『kintone』でゴルフ大会の受付システムを構築

ゴルフ大会を主催する公益社団法人が煩雑な大会手続きをアプリに集約し、残業時間の大幅な削減に成功

公益社団法人 日本プロゴルフ協会 導入事例

サービス業1~100名製品の導入・活用支援営業・業務プロセス効率化

公益社団法人 日本プロゴルフ協会は、コロナ禍で大会に出場する選手に事前の検温などが義務付けられたことを機に、煩雑だった大会の申請業務をWeb上で一括管理できるよう『kintone』を導入。大塚商会のサポートを得て、短期間でシステム開発を行い、コスト削減やリモートワークの導入などを実現した。

  • 業務効率の向上
  • 顧客対応の改善
  • ペーパーレス
  • コスト削減

公益社団法人 日本プロゴルフ協会

導入先の概要

業種
公益法人
事業内容
ゴルフ指導者およびトーナメントプレーヤーの養成・認定と資質向上のための研修・指導
職員数
26名(2022年9月現在)
ホームページ
https://www.pga.or.jp/

導入の狙い

  • 紙ベースで受け付けていた大会の申し込みや検温情報の報告をWeb上に集約したい
  • 参加者との連絡業務の負担を軽減したい

解決策

  • 『kintone』をベースとしてシステムを構築

導入したメリット

導入システム

製品カテゴリー製品名・型番お問い合わせ
業務アプリ作成システムサイボウズ『kintone』お問い合わせ
システム開発支援サービスお客様の「これが欲しい!」
にこたえる訪問開発サービス
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導入事例詳細

文部科学省の公認を得た、唯一のプロゴルファー認定団体

ジュニア選手の育成にも力を入れ、生涯スポーツとしてのゴルフの普及に取り組んでいる

公益社団法人 日本プロゴルフ協会(以下、PGA)は1957年に東西のプロゴルフ協会を統合して設立されたゴルフのプロフェッショナル団体だ。協会には現在トーナメントプレーヤーと呼ばれる大会への出場を目指すプロゴルファーや、ゴルフの指導技能に優れ、広範にわたるゴルフ知識およびPGA指導要領を取得したティーチングプロが約5,800名所属している。PGAは「ゴルフの正しい普及ならびにゴルフ分野のスポーツ振興及びゴルフを通じた社会貢献」を理念に掲げており、トーナメントプレーヤーの資格認定プロテストを開催するほか、1985年からはインストラクター資格認定制度を発足し、優秀なゴルフ指導者を多数輩出している。プロゴルファーの認定を担う団体は国内に複数存在するが、そのうち文部科学省の認定を受けている団体はPGAのみである。

同協会は年に1回「日本プロゴルフ選手権」を開催しており、若手選手も出場できる「レギュラーツアー」、シニア世代(50歳以上)対象の「シニアツアー」なども含めると年に16回程度大会を運営している。

管理・統括本部 総務部 部長の鹿肝(しかん) 直行氏は「現在、ゴルフ人口は減少傾向にありますが、コロナ禍で新たな趣味として始めた人が増えたことで、これまでゴルフに触れていなかった人々から注目が集まっています」と現状を語る。

コロナ禍でタスクが増加し、マンパワーに頼った管理が課題に

管理・統括本部 総務部 部長 鹿肝(しかん) 直行氏

2020年、新型コロナウイルスが流行し社会に大きな影響を与え、PGAも大幅な体制の変化を求められることになった。鹿肝氏は当時の状況を「2020年に緊急事態宣言が発令されたことに伴い、事務所にスタッフが出勤することが困難になることが予想されました。しかし、そんな中でも大会の開催に向けて準備を進めなくてはいけませんでした」と振り返る。

また、この時期から国からの要請で大会の参加者には2週間の健康観察が新たに義務付けられた。

「当初は紙ベースで選手に検温や行動履歴の記録を提出してもらうことを考えました。しかし、プロゴルファーは移動が多いため出先からでも大会の申し込みができなくてはいけません。また、大会初日までに情報の不備を指摘してトラブルを未然に防げるよう、入力内容をリアルタイムで把握できる管理体制が必要でした」(鹿肝氏)

コロナ禍以前より大会の申請には無料のアンケートフォームを利用していたが、エントリー情報を一括で管理できないという難点があった。また、大会案内はBCCでメール送付していたため、実際に開封されたかどうかは送信側から確認できず、返信がない場合は別途確認のメールを送る必要があった。大きな大会であれば200人程度に再送することもあり、スタッフの大きな負担になっていたという。当時は国のコロナ対応も刻一刻と変わる状況であり、従来のようにマンパワーに頼った連絡方法では大会までに処理が間に合わないことが危惧された。

検温という新たなタスク増に対応。申し込みをトータル管理

PGA事業本部 PGAツアー競技部 係長
嘉納 さや香氏

これらの問題を解決するため、PGAは新たなシステムの導入が必要だと判断し、2020年4月に大塚商会へ相談を持ちかけた。「大塚商会さんは、PGAの基幹システムである『SMILE』シリーズの導入などでお世話になっていました。既にPGAの業務を詳細に把握してくれている大塚商会さんであれば、短期間での導入もお願いできると考えました」と、今回のシステム開発を担当したPGA事業本部 PGAツアー競技部 係長の嘉納 さや香氏は語る。

