成城学園初等学校 秋山 貴俊

2021年1月15日公開分のTeacher's CLIPの番組サマリーをお届けします。

番組サマリー

「映像」の授業でICT機器を活用して映像作品を制作

成城学園初等学校は、東京都世田谷区にある私立小学校です。澤柳政太郎先生が、画一的な教育を打破するために実験学校として成城小学校を創立したのが始まりです。ほかの学校にはない「劇」「遊び」「散歩」「舞踊」「映像」といった教科があることも特長の一つです。

現在のICT環境ですが、各教室に電子黒板、液晶テレビ、書画カメラ、そして「Apple TV」があります。児童用のICT機器として、iPadが80台、MacBook Proを8台保有しています。主に「映像」という教科で映像作品を制作するのに使用しています。また校内には児童が使えるスタジオもあります。

MacBook Proを使って映像の編集をする子供たち

「双方向授業」と「動画配信」を組み合わせたオンライン授業

YouTube動画配信で行われた図画工作の授業

2020年5月から約2ヶ月間、全校児童を対象にオンラインで授業を行いました。具体的には、「Zoom」による双方向授業と「YouTube」による動画の配信を行いました。国語、算数、理科、社会、英語は「双方向授業」、体育や図画工作などほかの教科は「動画配信」で授業を行いました。

「双方向授業」と「動画配信」の2種類に分けることで、子供たちが長時間の視聴にならないように配慮しました。また「Zoom」を使って、授業で分からなかったことや生活の悩みなどを自由に相談することができる「質問コーナー」の時間を作ったことも特長です。

印象に残ったエピソード

オンラインで授業を再開すると決めたときの最初の職員会議が印象に残っています。普段ICTをほとんど使っていない先生もいました。そんな中、「全員でZoomに入ってみよう」ということになったのです。初めて説明を聞く先生たちは半信半疑でしたが、全員が「Zoom」を使って会話することができました。

今振り返ると「みんなで体験した」「全員ができた」という経験が非常に大きかったと考えています。ここで生まれたチームとしての自信と一体感があったからこそ、その後のオンライン授業を実現する大きな推進力になりました。

Zoomを使ってオンラインで実施された「朝の会」

また、児童たちも全員が教室で顔を合わせることなく、オンラインで新学期をスタートすることになりました。オンラインによる「朝の時間」の自己紹介やミニゲームを行う中で、少しずつ仲良くなっていく子供たちの姿に、担任としてほっと胸をなで下ろしたことを覚えています。

Withコロナ時代の学びを作る先生たちへ

コロナ禍の生活、そしてオンラインの活用は一過性のものではないと考えています。これからの教育を大きく変える「分岐点」と言ってもいいのではないでしょうか。今後も全国の先生、そして全世界の先生とつながりながら、Withコロナ時代の教育を考えていきたいと思っています。

また、本校のオンラインの取り組みを「誰でもできる! オンライン学級のつくり方」という書籍にまとめました。現場目線のノウハウがギュッと詰まった1冊になっています。これからオンライン授業を始める学校も多いと思いますが、不安を抱える先生方にとって少しでも助けになればうれしいです。

番組視聴はこちらから

GUEST PROFILE

秋山 貴俊(あきやま たかとし)

成城学園初等学校

1984年東京都生まれ。文教大学教育学部卒業。株式会社帝国データバンク、西武学園文理小学校を経て、現在、成城学園初等学校教諭。成城学園情報一貫推進検討委員、日本スクールコーチ協会認定スクールコーチ。編著に「ゼロから学べるオンライン学習」(明治図書)、「誰でもできる! オンライン学級のつくり方」(東洋館出版)がある。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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