これからの飲食業を見据えたDXへの取り組み

南房総発の人気回転ずし店がポイントカードをデジタル化し、コミュニケーション基盤として活用

株式会社ヤマト 導入事例

卸売・小売業、飲食店101~1,000名製品の導入・活用支援営業・業務プロセス効率化

南房総を拠点に、鮮魚の卸売り・小売り、飲食店を展開する株式会社ヤマトは、回転ずし店舗の顧客管理に、スマートフォン会員アプリと連携するクラウド型CRMを導入。プッシュ配信でクーポンや各種特典の提供が可能な新システムは、ポイント管理にとどまらない新たな顧客コミュニケーションにつながっている。

  • 飲食DX
  • 顧客関係管理
  • 業務効率の向上
  • 新型コロナ対策

株式会社ヤマト

導入先の概要

業種
卸・小売り・飲食店経営
事業内容
鮮魚卸、仲卸、鮮魚小売り・持ち帰りずし小売り運営、回転ずし/すし・海鮮居酒屋運営、食品加工
従業員数
社員142名、パート・アルバイト450名(2022年4月現在)
ホームページ
https://yamato-f.jp/

導入の狙い

  • デジタル化で、顧客データをマーケティング活動やお客様とのコミュニケーションに活用したい
  • コロナ禍のテイクアウト需要に迅速に対応
  • モバイル端末POSで店舗運営の効率を向上させたい

解決策

  • スマートフォンアプリ連携のCRMを導入し、会員情報を電子化
  • パッケージシステムの導入で、テイクアウトシステムの早期運用スタートを実現
  • クラウド型POSの導入でテーブルオーダーに対応

導入したメリット

導入システム

製品カテゴリー製品名・型番お問い合わせ
店舗販促向け
顧客管理サービス
betrendお問い合わせ
飲食チェーン企業向け
モバイルオーダー
Linktoモバイルオーダー-
タブレット対応
クラウド型POSレジシステム
NECモバイルPOSお問い合わせ
コンパクト複合機RICOH MP C307-

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株式会社ヤマト 導入事例(PDF:3,369KB)

導入事例詳細

産地直結を強みに、飲食事業を千葉県中心に展開

店舗開発事業部 接客・マーケティング担当
部長 腰原 智也氏

千葉県を中心に、「回転寿司やまと」、海鮮居酒屋「山傳丸」をはじめとする飲食店事業を展開する株式会社ヤマト。千葉・鴨川の鮮魚仲卸業からスタートした同社の強みの一つは、社内に卸売部門を擁する点にある。店舗開発事業部 接客・マーケティング担当 部長の腰原 智也氏は、こう説明する。

「南房総で地元の漁師から魚を買い付け、地元の小売店や消費者に販売することから当社の事業はスタートしました。卸売り部門は現在も南房総の18漁協で地魚の買い付けを行い、豊洲市場などに卸すほか地元では小売りも行っています。あまり知られていませんが、南房総にはヒラメや伊勢海老などの高級魚介類も多く、豊洲を介して都内の知る人ぞ知る有名店にも卸されています。社内の目利きが買い付けた南房総の魚介類を漁港から直接仕入れ、自社便でお店へ届けることで新鮮なネタにお客様に提供できることが当社の一番の強みと考えています」 (腰原氏)

外食部門の主力ブランドである「回転寿司やまと」は現在、基幹店の木更津店をはじめ千葉県内に10店舗。また館山自動車道、冨浦IC前で地場産にこだわったグルメ&ショッピングスポット「房総の駅 とみうら」も運営している。とれたての鮮魚や地元の名物料理が味わえる場として観光客に好評だ。

またコロナ禍を受け、自社の生簀(いけす)で扱うヒラメや伊勢海老、地場で仕入れる金目鯛などの地魚を販売するために立ち上げたECサイトは、外食の機会が減った消費者に好評だという。

「回転寿司やまと」で提供されるネタは、株式会社ヤマトの熟練の目利きが買い付けた、新鮮な魚介類だ

2022年4月28日にオープンした、都内商業施設初出店となる「回転寿司やまと 亀戸店」。広々としたカウンター席とテーブル席で、極上のネタを楽しめる

顧客情報の利活用に向け、CRMツールを導入

『betrend』で構築したスマートフォンアプリの利用シーン。簡単に会員登録ができるうえ、お得なクーポンが多数選べると、利用客からも好評だ

「回転寿司やまと」は還元率の良い会員特典を武器に、早くから顧客の囲い込みに積極的に取り組んできた。しかし、紙ベースのスタンプカードで会員特典の管理を行っていたこともあり、登録された会員情報の利活用は進んでいないのが実情だったという。その改善に向け導入されたのが、スマートフォン会員アプリと連携してスタンプ管理が行える店舗販促向け顧客管理サービスbetrendだった

「以前は、初回来店時にスタンプカードをお客様にお渡しし、カード満了時に会員情報を登録いただいていましたが、会員情報の活用はほとんど行われていませんでした。経営層から顧客情報を可視化したいという要望が出た際、同時期に行った複合機導入で取引が始まった大塚商会さんにご提案いただいたのが『betrend』でした。CRM(Customer Relationship Management)に関する基本的な機能と、スマートフォンベースの各種アプリがあらかじめパッケージ化され、当社のような飲食業態でも使いやすいと判断したことが、導入を決断した一番の理由です」(腰原氏)

導入に当たり同社がこだわったのは、誰でも簡単に会員登録できる仕組みを構築することだった。メールアドレスだけでなく、携帯電話番号でも登録できるようにしたのはその一例だ。「ご高齢のお客様でもスムーズに登録いただけることを第一に考えました。携帯電話番号で登録いただく形であれば、メールアドレスを持たない方でも簡単に登録できますし、SMSで情報発信も行えます。そのほか、住所の入力を市区町村までにするなど、入力途中の離脱を防ぐ工夫を徹底して行っています」(腰原氏)