またシステム選定に当たっては、「通常の運営に必要な業務に加え、コロナ禍で今後さらに提出項目が増えた場合でも柔軟に修正できるカスタマイズ性を持ったシステムであることを重視しました」と嘉納氏。その後、導入を提案されたのが『kintone』である。当初は慣れないシステムの導入によって運営業務が混乱することが懸念されたものの、大会申し込みから当日の受付までを『kintone』で管理できれば抱えている課題の解決や業務量の削減が見込めると判断し、今回の導入に踏み切ったという。

短期間でのアプリ開発を支えた充実のサポート体制

『kintone』でのアプリ開発は大会準備と並行して進めることになり、システムの提案から5カ月後の9月には「シニアツアー」での運用が開始された。このような急ピッチでの実装が可能になった主な理由に、嘉納氏は大塚商会のサポートを挙げる。「導入当初はアプリを構築する時間が取れなかったため、ある程度大塚商会さん側で作成してもらい、協議を重ねて改修を繰り返していきました。大塚商会さんの担当者と管理用のアカウントを共有し、逐一電話で相談しながら作業を進められたことが心強かったです」(嘉納氏)

大塚商会では『お客様の「これが欲しい!」にこたえる訪問開発サービス』と呼ばれるアジャイル開発のサポートを提供している。このサービスは書面での詳細な要件定義などを重視するウォーターフォール型の開発とは異なり顧客の目の前で作業を進めるため、開発期間を大きく短縮できる。今回のようにサービスインまでの期間が限られており、適宜調整が必要な状況では必要不可欠なサポートだったという。

プラグインを組み合わせて用途別に複数アプリを作成

PGAは『kintone』で「会員情報」「大会申し込み」「検温情報」「問診票」といった用途の異なる四つのアプリケーションを作成し、大会のエントリー業務に活用している。大会の開催周知やその後の連絡は『kintone』内の情報と連携したメール送信システム『kMailer』で送られ、大会にエントリーした選手には当日に使用するQRコードが『プリントクリエイター』で自動発行される。コロナ禍で新たに義務付けられた2週間分の検温情報は提出時に『ATTAZoo+』で集計され、選手の提出状況を瞬時に把握することが可能だ。また、選手側も提出した自身の記録を『kViewer』で閲覧・修正することができるようになった。大会当日は事前に発行されたQRコードを『Customine』で読み取れば参加状況がリアルタイムで反映され、受け付けを待つ選手の列ができることもなくなったという。

残業時間の大幅な削減に成功。協会内外含めITリテラシーが向上

『kintone』導入後は会員情報アプリの情報をひも付けて『kMailer』で一斉送信ができる

『kintone』の導入による最も大きな効果は、大会調整にかかわるスタッフの労働時間が大幅に減少したことである。鹿肝氏によると、スタッフの残業時間は前年度に比べ半分に削減されたという。これは開発したシステムによる一部業務の自動化、そして電話での問い合わせやFAXの対応をする頻度がほとんどなくなったためだ。さらに、これまで申し込みの手続きなどで使われていた紙代や郵送費などを3割ほどカットできたほか、大会業務のほとんどはリモートで対応できる体制を整えられた

また、『kintone』を導入する前は「シニア選手にWebからの申請方法を覚えてもらうことは現実的ではない」と懸念する声が協会内で上がっていたが、実際は予想と異なり回数を重ねるごとに慣れていく選手が多く、最終的にはほとんどの選手がWebから申請できるようになった。中には「こうすればもっと使いやすくなるのではないか」とアプリケーションの使い方について運営側に提案を持ちかけてくる選手がいたほどだという。この結果について嘉納氏は「シニア選手が想定していたよりもスムーズに新しい申請方法を受け入れてくださったのは、申し込みフォームを分かりやすく作成できた結果であると受け止めています。今回の導入に成功したことで協会内のスタッフや選手たちのITに対する意識が前向きに変わり、以前よりIT活用を望む声が大きくなりました。今後は『kintone』だけでなく、他のシステムも積極的に導入して業務体制を改善していくスタイルが協会内で定着していくと思います」と語る。

『kintone』を扱えるスタッフを増やし、団体内での活用範囲を広げたい

現在『kintone』は大会の運営を担う競技部でのみ活用されているが、今回の導入で大幅な業務の改善が確認できたことから、将来的には他部署の業務にも『kintone』の導入を進め、協会内全体で活用することを計画しているという。具体的には、年会費の徴収業務などに活用していく算段だ。

また、今回の『kintone』によるアプリケーションの開発は主に嘉納氏一人が担当したため、今後は嘉納氏以外でも『kintone』を扱えるスタッフを増やすことを検討しているという。

「大塚商会さんには『kintone』の開発や修正に対応できるスタッフの強化に引き続き尽力していただきたいと思います。また、協会内の基幹システムと『kintone』の連携はまだ行っていないので、ゆくゆくはこちらの改善も行って二重入力などの手間を省き、さらなる業務の効率向上もサポートしていただければと考えています」(鹿肝氏)

大塚商会担当者からのコメント

「協会内での活用範囲拡大をサポートします」

大塚商会では、『kintone』をはじめとしたシステム開発の研修や導入支援メニューを多数用意しています。これからも必要とされるサポートを全力で提供していきます。

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