京都府立清明高等学校 下拂 徹

2021年11月19日公開分のTeacher's CLIPの番組サマリーをお届けします。

今週のTeacher's CLIPも、Zoomを使って収録しています。

番組サマリー

GIGAスクールを前に一人1台環境を実現した公立高校

京都府立清明高等学校は2015年に開校した7年目の学校です。単位制の定時制高校で、基本は4年間での卒業になりますが、授業の取り方によっては3年間での卒業も可能です。大学のように開講される科目が決まっていて、進路に応じて時間割を生徒たちで決めることができます。

生徒たちは一人1台のiPadを入学時に購入、教員も全員iPadを所持しています。校内全域にWi-Fiが完備されていて、教室や体育館、グラウンドでもインターネットに接続できます。また「ロイロノート・スクール」を導入しており、管理対象Apple IDや「Teams」のアカウントが配布されています。

一人1台のiPad環境で「ロイロノート・スクール」を活用

デジタルならではの利点を生かした数学の授業

ホワイトボードは左半分が投影スペースに

授業ではまず、iPadで撮影した板書写真を使って前回の復習をします。また、ホワイトボードは左半分をプロジェクターの投影エリアとして使用するため、板書スペースが右半分しかありません。そこで右側が埋まってしまった際には、写真を撮って左側に投影するといった工夫をしています。

数学では解き方の過程が大事なので、ふだんは板書をしながら過程を見せます。しかし、まとめを見せるときには一覧で見せた方が効果的なため、自分の授業ノートを撮影したままプロジェクターで投影して見せています。板書の時間を削減することにもつながり一石二鳥です。

グラフを見せたいときは「Grapes」やデジタル教科書のアプリを使うと、素早くきれいなグラフを提示することができます。テンプレートも豊富に用意されていて便利です。グラフが動く様子など、ホワイトボードでは表現できない説明をする際に活用することで、生徒の視覚的な理解が深まります。

宿題やプリントもデジタルで! iPadで進むペーパーレス化

以前は宿題を点検するのに生徒全員のノートを回収する必要がありました。いまでは「ロイロノート・スクール」で写真に撮って、デジタルで提出するということが可能になり、とても便利になりました。生徒にとっても宿題のたびにノートを提出する必要がなくなったのはメリットと言えます。

宿題の提出はiPadで写真に撮って送信

教員にとっても「職員室の机の上が回収した生徒のノートでいっぱい……」ということがなくなって助かっています。また、提出された全員の課題がデータとして残るのも大きな利点です。生徒一人ひとりがどこでつまずいているのか、じっくりと見ることができるようになりました。

さらに、一人1台のiPadがあることで、配布物のペーパーレス化が進みました。テストの解答や授業のプリントなどは「ロイロノート・スクール」を使って送信します。ショートホームルームの連絡や学校生活における生徒向けのプリントなどは「Teams」を使って配布するようにしています。

使いやすいシーンを見つけ広げていく!

iPadなどのタブレット端末を活用しようとすると、どうしても「使わなきゃいけない!」という意識が働いて、使うこと自体が目的になってしまいがちです。とはいえ、使おうとしないと使えないため、まずは「授業がちょっと楽になる」という視点で少しずつ活用を進めていくのがいいと思います。

使い方で分からないことがあれば、周りの先生に聞いてもいいし、生徒に聞いてみるのもおすすめです。私自身、先生たちに「こういう使い方がありますよ」と伝えるだけでなく、生徒が面白い使い方をしていたら「どうやって使ってるの?」と聞くようにしています。生徒から学ぶことも多いです。

最初は「代替手段」として使っていきましょう。レポートを「手書き」から「Pages」に代えるだけでもOKです。例えば、就職指導で志望理由書を何度も書き直すのは大変です。「Pages」や「メモ」で書けば、教師のアドバイスを聞いてその場で書き直せるので、よりブラッシュアップすることができます。

ICT活用のための研修会も毎回集まってやろうとすると大変です。そこで「Slack」を使って授業での活用法などを共有しています。このように少しでも使いやすい場面を見つけ、それを広げていくことが、ICTを上手に活用していくうえでの大事なポイントなのかなと考えています。

番組視聴はこちらから

GUEST PROFILE

下拂 徹(しもはらい とおる)

京都府立清明高等学校

担当教科は数学。2013年に府立高校イノベーションリーダーに任命されたことをきっかけに、ICTを活用した授業の実践や校務の情報化に取り組み始める。現勤務校では、ICT教育推進会議のメンバーとしてICT教育を推進するとともに、一人でも多くの先生が気軽にICTを活用できるようにサポートや情報提供などをしている。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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