上越教育大学附属中学校 教諭 大崎貢

2023年2月10日公開分のClassRoomCLIPの番組サマリーをお届けします。

今週のClassRoomCLIPも、Zoomを使って収録しています。

番組サマリー

ClassRoomCLIP第5回目は、上越教育大学附属中学校の大崎貢先生にお話をお伺いしました。大崎先生は新潟県内の中学校で、理科やT&Q(総合的な学習の時間)を担当してこられたほか、ICT教育についてオンラインセミナーやワークショップ等を多数開催するなど、積極的に活動していらっしゃいます。

教師歴は何年で、今の学校でICT教育に携わって何年目になりますか?

教師になって18年目になりました。今の学校は6年目で、ここに来てすぐにICTに取り組んでいます。この学校では、ひとり一台端末になって7年目になるので、私が来る前の年からiPadを使っているということになります。
大崎先生が推進されていらっしゃるということですね。
私が入ってきて、ぐいぐいと引っ張ってきているという感じですね。

クラス全員の考えを一瞬で共有できる授業

iPadを使って授業をしていて、これはよかったというエピソードはありますか?

3つあります。
私は理科を担当していますが、写真や動画を撮影したり、保存できるというのが一番かなと思います。たとえば、教師が撮影の指示をしなくても、自分たちで必要なときに必要な画角で撮影して、数値を確かめたり何度も確認したりできる、そうすることで実験とか観察結果の記録に対する子供たちの考察の精度がぐんと上がったように思います。

2つ目は、クラウドサービスが充実して、考えたことをすぐにみんなで共有できるというのが大きいですね。今までの授業では、数名に発言させて、意見を聞いて、とやっていました。これも大事な方法ですが、今では即時的に全員の考えを見ることができる。多様な価値観を尊重することができると思っています。

以前だと、いい感じの回答をしてくれる生徒をあてがちな部分もあって、それ以外の生徒は、自分は関係ないや、と思っちゃってたかもしれない、と。

今まで、教師のフィルターをかけて授業を作っていたかもしれません。それによって、自分は授業に参加してないなあ、なんて思う子もいたんじゃないかなあ、と、自戒の念を込めて思います。発言しなくても、むちゃくちゃ考えている子に気づくことができて、面白い考えを拾えるようになったことは大きいですね。

3つ目は、アウトプットの選択肢が増えて、表現の幅が広がったことです。これまでは言葉だけでの発表や書きものだけだったけれども、言葉で説明するのが苦手な生徒も、イラストや動画など得意とする方法で表現することができるようになりました。

逆に、ああ、これは大変だったなあ、ということもありますか?

当校ではiPadを、授業だけでなく、生徒会活動や部活、そして家に帰ってからもかなりの頻度で使っているので、充電が持たない、授業中に切れてしまう、すぐにストレージがいっぱいになっちゃう。

それと、学校の端末ではなくて、毎日、自分の端末を持ってきているので、やはり落としたり、カバンの中で押しつぶされたりそういうことが頻繁に起こる。あと、アプリが動かないとか、変なサイトに登録しちゃったとか、ありますね。

修理とか補償はどうされていますか?

基本的には端末を買うときに、3年間の補償に加入してもらっています。それでたいていは補償内で解決できますし、自分の端末なので子供たちも大切に扱っている、という印象はありますね。今の子供たちは、日常的に高価なiPadや携帯電話などを持たなければいけなくて大変です。故障とか、情報モラル的なトラブルも、起こるたびに話を聞いたりして、回避する指導をするチャンスになります。端末やインターネットと正しく上手に付き合っていくことを学ぶいい機会だと思っています。

教師が授業デザインに専念してわくわくする使い方のできる環境を

ICT導入について、どういうことに配慮したらいいでしょうか。

当校では、大学で独自に採用しているICT教育支援員さんが常駐していて、iPadの設定とか日々のトラブル対応とか、かなり頼っています。しかし、ほとんどの学校では、教師がひとクラス40人のユーザーサポートも兼ねている状態だと思うんです。予算的なものもあって難しいかもしれませんが、外注できるものは外注して、教師は授業デザインに専念できるといいと、すごく思っています。

これからのIC教育にはどういうことを期待されていますか?

これまでICTの活用というと、そういうのが得意な人だけの、比較的マニアックな領域だったんじゃないかな、と。紙かデジタルかの二局論で話をされていたけど、今や、ギガスクール構想で、すべての子供たちが端末を持った状況になっていますから、どんどん新しい学びのスタイルが広がっていくんじゃないかな、ということをすごく期待しています。

GUEST PROFILE

大崎 貢(おおさき みつぐ)

上越教育大学附属中学校・教諭

上越教育大学を卒業後、新潟県内の中学校(途中、上越教育大学大学院)を経て、現職。理科やT&Q(総合的な学習の時間)を担当。2019年に研究主任として、研究主題「AI時代を主体的・共創的に生き抜く生徒の育成~自己調整、創造性、人間性に着目して~」をキックオフ。Apple Distinguished Educator Class of 2019やGEG Joetsu Leaderとして、オンラインセミナーやワークショップ等を多数開催するなど、校外の活動にも精力的に参加している。著書に「GIGAスクール対応!中学校理科授業 ICT活用ガイド(明治図書、2022)」などがある。

中学校理科授業ICT活用ガイド

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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