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ニホンハンダ株式会社様 DX導入事例

製造現場の意見を取り入れたIoT実績収集システムの有効活用で機械の予防保全と品質向上を図る。

ニホンハンダ株式会社は、創業以来100年以上の長きにわたり、 デバイスの製造に不可欠なハンダペーストや成形ハンダを製造・販売するパイオニア企業。『生産革新 Ryu-jin』による生産管理情報の一元化を実現し、さらに入力業務の改善に着手。製造現場の意見を取り入れ、機械の予防保全や製品の品質向上に結び付けている。

ニホンハンダ株式会社

導入先の概要

業界ハンダ製造業
事業内容ハンダ、ヤニ入りハンダ、ラピゾール、ラピックス、半導体・電子部品用各種成形ハンダ、電子部品・電子機器用各種ソルダペースト、導電性接着剤・低温ハンダ・高温ハンダなどの製造および販売
従業員数90名(2020年12月現在)
ホームページhttps://www.nihonhanda.com

導入前の課題

  • 生産日報を手書きしていたため、リアルタイムで正確なデータが収集できていない
  • トップダウンではなく製造現場が主体的に考えて動く改善体制をつくりたい

導入したソリューション

製品カテゴリー製品名
IoT実績収集システム実績班長(タブレット版)
生産管理システム生産革新 Ryu-jin
開発ツールSMILE Custom AP Builder

改善効果

  • 生産実績のリアルタイム反映により残業時間を削減し、データ精度が向上
  • 現場担当者の意見を反映したことで、業務改善に対するモチベーションアップ
  • 実績収集データの活用

DX化のポイント

  • 生産管理システムへの正確でリアルタイムな実績入力がしやすい環境を構築
  • 製造現場の人と機械の動きを把握する可視化ツールを導入

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導入事例詳細

常に研究開発に磨きをかけながら、高品質なハンダで顧客のニーズに対応

ニホンハンダ株式会社(以下、ニホンハンダ)は、1910年の創業以来100年以上の長きにわたり、金属の接合に使用されるハンダを製造・販売している。常に研究開発に力を注ぎ、高品質なデバイスの製造に不可欠なハンダペーストや成形ハンダなど豊富な製品を取りそろえていることが大きな強みだ。

東京の本社営業所、千葉県の船橋工場と電子材料研究所を中心に、中国やマレーシア、香港にも拠点があり、グローバルなビジネスを展開。顧客の要求仕様に合わせて多品種多様生産で供給できる体制を整えている。

2018年には、より一層の高品質化が求められる自動車業界の品質マネジメントシステムの国際規格「IATF 16949」の認証を取得。コロナ禍でも堅調な業績を維持している。

製造現場の多様な実績情報を正確かつリアルタイムに収集

ニホンハンダは、2017年10月に繰返・量産型生産管理システム『生産革新 Ryu-jin』を大塚商会から導入。それまでAccessなどで分散して管理していた生産情報の一元化によって、業務の標準化や原価管理などをはじめ品質管理の精度向上を実現した。さらに今回、製造現場の実績情報を正確かつリアルタイムに収集できる仕組みづくりに着手。主な目的は、機械の予防保全や製品の品質向上を図ることだ。

製造部 次長 佐増 佳典氏

その具体的な取り組みとして着目したのが、Ryu-jinへの生産情報の入力作業を改善することだった。

「以前は、作業終了後に、生産日報を紙ベースで作成し、それを基に各現場の担当者が実績情報をシステムに手入力していました。ところが、忙しいときは、残業時間が増えてしまい、場合によっては、翌日に入力作業を行うこともありました。その結果、さらなるデータのリアルタイム性と精度の向上が不可欠であることが分かりました」と製造部 次長の佐増 佳典氏は語る。

そこで、入力作業の課題を解決するため、大塚商会に相談。その解決策として導入したのが、IoT実績収集システム『実績班長』(タブレット版)だ。これを『生産革新 Ryu-jin』と連携させることによって、詳細な実績情報をタブレットでリアルタイムに入力できるようになることが一番のメリットだった。それによって、入力したデータにタイムラグが生じる心配がなくなり、残業時間の削減・データ精度の向上にもつながる。

タブレット版のIoT実績収集システムを有効活用

『実績班長』(フルバージョン)では、機械と直接連動させて実績データを自動的に収集することができるが、それには時間もコストもかかる。そのため、まずは、特定の製造現場にテストケースでタブレット版を導入し、生産実績の入力作業の簡易化と精度向上を図る取り組みをスタートさせた。

「実績班長は、生産工程の段取り時間や機械の開始・終了時間、さらに機械が故障して休止している時間など詳細な情報を収集できるメリットがあります。そのため、これまで勘と経験で行っていた機械の予防保全や、工数などの管理を正確に行えるようになりました」(佐増氏)

