不透明だった教員の勤務実態の把握に勤怠管理システムを活用。残業時間を可視化し働き方改革に活用

「部活動の引率など、校外活動に積極的に取り組む先生方の負担にならない勤怠管理システムを目指しました」

岐阜県教育委員会 導入事例

官公庁・自治体1,001名~学校・自治体ERP・基幹業務・業務管理営業・業務プロセス効率化業務データの活用

近年、長時間労働が常態化する教員の働き方改革が大きな課題になっている。取り組みを進めるうえでの障壁になっているのが、教員特有の雇用条件に伴う勤務実態の不透明さだ。この問題の解決に向け、岐阜県教育委員会は、いつ・どこからでもスマートフォンやPCから勤務時間を正確に登録できる勤怠管理ソリューションを導入。教員の勤務実態を可視化するとともに、蓄積されるデータを働き方改革の実践に役立てている。

2019年12月取材

岐阜県教育委員会

導入先の概要

業種
自治体
事業内容
所管の学校その他の教育機関の管理
教職員数
約5,300名(2019年11月末現在)
ホームページ
https://www.pref.gifu.lg.jp/kensei/kakushu-iinkai/kyoiku-iinkai/

導入の狙い

  • 教員の勤務実態を客観的に把握したい
  • 教員の負担が少ない勤怠打刻の仕組みを構築したい

解決策

いつ、どこからでもスマートフォン、PCで出退勤が打刻できる勤怠管理ソリューションの導入

導入したメリット

  • 教員の勤務時間が正確に把握できるようになった
  • 蓄積されるデータの働き方改革への活用
  • 教育財務課 課長補佐 兼 情報基盤管理係長 加藤 昌宏氏

    「やりたいと思うことは多いのですが、具体的な方法については情報が乏しいのが実情です。その際に大塚商会さんは、メーカーの垣根を越え最適な提案をしてくださるのがうれしいですね」

  • 教職員課 高等学校係 課長補佐 宮脇 智之氏

    「『勤次郎』は、これまで把握し切れなかったデータの収集を実現しました。蓄積されるデータの活用が今後の大きな課題と考えています」

導入製品情報

製品カテゴリー製品名・型番お問い合わせ
勤怠管理システム勤次郎Enterpriseお問い合わせ
マクセル製電子黒板機能付き
プロジェクター
MC-TW3506J-
青井黒板製ホワイトボード-

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導入事例詳細

ICTを活用し、地域社会に貢献する人材育成に取り組む

人口減少・少子高齢化が進む中、地域社会の活力の維持・向上が各地方都市にとって、共通する課題になっている。この課題に対して「ふるさとに誇りを持ち、『清流の国ぎふ』を担う子どもたちの育成」という教育ビジョンを掲げ、積極的に向き合っているのが岐阜県教育委員会だ。子どもたちの「自立力」「共生力」「自己実現力」の融合を目指す教育において、大きな役割を果たしているのがICTの力。全国に先駆け、県立高校と特別支援学校の全教室に1,720台のプロジェクターを配置する取り組みはその一例である。2019年12月時点でほぼその設置を終え、教育への活用が始まっている。

「教育現場におけるICT活用は全国で進んでいますが、教育の機会均等を重視し、全校一斉に導入を進めた例はほかにありません。また教育総務課、教育研修課、学校支援課、教育財務課など、各部署を横断したワーキンググループを組織し、各種研修や公開授業を通して教育現場での効果的なプロジェクター活用を力強く支援する点も本県の特長です」と教育財務課 課長補佐 兼 情報基盤管理係長の加藤 昌宏氏は説明する。

教育現場へのICT導入では、教員に一時的な負荷が掛かることは否めない。だが、教材をデジタル化し、共有することは、これまで各教員がゼロから行っていた教材作成の手間の大幅な省力化を可能にする。岐阜県教育委員会は、ICTを現場で働く教員の負担軽減にも生かしたいと考えている。

教員の勤務実態を客観的に把握するため、勤怠管理システムを導入

近年、教員の長時間労働を巡る問題に大きな注目が集まっている。公立校の教員の場合、時間外手当や休日出勤手当は存在せず、教職調整額として月額給与の4%が一律で支給される。教員の勤務時間の実態把握が難しいからで、それが長時間労働の一因にもなっていた。この現状を受け、文部科学省は学校における働き方改革の取り組み徹底を都道府県知事・教育委員長に事務次官名で通知。その要望の一つが、勤務時間を客観的に把握・集計するシステムの構築だった。

岐阜県の場合、教員の勤務時間管理はこれまでExcelのフォーマットに各人が退勤時刻を手打ちで入力する形で行ってきたが、この方法では客観的な把握にはほど遠い。

「この方法では月末にまとめて入力しても、問題なく運用できてしまいます。そのため、以前私が教員として勤務していた職場では、月末が近くなると、教頭が退勤時刻の入力を教員に催促して回るのが常態化していました。実際に入力されたデータを見ると、慌てて『まとめ入力』したような、不自然なデータに見えるのが実情でした」と教職員課 高等学校係 課長補佐の宮脇 智之氏は語る。

