龍谷中学校・高等学校 中村 純一

2020年11月20日公開分のTeacher's CLIPの番組サマリーをお届けします。

今週のTeacher's CLIPも、Zoomを使った収録でお送りしています。

番組サマリー

GIGAスクール構想の恩恵を受けたストレスフリーICT環境

龍谷中学校・高等学校では、中学1年生と2年生、高校1年生の全員に学校からドコモのLTE版 iPad(第7世代)が無償貸与されています。通信費のみ、ご家庭でご負担いただきます。学校にはWi-Fiが完備されていて、GIGAスクール構想の恩恵で回線速度もそこそこ出ておりストレスなく使えています。

充実したICT環境で行われる先進的な授業

各教室には電子黒板があるのですが、最近になってその全てにApple TVが設置されました。利用しているサービスとしてはAppleの「iWork」やマイクロソフトの「Office」。また「MetaMoJi ClassRoom」や「Teams」などを利用した授業展開がよく見られます。

公立の中学校から私立に。職員室で交わされる会話の違いとは?

今思い返してみると、公立の学校ではさまざまな面でリスト化されたように生徒の管理や指導ばかりをしていたような気がします。生徒に「学びのオーナーシップ(自己責任)」を意識させないところがあったのではないかと感じています。一方で私立の学校に来てみると、生徒が主体的に考える機会が多く与えられているのです。

だから、学ぶ意義を感じられるような活動を教員のそばでどんどん作っていくことができます。制服や頭髪指導の話ではなく、生徒の良さをより引き出すためにどうすればいいか。そんな話を職員室でできることが素晴らしいです。何より、自分以外の先生がiPadの話を職員室でしていることを奇跡のように感じています。

学校が目指す学力と生徒の学びとをつなげるICT

「マインクラフト」を使って校舎をリアルに再現

「Teams」のチャット機能を使って生徒から家庭学習の報告メッセージをもらったり、授業中の活動に使用したりもしています。また、生徒の撮影については事前に許諾を取っているので、名札にガムテープをはって隠したりといった必要がなく、自由に動画が撮れるのもありがたいです。

先日、校内のゴミ問題を解決するために「STEAM教育」の視点を取り入れた活動を行いました。プログラムで動かす「レゴ」や「マインクラフト」を使ってプロトタイプ装置を制作し提案するのですが、中学校の校舎を「マインクラフト」で精巧に再現した生徒がいました。

どのように制作したかを聞いたところ、「Googleマップ」で校舎を真上から撮影し、それをもとに「マインクラフト」のブロック数を計算したとのこと。龍谷中学校には、理数的思考力とグローバルマインドを組み合わせた「龍谷中高一貫理数グローバル」が今年度からスタートしています。iPadなどのテクノロジーを教育に導入することにより、先ほどのような事例が見られるようになったのも、この理数グローバルの特長の一つです。

これからの学びを築くうえで教師に求められること

公立の学校であれ私立であれ、これからは「教師がなんでも教えてしまわずに我慢すること」が重要になってくると考えています。生徒に「学びのオーナーシップ」を持たせて、自ら主体的に考えていこうとする芽を摘まないようにすることが大切です。

学ぶ意義を生徒自身が感じられるよう、教師がそこで学ぶ理由やゴールを語ること。失敗から学ぶことの大切さを生徒と教師が共に理解していること。その視点さえあれば、学校間の格差や取り組み方の違いがあったとしても大丈夫なのではないでしょうか。

番組視聴はこちらから

GUEST PROFILE

中村 純一(なかむら じゅんいち)

龍谷中学校・高等学校

2020年3月に教育公務員を49歳で退職。私立佐賀龍谷学園龍谷中学校での教育活動を開始。2013年よりiTeachers、2015年よりApple Distinguished Educator、2017年よりDproメンバーとして、未来を生きる生徒たちのために、今、何ができるのか、世界中の教育者と協力しながら、教育に変革を起こすべく日々の教育活動に取り組む。AR・VRなどのXRテクノロジーの教育利用の研究にも取り組む。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

バックナンバー

過去のバックナンバー一覧
Teacher's CLIP バックナンバー

ナビゲーションメニュー