スクールエージェント株式会社 田中 善将

2020年4月17日公開分のTeacher's CLIPの番組サマリーをお届けします。

番組サマリー

生徒の夢にフォーカス。生徒と先生が一緒に夢を探す学校

郁文館グローバル高校は、郁文館夢学園という東京都文京区にある私立の中高一貫校です。生徒たちは全員、高校2年生の時に1年間の海外留学をします。そこでの体験や苦労を持ち帰り、自分のアイデンティティーと向き合って進路を探していきます。生徒がどうありたいのか、どんなふうに進んでいきたいのかを、先生が徹底的に寄り添って一緒に幸せを見つけていく学校です。

授業を受け持ちながら泥まみれになってのICT導入

いわゆるアクティブ・ラーニングやPBL(Project Based Learning:課題解決型学習)は学校として以前から実施していました。その中で、どうしても紙では行えない部分や先生の手間暇がかかる部分があり、「Chromebook」を導入することが決定。「情報の密度を上げていく」というミッションの下、私はチームリーダーとしてICT導入に取り組むことになりました。

授業や担任を受け持ちながらのICT導入準備

もちろん教員でもありますので、授業をしながらICT導入に向けた仕事をすることになります。機種の選定からプランニング、注文、生徒たちへの配布準備。配ったあとには、保護者のみなさんにどのように使っていくかを説明し、先生たちへの研修を実施。さらには、先生たちの事例の共有などなど、現場で泥まみれになりながらやってきました。

先生をしながら起業しようと考えた理由とは?

授業もたくさん持っていましたし、担任もやっていましたので、子供たちと向き合う時間がたくさんあります。また校内の業務はそれだけではありません。部活動の指導もありますし、休みの日は当然、引率もあります。そして家に帰れば、わが子の面倒を見るというパパとしての役割もあります。

こういった状況は、私だけでなく世の中のすべてのICT担当の先生が経験することだと、あるとき気づいたのです。ツラいのは自分だけじゃない、きっと役に立てる日が来るだろうと。少なくともこれから10年、20年はお役に立てるだろうと考え、思い切って起業しました。自分の経験を生かし、多くの学校さんに関わりたいと思っています。

ICT研修・講演でみずからの経験を先生たちにシェア

ICTを使って実現したい新たな二つのチャレンジ

一つはICTを使って情報の密度を上げていくことです。例えば、教科書に載っている3〜4行の文章を黒板に書き写すような授業は、よほど先生の語りがうまくない限り、生徒の頭は回りません。ICTに置き換えることで、その時間を別のことに充てられます。つまり、生徒の頭の中に残る情報をもっともっと濃くしていくことができるのです。

さらに発展させると、学校の枠を超えてさまざまな価値を生み出すことにつながります。他の学校の子供たち、あるいは専門家や企業の方と何か一つのプロダクトを作るなど、PBL(課題解決型学習)は、門戸を超えて実現することができると考えています。その実例を示したいと思い、いま何人かの先生たちと一緒に一つのプロジェクトを運営しています。

もうひとつは、ワクワクの創出です。新型コロナウイルスの問題が発生し、多くの学校でICT活用が一気に広がっています。「Zoom」などのビデオ会議システムやGoogleのアプリケーション、その他多くのソフトウェアを使って通信環境を敷いているところだと思います。

そういう現場を見ていると「いまはこういう状況だから、こういう授業しかできないよね」といった意見が多く聞かれます。でも本当にそうなのでしょうか。これまで誰もそれを集中的にやってこなかっただけで、工夫をすれば子供たちの目がキラキラするような授業が作れるのではないでしょうか。

いいソフトウェアはたくさんあります。それらをつなげてどうワクワクを捻出するか。例えば、子供たち自身が解説授業をして、YouTubeを通じてクラスのみんなに発表してみる。きっと子供たちの創作意欲がかき立てられるはずです。そういったワクワクは、ICTを使って遠隔で実現していく。そんなチャレンジを生み出していきたいと思っています。

番組視聴はこちらから

GUEST PROFILE

田中 善将(たなか よしまさ)

スクールエージェント株式会社 代表取締役
郁文館グローバル高校 教員

東京学芸大学教育学部卒業後、郁文館夢学園に就職。高校の教員を経て、公益財団法人School Aid Japanに出向。バングラデシュで貧困層向けの小中一貫校を設立する。帰国後は、中学の教員をしながら郁文館夢学園のDXを先導。現職教員を続けつつ、スクールエージェント株式会社を設立し、ICTコンサルタントとして関東圏の数校をサポートしている。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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