『betrend』導入を決めたのは2017年12月のこと。クラウドサービスの特長を生かし、約3カ月の準備期間を経て、翌春からスムーズに運用が開始された。

「運用に先立ち検討を重ねたのは、いかにデジタルへの移行を促進するかという課題でした。当社は、さまざまな特典を用意することで、会員登録のデジタル移行に取り組んでいます。最も分かりやすい例が、『会員登録でまぐろ一皿無料』キャンペーンです。それ以外にも、『本日まぐろ50円引き』『誕生月10%オフ』などのクーポンを積極的に配信することで会員数の拡大に努めています」(腰原氏)

テイクアウト予約の仕組みをパッケージでスムーズに構築

『Linktoモバイルオーダー』の画面。『betrend』から遷移し、テイクアウト予約が簡単にできる

その後、2020年頃からコロナ禍が本格化。外食産業が大きな影響を受ける中、同社が売上減少の対応策として真っ先に取り組んだのが、スマートフォンを注文端末とするモバイルオーダーの仕組みの構築だった。

「当社も同様にコロナ禍の影響により売上が減少、緊急事態宣言下では前年比30~40%の店も出てきました。こうした中、喫緊の課題として浮上したのが、これまで行っていなかったモバイルオーダーによるテイクアウトの仕組みの構築でした」(腰原氏)

同社は再度、大塚商会に提案を依頼。採用されたのは、サービスがパッケージ化され即座に運用することが可能な飲食チェーン企業向けモバイルオーダーLinktoモバイルオーダーだった。2020年4月の緊急事態宣言発令後の売上落ち込みを受け検討を開始し、同年8月には運用を開始している。

「『betrend』の会員アプリから遷移する仕組みも容易に構築できることもあり導入を決断しました。品切れ時の対応に関するルール整備など、運用開始直後は現場に大きな負荷が掛かったのは否めませんが、テイクアウトやデリバリーという新しい便利な仕組みは、コロナ禍後も確実に定着していくと考えています」(腰原氏)

コミュニケーション基盤として、顧客囲い込みに貢献

株式会社ヤマトは、各店舗の複合機を導入し、シフト表やアルバイトのマニュアル、おすすめ商品のメニューなど、さまざまな印刷物を作成している

『betrend』導入効果としてまず挙げられるのは、2022年4月時点で8万人に及ぶ顧客情報の分析や販促活動への活用の基盤ができた点だ。「クーポンのプッシュ配信など、マーケティングの新たなリーチが確保できた効果は大きいです。課題だった顧客データ利活用についても、店舗別の会員数の伸び率をクーポン施策に反映するなど、取り組みを進めている段階です」(腰原氏)

また紙の会員証と違い会計時にスタンプを押す手間が不要になり、混雑時のレジ待ち時間の短縮に貢献している

さらに、同社はPOSレジ機能をタブレット端末で代替する、モバイルPOS活用も進めている。2019年に「房総の駅 とみうら」内のカフェにクラウド型POSレジシステムを導入。2021年には施設内の「海鮮食堂 とみうら亭」でもモバイルPOSを導入し、テーブルオーダーシステムと併せて運用を行っている。

「当社の経営者がいずれ大型レジは不要になり、小型端末で機能を代替できるようになるのではないか、と考えていた経緯もあり、大塚商会さんに相談し、試験的にカフェから導入を開始しました。カフェではモバイルPOSを中軸とした対面型セミセルフの仕組みを導入しましたが、レジカウンターがすっきりしただけでなく、より操作が簡単になったとスタッフからも好評です」(腰原氏)

今後の課題として同社が挙げるのは、ポイントカードの代替だけにとどまらない、顧客とのコミュニケーションツールとしての活用促進である。その第一歩として実施したのが、「回転寿司やまと」の都内商業施設初出店となる亀戸店オープンに合わせた、会員システムの全面リニューアルだ。利用実績に応じた会員ステータスを新たに設定し、ゴールド会員には無料でみそ汁をサービスするなど、利用状況に応じた特典を提供することがリニューアルの最大のポイントだ。

「『betrendの一番の効果は、お客様に新たな楽しみをご提供できるようになったことだと考えています。ポイントがたまったり、クーポンが使えたりするだけでなく、さらに楽しんでいただけるツールにしていくことが今の一番の課題です。ステータスに応じ、かなり攻めた特典を提供することの背景にも、こうした狙いがあります。今後も、例えば店舗スタッフが出題するクイズにお客様がその場でアプリから回答するなど、お客様と店との距離を縮めるツールとして活用したいと考えています」(腰原氏)

また「房総の駅 とみうら」内で導入しているPOSレジシステムに関しても、腰原氏は「本来ならクラウドのPOSデータを会員情報にひも付けてID-POSデータとして活用したいところですが、現状では「回転寿司やまと」以外では『betrend』を導入していないため、購買情報の活用には至っていません。将来的には、ID-POSデータの活用まで含め、システム構築を検討していきたいと考えています」と語る。飲食店の役割に再注目することで勝ち残りを図る同社は、『betrend』をはじめとしたITツール活用によるDXを今後も推進していく。

大塚商会担当者からのコメント

「顧客データのマーケティング活用にもお役立ちします」

株式会社ヤマト様からは、『betrend』で収集したデータをマーケティングでも活用したいと要望を頂いています。同社の運用状況に合わせた、最適な提案を今後もさせていただきます。

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  • * 本事例中に記載の肩書や数値、社名、固有名詞などは取材時点のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

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