東京成徳大学中学・高等学校 教諭 和田一将

2023年3月3日公開分のClassRoomCLIPの番組サマリーをお届けします。

今週のClassRoomCLIPも、Zoomを使って収録しています。

番組サマリー

ClassRoomCLIP第6回目は、東京成徳大学中学・高等学校の和田 一将先生にお話をお伺いしていきます。

和田先生は英語科の先生として、またApple Distinguished Educatorとしても長年、活躍をしていらっしゃいます。
まず、教師歴が何年か、今の学校でICT教育に取り組み始めて何年くらいになるのかを教えてください。
教師歴は2009年からなので、14年ですね。最初は横浜の高校にいたんですけど、東京成徳大学中学・高等学校に移ってICTを始めたのが 2016年くらいだと思いますから、7年くらいですね。2017年度にADI(Apple Distinguished Educator)に認定されています。

中1の頃からiPadに馴染んで、高校卒業時には授業以外でも応用できる

最初からiPadを使って授業をされていたのですか?

iPad以前は、授業の中で、スマホを使って、海外に日本を紹介するビデオを送ったり、向こうから送ってもらったりして、やりとりをしてたんです。そういうのが、iPadが入ってくるきっかけでしたね。

実際に授業ではiPadをどのように使ってらっしゃるのでしょう?

中1の頃は、文章を書きたいときには、辞書も使いますし、教科書の裏に索引もあったりもするので、iPadは自分が表現したいことをより深めていくときに使う感じですね。そして、だんだん学齢が上がってくると、自分で英語のビデオを作ってみたりと、クリエイティブな使い方をしてもらうようにしています。行きたい国についてプレゼンテーションする課題では、グリーンスクリーンを使って海外の写真を自分の背景に合成して、風景を写しながら紹介したり。高校卒業が近くなると、AdobeのPremiere Proが使えたり、Photoshopで文化祭のチラシを作ったり、授業以外のこともできるようになるという印象がありますね。

授業でiPadを使うようになって「ここが変わったよ」という点はありますか?

英語の授業のスピード感が変わったかな。黒板に板書して、それを生徒が写すのって、結構時間がかかるじゃないですか。その時間が省けただけでも、授業時間がめちゃくちゃ早くなりました。
あとは、いろんな子が授業に入って来やすくなりましたね。人前で話すがの苦手でも、音楽作るのは好き、漫画を読んだり描いたりするのが好きという子はいて、じゃあ、英語を使ってApple Pencilで描いてみてと言ったら、素晴らしい作品を作ったりする。

以前は、手を上げるような子だけが授業に参加していた感じがありましたが、目立たない生徒でも、意外と深く考えていたりして。iPadを使うようになって、そういう生徒も含めて、全員が授業に参加できるようになったように思います。
確かに、授業中に前へ出て話すことができない生徒でも、家で5分の英語の動画を作ってくださいと言われたら、何度でもやり直したりして工夫できそうですね。
その場のパフォーマンスを測るのも大事だけど、作り込む過程も練習になりますし。特に社会人になったら、そういう能力こそ必要になったりしますからね。

テクノロジーの進歩は味方。時代に合わせて活用したい

逆に、今は、英作文の宿題も、Google翻訳を使って提出することもできてしまいます。こうしたテクノロジーが入ってくることによって難しい点はありますか?

例えば、生徒英語で文章を書いて、Google翻訳やAIを使ってそれを日本語に訳してみると、英作文が間違っていると、変な日本語になる。なんか違うな、って感じるときは、文法が違ったりしているんですよ。自分はこう言ったつもりなのに、相手にはこんなふうに聞こえてるんだということを理解できる。そういう向き合い方が、個人的にはいいのかなあ、と思ってます。

スムーズにiPadを導入するために、先生方にアドバイスをお願いします。

新しいものに対しては、人間誰しも、どうなのかな?と思うところがあります。iPadを使わないでも上手に授業をする先生はたくさんいるし、古典的な実験器具を使って、子供たちが「わあ!」となる授業はめちゃくちゃ価値があると思います。
すごく意識しているのは、もっともっと、先生方がやりたいことを、どうやったら実現できるか、という気持ちを後押しする形で導入や、授業に使ってもらう、そこから入るとスムーズかなと。

最後にこれからのICT教育、AIなども含めてどういうことを期待されますか?

アップルのティム・クックCEOがよく言ってるんですけど、私たちの生活や生き方がより良くなるとか、豊かになるとか、そういった視点が大切だと思っています。
先生方の働き方の改革、学校にいる時間を少しでも減らすとか、子供たちが今後社会に出て自分らしく生きていけるとか、そういうことを後押しできるような教育の形になってくれると嬉しいですね。

GUEST PROFILE

和田 一将(わだ かずまさ)

東京成徳大学中学・高等学校 ICT活用推進部長/英語科教諭

国際交流やiPadを活用したクリエイティブな英語の授業などを通して、多様な価値観の中で活躍できる創造的な人材育成に取り組んでいる。Apple Distinguished Educatorのひとり。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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