課題として浮上した、部活動など放課後の校外での生徒指導

『勤次郎』は、PCやスマートフォンなど、多様な打刻方法にスムーズに対応できる

自席PCのオンオフ時刻による勤怠管理やICカードによる入退室管理では、放課後に校外で生徒を指導する教員の勤務実態の把握は難しい。そこで、プロジェクターの導入などで取引があった大塚商会の担当者に相談したところ、実情に合わせた勤務実態の客観的把握として提案されたのが、PCやスマートフォンでいつでも、どこからでも出退勤時刻の打刻が可能な勤怠管理システム『勤次郎』だった。勤怠管理システムの導入理由を加藤氏はこう説明する。

「放課後の校外活動に積極的に取り組む教員は、どちらかといえば少数派です。そのため、そこまでの対応策は必要ないのではという意見も確かにありました。しかし一生懸命に教育に取り組む教員に負担が掛かるような仕組みは選択すべきではないと考えました。それがスマートフォンからも打刻できる勤怠管理システム導入に踏み切った第一の理由でした」

学校という特殊な勤務環境に対応したシステム設定

新たな仕組みの導入に当たっては、私物スマートフォンの利用を前提にすることへの反発も懸念された。その対策として岐阜県教育委員会は大塚商会に依頼し、教員が使用するPCのメーラー画面に『勤次郎』の打刻画面を組み込み、自席PCからもスムーズに打刻できる環境を整備。また、学校によって始業時刻が違ったり、夏休みなど休業日の始業時刻が授業日と異なったりするなど、一般企業のように一律に運用できない点も課題だった。岐阜県教育委員会は各校の始業・終業時刻に関する情報を大塚商会に提供し、始業・終業時間を学校別に設定することで、各校それぞれの残業時間が把握できる仕組みを整備している。

『勤次郎』運用のポイントをQ&A形式で配布

運用に先立ち、岐阜県教育委員会では各校の教頭に集まってもらい、説明会を実施した。

「出勤・退勤時に自席のPCやスマートフォンで打刻を行い、各人の勤務時間や時間外労働を正確に把握することが『勤次郎』の運用目的です。操作自体は単純ですが、年休の際の対応など幾つかの注意点があるため、何度かに分けて行った説明会でよく出た質問についてはQ&Aにまとめ、各校に配布しました」

また運用当初の1カ月間は、従来のExcelによる管理も並行して運用している。

「二つのやり方を比較できる期間を用意したことは、『勤次郎』の便利さを納得することにもつながったと感じています。Excelを開き、自分の入力欄に退勤時刻を入力する手間を考えると圧倒的に楽ですからね」と導入当時、教員として高校に勤務していた宮脇氏は振り返る。

精度の高い勤務データが働き方改革の実践に貢献

『勤次郎』の管理画面では統計作成が容易に行えるため、勤務実態の可視化に大きな成果を上げている

『勤次郎』は、教員の勤務実態の可視化に大きな成果を上げている。特に注目したいのが、データ加工、統計作成の容易さだ。残業時間が80時間、100時間を超える教員の抽出や、前年同月比の残業状況の可視化はその一例である。

また『勤次郎』の機能を利用して、業務負担に関するアンケート調査を行うことができる点にも注目したい。

「『勤次郎』のストレスチェック機能を利用して、先生方には毎月、『教科指導』『生徒指導』『部活動』などの6項目について、負担度を10段階で評価してもらっています。それにより長時間の残業の理由を探ることも可能です。学校を訪問する際は、過去の勤務実態に関するデータを出力して持参していますが、これらのデータが働き方改革に確実に貢献していることを実感しています」(宮脇氏)

従来の方法と比べ、データの精度が確実に高まっている点も高く評価するポイントだ。

「実は移行後、『これまでのやり方では、ほかの先生方より遅い退勤時刻を入力するのは気が引けたが、このやり方ではそういうことを気にする必要がないのが助かる』という声もありました。かつて退勤データが横並びになる背景には、こうした事情もあったようです」(宮脇氏)

以前のように月末が近くなると、教頭がExcelへの入力を声掛けして回る手間が不要になったことも効果の一つ。打刻が行われていない場合は、自動的に催促メールが送信されるからだ。

教員の健康管理など、データのさらなる活用を模索

今後の課題として掲げるのは、『勤次郎』のデータの一層の活用だ。

「一例が健康管理への活用です。長時間労働が心臓血管系の負担につながることが指摘されていますが、健康診断で高血圧であると診断された方に長時間の勤務を控えるように指導してもなかなか守られません。しかし『勤次郎』のデータを利用すれば、勤務実態と照らし合わせた指導が可能です」(加藤氏)

今後、岐阜県教育委員会は、『勤次郎』が蓄積するデータを教員の働き方の見直しや健康管理指導との連携など、多様な目的に有効活用していく考えだ。

岐阜県内の県立高校と特別支援学校の全教室に1,720台のプロジェクターを配置した

大塚商会担当者からのコメント

「今後も課題に対応したソリューションをご提案していきます」

さまざまな業務に忙殺される教育委員会の方々にとって、ソリューションに関する情報収集は大きな負担です。マルチベンダーの強みを生かし、これからも最新情報を皆様にご提供していきます。

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