BOMと3D CADの連携で部品手配漏れを防止

業界をリードする加熱装置メーカーがBOM(部品構成表)による流用化・標準化設計を推進。新たな事業展開につながるDX基盤を確立

株式会社ワイエイシイデンコー 導入事例

製造業1~100名ERP・基幹業務・業務管理営業・業務プロセス効率化コスト削減・売り上げ向上

株式会社ワイエイシイデンコーは、長年にわたり設計コストの削減、流用化・標準化による原価低減を目的に部品構成表(BOM)管理システムによる設計業務の標準化を推進。設計資産の流用化や業務の属人化回避、3D CADとの連携による部品の手配漏れ防止など、DX基盤となるBOMを確立している。

  • 業務の標準化
  • 生産性向上対策

株式会社ワイエイシイデンコー

導入先の概要

業種
機械製造業
事業内容
フラットパネルディスプレイ用熱処理装置、電子部品用加熱装置、自動車用熱処理装置、遠赤外線ヒーターおよび応用機器の設計・製造・販売
従業員数
85名(2021年7月時点)
ホームページ
https://www.yac-denko.co.jp/

導入の狙い

  • 設計データの流用・標準化を推進し、業務プラットフォームを確立したい
  • アナログチェックにより発生していた部品の手配漏れをなくしたい

解決策

  • 部品構成表管理システムを導入し、業務の標準化を図る
  • 3D CADと『生産革新 Bom-jin』を連携することで、CADデータと部品構成表との差異をなくす

導入したメリット

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製品導入にいたった経緯、導入による効果をお客様の声でお話いただいています。IT導入のヒントにご活用ください。

導入システム

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部品構成表管理システム生産革新 Bom-jinお問い合わせ

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株式会社ワイエイシイデンコー 導入事例(PDF:2,959KB)

導入事例詳細

遠赤外線ヒーター技術で業界をリードする加熱装置メーカー

青木 康浩氏

代表取締役社長 FPD事業部長 青木 康浩氏

株式会社ワイエイシイデンコー(以下、ワイエイシイデンコー)は、遠赤外線ヒーター技術で業界をリードする加熱装置メーカーである。1961年に国際熱処理工業株式会社として設立後、電気ヒーターを熱源とする各種金属の熱処理炉の製造・販売事業を開始した。現在は、FPD(フラットパネルディスプレイ)製造用加熱装置が売り上げの大部分を占めており、スマートフォンやタブレット端末、TV用加熱装置の需要が高い。

供給先が国外へと広がる中、事業のグローバル化に対応する経営基盤を確保するため、2012年には技術開発型企業グループ、ワイエイシイホールディングスの傘下に入った。創立60周年を迎える2021年には、開発・研究部 部長であった青木 康浩氏が代表取締役社長に就任。「究極の赤外線加熱技術とあらゆる加熱手法を駆使し、クリーンで効率の良い熱源を顧客に提供する」を新たなミッションに掲げた。

業界屈指の加熱装置メーカーであるワイエイシイデンコー。FPD(フラットパネルディスプレイ)を中軸に電子部品や自動車部品など、多様な分野で熱処理技術を提供している

さらに、FPD(フラットパネルディスプレイ)関連を中心とする「既存事業」、創業以来手掛けてきた製品群を補強する「復興事業」、全く新しい製品を生み出す「新規事業」の3本柱で、次なる成長を目指すという新ビジョンを描き出している。

青木氏は「復興事業を推進するため、同じワイエイシイグループで加熱装置を製造するYAC国際電熱株式会社(以下、YAC国際電熱)を吸収合併しました。原点に立ち戻り、時代が求めるエネルギー効率の良い加熱装置作りに注力する一方で、新規事業では今まで挑戦できなかった市場にも果敢にチャレンジしていきます」と抱負を語った。

設計データ流用化の仕組みとして『生産革新 Bom-jin』を導入

ワイエイシイデンコーは2009年、大塚商会のコンサルティングの下、部品構成表管理システム『生産革新 Bom-jin』を導入。その最大の狙いは標準原価の大きな割合を占めている設計コストの抑制にあった。

同社が製造する加熱装置は「一品一様」の受注生産品であり、設計者は受注時の仕様に応じて、その都度設計を行っている。しかし完成品の仕様は一品一様でも、それを構成する部品には共用できるものも多い。それにもかかわらず、各設計者が同じような部品を毎回一から設計しており、過大な人件費やリードタイムの長期化をもたらしていた。また、製品ごとに属人化した業務は、設計ミスのフィードバックやナレッジの共有化を図るうえでも課題となっていた。

そこで、同社は各設計者が手掛けた部品などの設計データを全社で共有・流用できるようにする仕組みとして、『生産革新 Bom-jin』の導入を決定したのである。

『生産革新 Bom-jin』の利用シーン。3D CADデータを自動でひも付け、構成差異を自動で検知するため、人的な見落としがなくなった

『生産革新 Bom-jin』最大の特長は、「品目台帳」によって設計資産の管理、有効活用を可能とし、BOM構築を支援する点である。ワイエイシイデンコーは、これをベースに部品設計の流用化と標準化を進め、標準原価の低減を図ろうと試みた。

