今はいろいろな学校で教えていらっしゃるとうかがいました。
「いったん、定年退職をしましたが、延長雇用されています。仙台高専で週に90分の授業を5コマ担当しています。あと国立宮城教育大学で英語科教員の養成課程を2コマ、もう一つ別の私立大学で3コマの計10コマ担当しています。基本は英語を教えています。」
2023年12月28日公開分のClassRoomCLIPの番組サマリーをお届けします。
今週のClassRoomCLIPも、Zoomを使って収録しています。
ClassRoomCLIP第16回目は、仙台高等専門学校名誉教授 武田 淳(タケダ ジュン)先生にご登場いただきました。
今はいろいろな学校で教えていらっしゃるとうかがいました。
「いったん、定年退職をしましたが、延長雇用されています。仙台高専で週に90分の授業を5コマ担当しています。あと国立宮城教育大学で英語科教員の養成課程を2コマ、もう一つ別の私立大学で3コマの計10コマ担当しています。基本は英語を教えています。」
英語の授業でiPadをどういう風に活用されているんでしょうか?
「どう活用するかというよりも、iPadなしでは、授業が成り立たないと思います。高等専門学校って、あまり知られてないんですけれども、全国に58校ある国立の5年一貫教育の教育機関なんですね。NHKなどの『ロボコン』を思い浮かべていただくと分かりやすいでしょうか。心から愛情を込めて言うんですが、愛すべき『オタク』の集まりなんですよ。例えば、デバイス所有率が、110パーセントに近い。2台持ちが当たり前ですから。
英語の導入段階ですと、音声認識が彼らにはすごくうけが良いです。音声入力する時に英語の発音が認められないと入力されないとか、そんなところからキャッキャ言いながら、にぎやかに始まったりします。」
自分たちが学生だった何十年も前には、この発音が正しいかどうか分かりませんでした。家に帰ると、先生の発音も思い出せないですし。
「昔から日本の英語教育では、外国人のALT(外国語指導助手)の先生がいたんですけれども、彼らはいい意味で日本人に慣れてしまうんです。本当はその発音や使い方では英語として通じないのに“まあまあ”という形で容認してくれちゃうんですよ。ところが、iPadは容赦ないので、ちゃんと発音しないとそのとおり入力されなかったり。単語だけでやっている時期が終わると、今度は、例えば改行などもコマンドで出すことができるので、そんなところまでいくと、もう彼らも本気でキーボードを使わないで音声入力しています。」
そういうところから入ると、Siriもちゃんと反応してくれるようになりますね。
「そうですね。また、『Quizlet(クイズレット)』フラッシュカードの電子版を使っている英語教員がとても多いですね。基本的にはフラッシュカードという単語カードを使って、お互いに競い合ったりします。学生がちょうど授業の途中で、飽きてきたかなっていう時に、活性化するのにとてもいいんです。
あとは昔、クリッカーで学生たちの意見を吸い上げるということもしていました。以前は、声が大きくて発言が得意な学生はパッと手を上げて意見を言う。逆に手を上げるのが恥ずかしいような学生もいるんです。クリッカーは、文字どおりクリックで教員の質問に答えることができます。手を上げるかわりに手元のボタンを押すわけなんですよね。我々がよく使うのは、『Mentimeter(メンチメーター)』というアプリケーションですが、幾つか選択肢があって、それを使って投票することもできれば、任意の文字列を画面に出したりすることもできる。個別の意見をアップして、みんなでそれをシェアする、などということもできます。」
海外の学校とのコミュニケーションにもICTを使っていらっしゃるとお聞きしました。
「昔はスカイプを使って、クラス同士でつないだりしたんですが、最近はもうこれがZoomでできちゃうんですよね。リアルタイムで、クラスごとで情報を交換したり。
私は今、67歳なんですが、中学生の頃はいわゆるペンパルでした。こちらからアメリカの文通相手に出すと1週間たってアメリカに着いて、また1週間たって返事が戻ってくるんです。それが今となっては、Zoomでこうやって顔を見ながら交流ができる。」
海外の人と直接話したりするんですよね。どんな感想をお持ちですか?
「まったく我々の時代とは違うんですよ。ものおじしないんですよね。高校1年生と海外の人と結ぶ時は、高校生同士だとちょっと英語がついていけないんですよ。だから、あちらの中学生か、あるいは小学生ぐらいとつなぐと、ちょうどいい感じで話が途切れずに進みます。」
iPadやICTの導入に不安を感じている先生にアドバイスがあれば教えてください。
「私がモットーにしているのは、“学生の邪魔をしない”ということです。操作については、彼らが自分たちで分かっちゃう。下手をすると我々が教えてもらうことさえあるんです。基本のコンセプトは、彼らの邪魔をしない、やりたいことを最大限許容する。ただ、入り口の段階では、どうしてもネチケットのようなものの指導は必要ですけれども。基本は、端末があったら持ち帰らせて、常時好きなように使わせています。」
仙台高等専門学校名誉教授
10年間の県立高校勤務を経て1994年から現任校。普通高校時代から「ネットワークを介した英語教育」に取り組み、職員室にPCを持ち込んで海外姉妹校との交流を支援するなどした。高専では全ての授業を反転学習の手法で実施している。2021年に仙台高専名誉教授、現在は仙台高専で5コマ、宮城学院女子大学で3コマ、国立宮城教育大学英語科教員養成課程で2コマ、計10コマを担当している。高専教員で唯一のApple Distinguished Educator(認定教員)。
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