東京成徳大学中学・高等学校教諭 岩崎 洋二郎(イワサキ ヨウジロウ)

2024年5月2日公開分のClassRoomCLIPの番組サマリーをお届けします。

今週のClassRoomCLIPも、Zoomを使って収録しています。

番組サマリー

ClassRoomCLIP第20回は、東京成徳大学中学・高等学校教諭 岩崎洋二郎(イワサキ ヨウジロウ)先生にご登場いただきました。

岩崎先生は東京成徳大学中学・高等学校で国語を教えていらっしゃるとお伺いしています。

「昔のカリキュラムの言い方ですけれど、現代文、古典、小論文、最近では表現などですね。書写の授業以外を担当しています。」

中学校1年生から高校3年生まで、範囲が広いですね。

「多岐にわたって担当できていて、そういう意味ではすごく幸せだなと思っています。」

授業ではiPadをどういう風に活用されていますか?

「最初はプロジェクターみたいなイメージで使っていたことが多かったんです。古典の授業などで板書を最後まで残しておくと、『ちょっと授業中寝てても、最後に書けばいいや』ってなっていましたが。最近では、主体的に学ぶためのツールとして使っています。」

新しいテストで筆記試験だけでは評価できない力を測る

受験制度の改革にも取り組んでいらっしゃるとお聞きしました。

「うちの学校が、育てたい力、求めている人材像というものをこれまでの筆記試験だけだと、測ってあげられないな、と。東京成徳では創造性・主体性・チャレンジ精神、こういった素質を持った生徒を募集し、育てていきたいという目標が明白にあります。そこで、主体性に相当する部分、チャレンジ精神に相当する部分、創造性に相当する部分を測るような新タイプ入試をはじめました。今年で3年目になりましたね。」

新しいテストはどのように実施されるのですか?
「一番大事なのは『ルーブリック』。つまり評価基準を事前に公開します。主体性には、こういう項目があります、創造性にはこういう項目がありますよ、といったみたいに。例えば、主体性だったらリーダーシップとか、チャレンジ精神だったら、トライアンドエラーの精神とか、そういったものを具体的に定めていって、それぞれにどんなことをすると点数になるのかということを明示します。」

「例えば、昨年度は節電の観点から、『電気のスイッチに一工夫して消したくなるような工夫を考えましょう』という出題をしました。さまざまな回答の中で素晴らしいなと思ったのが、スイッチの周りに夜行性のシールを貼って、電気を消すと絵が浮かび上がる。消すことにモチベーションを与えるという工夫ですね。こうしたアイデアをまず出してもらって、その後、それを良くしていくために、グループで話し合いをして、最良の答えを作っていく。この辺がチームワークやリーダーシップ、協調性なども測れるということになります。我々は事前に採点基準を細かく持っていて、それに当てはめて生徒を平等に採点することに成功したなという風に感じています。」

実際に受験する生徒や保護者は、どうやって受験対策をしたらいいのか、考えてしまいそうですね。

「そうですね。入試に際しては事前に説明会、体験会を通じて、かなり入念に説明します。入試の一番のポイントはうちの学校の理念を理解しているかどうかなので。もう既に2年間やりましたけど、採点がおかしいとか、うちの子はなんで落ちたんだ、なんてことを言われることはありません。」

「また、別に、算数や国語などのテストをする、いわゆる一般試験もありますが、新タイプの試験とは一切、評価基準が違います。新タイプ試験で優秀だった生徒が国語や算数は全然できない、ということもあります。私は国語科の教師なので、漢字は教えれば翌日には書けるようになると感じていますが、リーダーシップというものは教えても、素質的なものもあって、すぐには身につかない。そこから付け加えていく部分など大いに経験をして、時間をかけて習得する、ということはあると思いますが、むしろ、こうした非認知能力を持っている子の方が、その先を感じることは多々あります。」

iPadはやりたいことのためにあるツール

iPadをこれまでうまく活用できなかった先生に、こうやったらうまくできるよというヒントがあれば教えてください。

「どういうアプリを使うとか、iPadをどう使うか、と考えてしまいがちな先生が多いですね。発想は逆にした方がいいと思います。『こういうことがしたいんだけど、iPadだったらできるのかな?』っていう発想ですね。私は、起承転結を教えたくてキーノートを使いました。例えば、夏休みの思い出を起承転結にしなさいという授業をしたんですけれども、まずはおばあちゃんちに行きました、最後は縁日で迷子になっちゃった、終わり、みたいな。最後にそれを動画にして、ナレーションを吹き込んで物語にする。そうすると喋(しゃべ)る力とか相手に伝える力も出てくる。iPadは『やりたいことのためにある』という前提で考えられるのが一番いいなっていつも思っています。」

GUEST PROFILE

岩崎 洋二郎(イワサキ ヨウジロウ)

東京成徳大学中学・高等学校
教師歴:21年目 現在44歳です。
大手塾で1年間講師をして東京成徳では25歳から勤務しています。教科は国語で、中学1年生~高校3年生まで、現代文や古典はもちろん、小論文や表現の授業などジャンルは問わず担当しています。部活動はサッカー部を担当しており、生徒と過ごす時間がかけがえのない時間に感じます。
最近では、iPadを授業も多く取り入れています。最も大切にしていることはモチベーションです。

  • *本記事中に記載の肩書や数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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