とはいえ、トップダウンでスタートした経緯もあり、当初は設計の現場から大きな反発を受けることになった。受注生産品を手掛ける設計者にとっては、仕様に応じて部品を設計するのは当たり前であり、「設計の標準化」という考え方そのものがなじまなかったからだ。

しかし、実際に進めれば設計者もそのメリットに気付いてくれるはずという考えをぶらさず、設計の標準化に向けたルールを作成して『生産革新 Bom-jin』の活用を促した。『生産革新 Bom-jin』は、設計業務の進め方そのものを標準化する仕組みを備えており、使い続けることによって自然とルールにのっとった業務が定着していった。

導入から10年以上が経過した今では、流用できる設計データは最大限に利用し、より核心的な設計に注力して顧客ニーズに応えようとする意識が社内に根付いているという。

BOMと3D CADを連携。部品の手配漏れがゼロに

設計業務のさらなる効率向上を目指したワイエイシイデンコーは2020年、『生産革新 Bom-jin』と3D CADを連携させるという新たな試みに挑んだ。

宮﨑 友道氏

アドテック事業部 生産技術部 生産技術課チーフ
宮﨑 友道氏

そもそも同社が3D CADを導入したことには、干渉チェックなどの効率を向上し、リードタイムの短縮や品質向上を実現させるという狙いがあった。「目標はある程度果たせたのですが、納期に大きく影響する部品の手配漏れも防げるようにできないかと考えたのです」と語るのは、アドテック事業部 生産技術部 生産技術課 チーフの宮﨑 友道氏である。

同社では従来、2D CADで部品を設計し、出来上がった設計図を見ながら部品構成表を作成して部品を手配するという作業を行っていた。しかし、このようなアナログのやり方ではどうしても人的ミスによる見落としが発生してしまい、手配漏れによって製品の納期が遅れることも珍しくなかった。

そこで、約7万点に及ぶネジなどの標準部品を全て3D CADでモデリングし、『生産革新 Bom-jin』の品番に一つ一つ割り当てるという作業を行った。これによって、ネジ1本にいたる標準部品の全てが部品構成表とひも付けられ、漏れなく部品を手配できる仕組みが整えられた

廣瀬 治行氏

FPD事業部 生産技術部 機械設計課 課長 廣瀬 治行氏

その効果についてFPD事業部 生産技術部 機械設計課 課長の廣瀬 治行氏は、「従来は1製品当たり10件程度あった部品の手配漏れがなくなり、短納期の実現に結び付きました。標準部品を全て3Dモデル化するのは大きな負担でしたが、大塚商会さんがしっかりサポートしてくれたおかげで、結果的に半年ほどで完了しました」と振り返る。

「設計段階で部品の全てを3D CAD化することは設計者にとっては一時的には負担かもしれませんが、結果、製造という下流工程での業務効率向上に結び付いていることを、効果として実感しています」(青木氏)

自社業務のDX基盤が整ったことで、世の中のDXに役立つ製品を開発

この3D CADと『生産革新 Bom-jin』をひも付けた部品手配の仕組みは、既存事業、復興事業、新規事業の全てで活用されている。前述のように復興事業は吸収合併したYAC国際電熱がその一翼を担っているが、同社の設計者たちは合併と同時に『生産革新 Bom-jin』を使った設計業務の標準化に従うことになったという。

河西 啓至氏

ファーネス事業部 生産技術部 技術課 リーダー
河西 啓至氏

元YAC国際電熱の社員で、現在は復興事業を担当するファーネス事業部 生産技術部 技術課 リーダーの河西 啓至氏は、「既に生産革新 Bom-jinを使った標準化ルールがしっかり出来上がっていたので、新しいやり方にもスムーズに移行できました」と語る。

青木氏は、「業務標準化のためのプラットフォームが整ったことで、吸収合併した業務や新規事業の展開を進めやすくなったことはDXにほかなりません。この基盤を用いて、世の中のDXを実現する製品作りを目指していきたい」と語る。

実際に、従来は手作業で行っていた3D CADデータと『生産革新 Bom-jin』の品番とのひも付けを自動化させるなど、日々の業務改善は一歩ずつ進んでいる。それによって、標準原価のさらなる低減や短納期化、品質向上といった効果が既存、復興、新規全ての事業に広がり、会社全体としての成長に結び付くことを同社は期待している。

最後に青木氏は、「『生産革新 Bom-jin』を導入したのは10年以上も前ですが、その間、大塚商会さんの担当者は一度も変わることなく、過去の経緯も踏まえながら的確なアドバイスをしてくれています。これからも、当社の事情や目標に沿った役立つご提案を期待しています」と語った。

大塚商会担当者からのコメント

「十数年にわたる活用がDX基盤構築を実現した好事例です」

株式会社ワイエイシイデンコー様は、設計の標準化に限らず、さまざまな業務や事業を改革し、DXを推進しています。今後もその実現に役立つソリューションを積極的にご提案します。

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