愛知県立杏和高等学校 教諭 魚住 惇

2022年12月30日公開分のClassRoomCLIPの番組サマリーをお届けします。

今週のClassRoomCLIPも、Zoomを使って収録しています。

番組サマリー

ClassRoomCLIP第4回目は、愛知県立杏和高等学校の魚住惇先生にお話をお伺いしていきます。魚住先生は情報科の先生として、iPadを使って授業を工夫していらっしゃるほか、ブログでも定期的に情報を発信していらっしゃいます。

まず、先生歴は何年で、今の学校でICT教育に取り組み始めて何年になるか教えてください。

教員になって、常勤、非常勤を含めると今年度で14年目、今の学校に赴任してからは5年目で、採用からずっといろんな学校でICTの担当をしていました。情報科の教諭なので、パソコンできるでしょ、とか、ネットワークの管理やってよとか、そういう仕事をずっと引き受けていましたね。

計算の過程もiPadを使えばリアルタイムに生徒に共有できる

iPadを使って授業をされていると思いますが、よかったというエピソードはありますか?

まず、愛知県の県立高校では、生徒にiPadがないんですよ。生徒にはマイクロソフトのSurface Go 2とGo 3が配備されていて、それも整備の途中の段階なんです。今、iPadで授業をやっているというのはあくまで教員の僕が、授業で何か教材を見せたり、そういう工夫でやっています。

一応、コンピューター室にWindowsのノートパソコンがあって、教員機もあるんですが、「HDMIキャプチャーを教員機につないで、そこにAppleTVをつないだら、自分のiPadの画面が生徒機に写せるじゃん」と。

それがけっこう効果的で、計算している様子をリアルタイムに画面に出せるし、画面収録も同時にやって、あとで保存したものをみんなに配ったりもできます。分かりやすくて評判の授業です。

先生がiPadを使うほうが効率的ということでしょうか。

教員に対してもSurface Goが配布されたんですが、僕はずっとiPadを使っていて、教科書もGoodNotes 5に保存してあるので、こっちのほうが早いな、と。あとアップルペンシルの書き心地がSurfaceペンよりもいいな、と思うので、僕はiPadよりですね。

iPad、Surfaceにかかわらず、トラブルや困ったことはありましたか?

機械のトラブルっていうのは、僕にとっては何でもないんですけど、iPadを使って授業をやります、というと抵抗感を覚える先生方が多くって。そのほうがいい授業ができるんだよということを広めようと奮闘中ですね。

紙を使って教えるべきだ、という感じでしょうか。

それもありますし、GIGAスクール構想が始まってもう2年近くたちますが、高校は対象外で。じゃあ、どうやって端末を用意したらよいか、というとBYOD端末、つまり、生徒が持っているスマートフォンを使ってGIGAスクール構想を進めていきましょうという動きになったんですけれども、多くの県立高校では、授業中にスマホを使っちゃだめだよ、トラブルのもとなんだよ、という指導をずっとやってきたわけですよ。

しかしGIGAスクール構想が始まり、コロナ禍になって。突然スマホを活用しましょうと言われて、とまどっている先生方が多いですね。

今や世の中は、仕事もみんなコンピューターを使ってますから、使えません、では済まなくなっています。

スマートフォンは、仕事にも勉強にも使えるんだよ、ということを学校で教えるべきだと思っています。子供たちがスマホゲームやYoutubeに夢中になっているのは、正しい使い方を知らないから。それを教えるのが僕の使命だと思っています。

学びを効率化することで本当に必要なことに時間を使える

学校にICT教育をスムーズに導入するために、どういうことに配慮したらいいでしょうか。

いろんな方の理解を得ることが大事だと思っています。自分ひとりではどうしても立ち行かないときに助けてくれる先生や、スマホを勉強に使うことに可能性を見出してくれる先生が校内にたまたまいらっしゃって、その人たちと同じ学年で仕事をしていくなかでやっと兆しが見えました。

これからもっとICT機材が普及していくなかで、ICT教育にどういうことを期待されますか?

ものごとの効率がよくなることが最優先と思っています。たとえば国語の授業で、教科書の本文も全部黒板に書いたりするけれど、端末上で教科書の画像のうえに文字を入れると、その手間がなくなります。効率化することイコール楽をすることと思われがちなんですけれど、そうじゃなくて、グループ学習ですとか、本当に必要なことに時間を使うと、学びの効率が深まって、学びそのものが深まる、それが子供たちのためになるのではないかなと思っています。

番組視聴はこちらから

GUEST PROFILE

魚住 惇(うおずみ じゅん)

愛知県立杏和高等学校教諭

情報科教諭として情報Iを担当。日本福祉大学在学中にCCNAを取得し、Linuxに触れるようになった。サーバー構築の勉強としてWordPressを使ったブログ「さおとめらいふ」を2008年に開設し、現在も更新を続けている。
期限付任用講師、非常勤講師を経て愛知県の教員採用試験に合格。勤務校では校内ネットワークの管理を担当し、Teams、ロイロノート、ScanSnapを導入してDXを推進している。こだわりらいふNewsletterを毎週水曜日に配信中。

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