東星学園小学校 井上 厚史

2021年8月20日公開分のTeacher's CLIPの番組サマリーをお届けします。

今週のTeacher's CLIPは、Zoomを使って収録しています。

番組サマリー

小学生のうちからiPadとChromebookの「一人2台」

東星学園小学校は東京清瀬市にある1936年創立のカトリックミッションスクールです。創立者はパリミッション会からきたヨゼフ・フロジャク神父で、創立以来「礼節と多様性」をモットーにしています。OSやアプリケーションがブラウザーベースに移行することを考え、学習用端末はiPadとChromebookの「一人2台」を2019年度より進めています。

「Keynote」のリンク機能でプログラミング的思考を育む

プログラミング教育というと「まずは自分自身が専門の知識や言語を習得しなくては」という不安を持つ先生もいるかと思います。しかし、iPadのプレゼンテーションアプリ「Keynote」の「リンク」という機能を使えば、子どもたちのプログラミング的思考を育む授業を簡単に実現することができます。

Keynoteで作成した「わたし検定クイズ」

通常のプレゼンテーションであれば「AページからBページへ、BページからCページへ」と順を追ってスライドを進めていきます。ここにリンク機能を追加することで、「AページからCページへ、CページからBページへ、Bページからもう一度Cページへ」といったように、選択によって自由にページ進行させることが可能です。

年度はじめに「わたし検定クイズ」というものを子どもたちと作成しました。ゲーム形式で問題を出し合うのですが、子どもたちは「もしこの答えが出たらこっち」「違う答えが出たらこっちのページに」と、楽しみながらリンクを貼っていきます。条件分岐の考え方を自然と身につけることができていると感じています。

「GarageBand」を使って楽しく円周率を覚える

最近、概念は理解できるのだけれど計算ミスが多いと感じるのが円周率です。小数計算をするときにミスをしてしまうため「3.14」を嫌がるようになってしまうのです。円周率は古代から多くの天才たちがその解明に取り組み続けている未知の領域。そんな魅力あふれる円周率を毛嫌いして欲しくないと感じていました。

そこで、なにか円周率を楽しめる方法はないかと考え出したのが「GarageBand × 円周率でHip-Hopを作る」という取り組みです。まずは円周率をできるだけ長く暗記します。中には30桁ほど暗記する子もいます。次に「GarageBand」でかっこいいリズムを作ります。最後にそのリズムに合わせて円周率をラップするという流れです。

実際に授業でやってみたところ、これが子どもたちに大ウケでした。歌詞は円周率ですので使う数字はみんな同じなのですが、できあがった作品は一人ひとりの個性があふれるものになりました。子どもたちの「多様性」を大切にする東星学園にぴったりの取り組みであったと感じています。

GarageBandでHip-Hopのリズムを作成

リズムにあわせて円周率をラップで暗唱

ICTを子どもたちが自己実現するための鉛筆に

一人1台が全国的に進んでいるいま、「持っていること、使えること」は当たり前になってきています。「ICTを使って授業しています」は「鉛筆を持たせて授業しています」と同じ感覚です。これからは「その鉛筆を使ってどんな絵を描かせたいのか」を考えることが大事になると思っています。

ICTを使うことで、子どもたちにどんな絵を描いて欲しいのか。子どもたち自身が、今後の人生デザインを考えるうえで、「ICTを鉛筆のように自由自在に使って自己実現するための道具にすること」だと考えています。そんな学びを実現できる授業、学校づくりをこれからも目指していきたいです。

番組視聴はこちらから

GUEST PROFILE

井上 厚史(いのうえ あつし)

東星学園小学校

東星学園小学校にて算数科主任、学校広報主任、入学試験担当、ICT管理者を務める。学習用端末はiPadとChromebookの一人2台を考え、2019年から導入を開始。教科、単元に応じて端末を使い分ける授業実践を行う。2021年には担任に復帰。より子どもたちの生活に生かせるICT環境を整備中。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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