森村学園初等部 榎本 昇(えのもと のぼる)

2023年9月29日公開分のClassRoomCLIPの番組サマリーをお届けします。

今週のClassRoomCLIPも、Zoomを使って収録しています。

番組サマリー

ClassRoomCLIP第13回目は、森村学園の榎本 昇(えのもと のぼる)先生にご登場いただきました。

デバイスをいろいろ試してみて、オールインワンのiPadを学校に導入

まずは、榎本先生の経歴を教えてください。横浜市の森村学園で教えていらっしゃいますね。

「はい。森村学園は1910年創立のとても歴史のある学校です。最初は東京の品川にありましたが、1970年代に今の場所に移転しました」

静かな住宅地の中という感じがします。

「そうですね。そこに幼稚園から高校までがあります。私が担当しているのはプログラミングとかデジタルシチズンシップとか、そういったことを中心にやっています。

ちょっと変わったところでは、授業とは別に有志の生徒を集めて、映像制作の教育活動を10年以上続けていますね」

先生はいつ頃からICTに取り組んでいらっしゃるのでしょうか?

「実はもともと、理科の授業の担当として今の学校に勤め始めたんです。ところが、いろいろと学校の事情もあって、ちょうど2000年から2020年までずっと、担任の仕事をしていました。国語や算数、道徳といったことを教えていたんですね。

そして、2017年に転機と言いますか、iPadを学校で導入することになったんです。2016年に導入しようという計画を私の方で立案して、そこでいろいろとデバイスを試しながら、最終的にiPadに落ち着きました」

どんなデバイスを試されたんですか?

「Windowsを試しましたが、最終的にiPadを選びました。インターフェイスが分かりやすいというのが大きな理由でしたが、バッテリーが持つということも大事でしたね。あとは、Windowsのタブレットが、その時は今よりももう少し大きくて。iPadはコンパクトにまとまっていて、オールインワンだったということが一番大きかったですね」

それは小学校への導入ということでしょうか?

「そうです。小学校へ導入するときの話です。中学校、高校ではサーフェスが使われていて、こちらはWindowsなんですよ」

それが途中からiPadに切り替わるんですね。生徒の皆さんは困ったりしませんでしたか?

「私も、最初は懸念していましたが、子供たちの方があまりOSに依存しないんですね。結局、やっていること自体はそんなに変わらないので、インターフェイスが若干変わったとしても、子供たちはあまり苦にしていなかったようでした」

プログラミングだけでなく、デジタルシチズンシップの学習も大切

先生は小学生にもプログラミングを教えていらっしゃるとのことですが。

「1年生から6年生まで教えていますが、プログラミング言語とか、アプリとかはもう、学年ごとに違いますね。発達段階に合わせてすごい単純なところから始まって、2年生でブロックコーディングができるようになって。だいたいそんな流れでいくと、シーケンスも理解できるようになります。3、4年生になると、もう一度、ノーコードに戻って、自分の好きなアプリを作ったりして。5年生でロボットを作って、6年生でSwift Playgroundsを……、といった感じですね」

デジタルシチズンシップの授業について教えてください。

「iPadに限らず、機械に振り回される子供になってほしくないというのがあります。どんなものでも、ちゃんと理解して使わないと人を傷つけてしまったりもする道具になってしまう。デジタル機器はいいことも悪いことも拡張するものだと思っているんですが、その拡張したものが、いいものであってほしい。いいことも悪いことも、ときに立ち止まって考えることを身につけてほしいと思って授業をしています。

あと例えば、6年生が自分たちが学習したことを3年生に教えるという方法を採っているんですが、しっかり理解していないと、教えることはできない。3年生に見せるためのスライドを作るために、もう一回やったことを振り返ったり、自分への戒めになったりすることも多いみたいです」

映像を作るというのはどういった授業でしょうか?

「私は、2010年からパナソニックのプロ映像制作プログラムに参加しています。子供たちが主体になって、題材を探して、自分たちで撮影して、最終的に3~5分の作品にするんですが、2019年から本校は5年連続で、日本一を受賞し、日本代表校としてグローバルサミットにも参加しました。子供たちの視点は、私たち大人とはまた少し違うかもしれません。クオリティの高い作品です」

ぜひ、見てみたいです。

GUEST PROFILE

榎本 昇(えのもと のぼる)

森村学園初等部

1999年、森村学園初等部に入職後、20年間クラス担任として授業やクラスを担当する。2015年ごろより児童が1人1台のデバイスを持って授業を行うICTプロジェクトを進め、2017年にはその検証結果よりiPadを導入。その後、学校内で動くiPadの数も増え、現在では700台余りをJamf Schoolで一括管理している。2019年にApple Distinguished Educator、2020年にはJamf Hero、Jamf Educatorの認定を受け、学校内外の研修や講演を行うようになる。2020年からは情報科として機器調達・管理・運用・プログラミングの授業などを行う。
ライフワークとして、2010年より児童とパナソニックホールディング株式会社主催の映像制作プログラムに参加。担当するチームが2019年度より4度の日本一、2021年には世界一となるKids Awardを受賞した。

  • *本記事中に記載の肩書や数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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