に講演していただいたことがICT導入の発火点となりました。先進校と比べると遅い方だったと言えます。

ついに全学年で一人1台のiPadが実現

その後、2年ほどかけてICTを活用してどんな生徒になって欲しいか学校としての方針を練りました。その間、教員研修を行うなど準備を進行。2020年に一部の学年への導入を開始し、生徒たちは自由に端末を使って学校活動を送っています。2022年度には中高6学年で一人1台のiPad 環境が整いました。

「GarageBand」を使った三角関数の授業とは?

ノイズキャンセリングをつくる三角関数の授業

数学の授業では「ICTが使いにくい」という声をよく耳にします。こんなことを言うと語弊があるかもしれませんが、計算技能や基本事項の習得、学習内容の理解、演習には従来のチョーク&トークの手法の方が適していると言えます。わざわざそれを別の方法に置き換える必要はないかもしれません。

しかし、ICTの力を借りることで、AIを活用した反復練習や個別最適化した学習が可能になります。「置き換え」ではなく「増強」に利用する方がいいのではと考えています。また、少し工夫をすることで、学んでいる内容が日常や社会とどのように関係しているのか示しやすいという利点もあります。

例えば、三角関数の単元では音波を題材にした授業を行いました。「GarageBand」 のアプリを用いて、ノイズキャンセリングの効果を自分たちで作ってみるという活動です。授業準備はもちろん一人で行いますが、活動自体は生徒たちと一緒に楽しんでやることが大切だと考えています。

定期考査の結果もアップ! 新たな授業スタイルへの挑戦

私の授業では、授業の前半1/3で学習内容の説明をして、その後、生徒が各自で学び合いをしながら問題に取り組みます。そして最後に毎回の授業のリフレクションと授業内容の簡単な確認テストを行うというスタイルです。とても簡単な内容のテストですが、全員正解を目指してもなかなかそうはなりません。

新しい授業スタイルで学習効果がアップ

テストは「Googleフォーム」で行います。解答がリアルタイムで確認できるので、全員正解になりそうなときなどはかなり盛り上がります。また、試験前にテストを全て一つに集約。何度も勉強できるようにしました。その成果として、定期考査の結果が以前と比べてかなり向上したのには驚きました。

最大の特権は自分が使うツールを選択できること

iPadであれば「iWorks」が使えるのはもちろん、アカウントさえ作れば「Google Workspace」のアプリを使うこともできます。ほかのデバイスと比較しても、こんなに優位なことはありません。また本校では、学習内容にもよりますが、成果物に必ずこのアプリを使いなさいという制限はしません。

プレゼンテーション用のスライドを作成するとき、「Keynote」を使う生徒もいれば「Googleスライド」を使う生徒もいます。自分が作りたいものに適したアプリを自分で選択し活用できるというのは最高ではないでしょうか。これこそがiPad に許された「自由度」という特権なのかもしれません。

番組視聴はこちらから

GUEST PROFILE

鳥生 浩紀(とりう ひろき)

近畿大学附属広島高等学校・中学校 福山校

数学科教師。ICT教育推進グループ代表を務め、チョーク&トークで行う数学の魅力を生かしつつ、ICTを活用して今までとは違うチャレンジを生徒と一緒にワクワクしながら進めている。また、GEG Hiroshima City 共同リーダー、Google 認定トレーナーとして活動し、ICT教育の可能性を発信している。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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