製造現場でタブレットを使って作業実績をリアルタイムに入力することによって、機械の予防保全や労務費などの管理が正確に行えるようになった

また、大塚商会のサポート力も高く評価している。「大塚商会さんは、操作方法を分かりやすく指導してくれるので非常に助かっています。電話で質問することも多いのですが、その度にスピーディーに対応してくれるので、とても頼りになります」と工場管理部 課長の岸畑 孝弘氏は語る。

プロジェクトチームを立ち上げて製造現場の意見を積極的に取り入れる

新システム構築に当たり、2020年7月に社内プロジェクトチームを発足。いきなり複数の製造現場で取り組みを開始すると混乱が生じる恐れがあったため、最初は、ハンダペーストの材料となるハンダの粉末製造現場から導入を進めていった。
それに伴い、ハンダの粉末を製造する担当者2名と技術者をメンバーに加え、現場の意見を積極的に取り入れながら、『実績班長』(タブレット版)の活用方法の検討を開始した。

「生産管理業務の改善は、経営幹部やシステム管理者からのトップダウンではなく、現場の担当者が主体的に考えて実行することが重要だと考えています。そのため、現場担当者と実績班長を活用するメリットや問題点を話すことから始めました」(佐増氏)

そのうえで、佐増氏は、現場の意見を取り入れた『実績班長』に対する改善要望事項を明文化した。それを基に大塚商会と打ち合わせを重ね、さまざまな問題点をクリアしながら『実績班長』の導入準備を進めていった。

現場担当者の業務改善のモチベーションが大きく向上

「実績班長への改善要望は、操作画面の文言など、細かいものも含め100以上ありました。しかし、大塚商会さんは、それらを一つ一つ精査し、開発元のソフトウェアベンダーと一体となり、より使いやすくブラッシュアップしてくれました」(佐増氏)

その結果、自分たちの意見が実際のシステムに反映されたことで、現場の担当者の業務改善に対するモチベーションが大きくアップし、プロジェクトはこれまで以上に円滑に進んだ。

その後、新システムは、2020年11月に本稼働した。しかし、最初は、タブレットの操作に慣れてもらうために、従来の紙の生産日報を併用しながら運用することになった。その分、現場の担当者の負担は増えるが、最終的に紙による管理をなくしてペーパーレスを実現するための布石であることをきちんと説明することで、理解を得られたという。

詳細な情報を正確に把握することで、機械の故障や品質低下を未然に防止

今回の『生産革新 Ryu-jin』と連携させた『実績班長』の導入は、将来のあるべき姿を見据えた長期的な業務改善プロジェクトの一つのステップにすぎない。しかし、その導入効果は非常に大きいという。

「一番の導入効果は、これまで正確に把握できなかった機械の稼働状況や機械の故障時間などの細かな情報が数値として可視化されたことです。それにより、機械の予防保全が計画的に行えるようになり、機械の故障による損失や製品の品質低下を未然に防げるようになります」(佐増氏)

工場管理部 課長 岸畑 孝弘氏

経験豊富な多能工技術者はさまざまなノウハウを持ち、実にさまざまな作業をこなす。その経験値を実際のデータに置き換え、彼ら自身の感覚を数値化。その数字を基にどのように改善していくか、という明確な形が確立されたのだ。

『実績班長』は、作業実績に関する詳細なデータを収集できる。そのデータは即座に『生産革新 Ryu-jin』に反映されるため、工数の管理が以前よりも正確に行えるようになる。半年もしくは1年後には、『生産革新 Ryu-jin』に蓄積された生産情報を分析することによって、生産性や品質のさらなる向上に結び付ける考えだ。

『実績班長』は、現場の業務効率の向上にも寄与している。

「以前は、現品票を印刷するために、わざわざPCのある場所まで移動しなければなりませんでした。しかし、実績班長を利用すれば、手元にあるタブレットですぐに確認できるので、業務が楽になったと喜ばれています」(岸畑氏)

同社は、『生産革新 Ryu-jin』と開発ツール『SMILE Custom AP Builder』を使って工程管理票を作成しており、その中には、品番ごとの機械設定値などが記載されている。現状は、紙出力で確認しているが、今後はデータを『実績班長』に取り込み、タブレットで確認することでペーパーレスを進めていく。

さらに、2021年度には、次のステップとして、二つ目の製造現場にも『実績班長』を導入する計画だ。

「新たな製造現場には、実績班長のフルバージョンを導入します。機械と連動させて実績データを直接収集することによって、現場の入力作業の負担を減らし、機械の予防保全に役立てていくことが狙いです」(岸畑氏)

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