HILLOCK 初等部 五木田 洋平

2021年6月18日公開分のTeacher's CLIPの番組サマリーをお届けします。

今週のTeacher's CLIPは、Zoomを使って収録しています。

番組サマリー

より良い学びを追及していった結果としてのICT

勤務校にiPadが導入されたり、プロジェクターが各教室に設置されたりしていたことがきっかけでICT活用を始めました。もともとICTにすごく詳しかったという感じではないので、まず便利さを体験したことで「ICTって使えるな」と感じるようになっていきました。

私自身はあくまで教師であり授業者の一人です。もっと学習者である子供たち同士が学び合ったり、もっと効果的で効率的な学びになればいいなという思いを常に持っています。「あるものを使ってもっと良くしていこう」と追及していった結果、ICTにたどり着いたという感じです。

iPadは子供たちの効果的な学びのために活用

「探究学習×ICT」で発想と学びが広がる

各人が調べたことを「スクールタクト」で共有

探究学習では、既にあるものを覚えることが最終的なゴールではありません。子供たち自身が自分で何かを作ったり、発想したり、自分の意見をまとめたり、そういった学習を目指しています。だから、自分で作ったものや考えた文章を、お互いに見せ合ったりすることが大切です。

それぞれの子が書いたものを記録して、どんどんと変化していく様子を履歴として見ることは、紙のノートではなかなか実現できるものではありません。そういった「発想のための道具」「考えるための道具」として、ICTはとても使えるツールだと感じています。

子供たち同士が発想し合っているなと強く感じたのが、「バイオミメティクス」(生物模倣技術)の授業です。機械の中に生物の構造を応用するというもので、例えば、新幹線の頭の部分はカワセミのくちばしに、パンタグラフはフクロウの翼の形にすることで空気抵抗を少なくしています。

そういった生物の形を模した物を学んでから、自分の作品を作るという活動を行いました。子供たちは自分の iPadを使って、授業支援アプリの「スクールタクト」に書き込んでいきます。それを互いに見せ合って「そういう発想もあるね」と学びを広げていきました。まさにインフォメーションとコミュニケーションのテクノロジーならではだなと感じました。

2022年春に開校予定の「HILLOCK 初等部」がめざすもの

「HILLOCK(ヒロック)」は「小高い丘」という意味で、学びの丘を自由に駆け巡ってほしいという意味から名付けられました。コンセプトは「ワイルド&アカデミック」。自然の中でたくましく豊かに育つ部分と、アカデミックの面白さをどんどん吸収していくという、二つのつながりを大切にしています。

2022年春の開校に向けて準備中のHILLOCK 初等部

世田谷区の砧(きぬた)公園という大きくて自然豊かな公園まで歩いて1分足らずのところにHILLOCK 初等部はあります。まずは公園での自然の中で遊び、お互いを楽しませる時間を過ごす。そして、学校で教科的な部分や知的な面白さのある学びを行う。その両方を体現していきたいと考えています。

教科の枠を超え、児童と教師が共に学べる空間へ

HILLOCKでは、子供たちのことを「co-learner」(=共に学ぶ者)と呼んでいます。まずは子供たちに、学びが知的で楽しいものだということを感じてほしい。また、私たち教員は学びのプロガイドという意味で「シェルパ」と呼ばれますが、同じ学習者として教員も一緒に学びを楽しめる空間を作りたいと考えています。

そのためには、国語、算数、理科、社会といった教科にこだわらない学びが大切です。理想とする学びに必要なことをコンテンツとして扱っていければと思っています。教科書の外に飛び出す。そんな学びを実現していくためには、やはり ICTが必要不可欠な存在になってくるはずです。

番組視聴はこちらから

GUEST PROFILE

五木田 洋平(ごきた ようへい)

HILLOCK 初等部

私立小学校教員として10年間勤務したのち、カリキュラムディレクターとしてHILLOCK初等部の設立に参画。シンガポール日本人学校の研修講師や大学の特別講座を担当するなど、学外の活動にも積極的に取り組んでいる。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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