熊本市教育センター 指導主事 山下 若菜

2022年11月25日公開分のClassRoomCLIPの番組サマリーをお届けします。

今週のClassRoomCLIPも、Zoomを使って収録しています。

番組サマリー

ClassRoomCLIP第3回目は、熊本市教育センター指導主事、山下若菜先生にお話をお伺いしました。山下先生はもともと小学校の先生でしたが、iPad導入で活躍されたためか、この春、教育委員会に抜擢されたとのこと。現在は、小学校の現場を離れて、ICT教育の推進に取り組んでいらっしゃいます。

教師歴と、これまで何年くらいICT教育に取り組んでこられたか教えてください。

教師歴は、臨時採用や育休を除くと、12年目になります。ICT教育は熊本市が2018年から3人に一台の割合で導入したことがきっかけですので4年目です。

この春から小学校の現場を離れて、教育委員会でICT教育の推進に取り組んでいらっしゃると。

そうですね、今年度から教育センターの教育情報班というところで指導主事として先生方の研修をしています。iPadが導入されてからは結構経つので、iPadを使ってどういう授業ができるか? ということを一緒に考えたりしています。

紙の教科書にはないライブ感のある授業

iPadを使って、これはよかったというエピソードを教えてください。

授業で、子供たちが消防署について教科書で調べたんですけど「それって本当に正しいのかな?」と問いかけたら、分からない、と。「じゃあ、どうすればいい?」と聞くと、「現実を見たらいい!」と言う子供がいて。「じゃあZoomで繋いでみようか」ということになりました。2018年ごろですから、Zoomはそこまで盛んではなかったんですけど、消防署とZoomで繋いだら「わあーっ!」と盛り上がった。子供たちの目が変わったんです。

例えば教科書には『消防車の近くに長靴とズボンがセットにして置いてある』と書いてあった。でも実際に見せてもらったら、その消防署では、それが原因で転倒したりした転んだことがあったので、消防車の横ではなく前の部屋に置いていたんです。教科書に書いてある通りだとは限らなかった。ほかにも、日勤と夜勤の人とは着替えが違ったり、新しい発見もあって。子供たちの目がキラキラして「わあ、すごい!」と感動して。そこからもっと『知りたい』という気持ちに繋がっていった。

ICT教育だからこそ開ける扉ですね。

子供たちが「本当にそうなのかな?」って思った時に、すぐにZoomで繋いで解決できるライブ感というか、子供たちの思考が途切れないという良さがあの授業ではあったかな、と思います。

逆に、iPad導入で困ったことはありますか?

最初はとにかくタブレットを使えばいいと考えて、なんでもタブレットを使っていましたが「よく考えたらこれはホワイトボードでいいよね」とか、「この時は手を動かしたほうがいいなあ」とか、そういう見極めは大事だと感じました。手の込んだワークシートを作って共有して、お膳立てしすぎたために、逆に子供たちの思考を狭めてしまったこともありました。

全ての機能を知らなくても、子供たちと一緒にやってみることが大事

ICT導入について、こういうふうにするとうまくいくというアドバイスがあれば教えてください。

わたしはもともと機器があまり得意ではなかったのですが、国語の授業で『ごんぎつね』にBGMをつけよう、となったときに『GarageBand』という便利なアプリがあるよ、と教えてもらいました。とてもじゃないけど全部の機能は覚えられない。

でも10の機能があったとして、そのうちの三つの機能を知ったら、面白い、やってみようと思えて。先生が全ての機能を覚えてなくても、子供たちと一緒にやってみて、一緒に失敗したりしていくのが大事なのかな、と。

これからのIC教育にはどういうことを期待されますか?

子供たちが、こうやったらもっとよくなるんじゃないかな、とか、こうしたら困っている人に喜んでもらえるんじゃないかな、とか、そういう視点を持って自分から動いていくためには、ICTはすごく相性がいいと思っています。子供たちの能力や表現する力はそれぞれ違うけれども、iPadがあれば対応できるし、自分の思っていることにより近いものを表現できたりするので、子供たちの可能性を引き出すという点でも、このICT教育に期待をしています。

番組視聴はこちらから

GUEST PROFILE

山下 若菜(やました わかな)

熊本市教育センター 指導主事

熊本市教育センター教育情報班指導主事
熊本市立楠小学校、熊本市立龍田小学校小学校勤務を経て2022年度熊本市教育センターへ
2021年度熊本市小・中学校情報教育研究会研究部長
2019年~NHK for school「GIGA研」メンバー

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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