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Web営業の基本 ~リード獲得・育成編~
製造業では、長い間リアルな対面営業で新規顧客の開拓をしてきました。コロナ禍でそうした営業手法が取りにくくなった現在、注目されているのがWeb営業です。しかし、「Webサイトは持っているけれど活用できていない」という会社も少なくありません。サイトを営業担当者のように活用するにはポイントがあります。Webマーケティングにおける五つのステップ(サイト構築、集客、リード獲得、育成、商談・受注)のうち、今回はリード獲得と育成について解説します。
目次
Web営業ではリード獲得が重要
Web営業ではリード獲得が重要です。まずは「リード」の意味や、実際にWebサイトを活用したリード獲得方法を押さえておきましょう。
リードとは
リード(Lead)とはBtoBマーケティング用語で「見込み客」を指す言葉です。Leadには「先を行く、率いる」というよく知られた意味のほかに、「糸口、きっかけ」という意味もあり、マーケティングにおいてリードは、購買へ至る糸口、きっかけという意味で使われています。
BtoBの場合、一部の消耗品を除き、Webサイトからいきなり購入につながることはほぼありません。 ユーザーが製品やサービスについて情報を集め、じっくり検討してから購入に至るのが一般的で、そのきっかけになるのがリードです。リードはいわゆる「今すぐ客」ではありませんが、良いリードをたくさん集めれば、将来的に売上増加の可能性が増えます。
リード獲得とは
リード獲得とは、問い合わせや資料請求などから見込み客の個人情報を獲得することです。氏名・年齢・住所・職業などの基本情報を集めて効率的な営業活動につなげます。
リード獲得は、問い合わせや資料請求などで取得するのが一般的です。リードはまだ見込み客で、購入するかどうか迷っている段階ですから、購入よりも心理的ハードルが低い問い合わせや資料請求から個人情報を取得し、それをもとに営業することで、購入につなげやすくするのです。
リード獲得に必要なコンテンツとは
リードを獲得するためには、見込み客に「個人情報を出してもいい」と思ってもらえるような何かを同時に提供することが重要です。
例えば、見込み客はビジネスに役立つ情報を求めてサイトを訪れているわけですから、質の良いダウンロード資料をWebサイトにアップしておくと、資料ダウンロードと引き換えにリード獲得することが可能になります。こうしたものが既に社内で作成済みであれば、ぜひダウンロード資料として活用しましょう。
資料ダウンロードしてもらいやすい資料の具体例
- 製品カタログ
- 試供品提供
- 事例集
- 小冊子
- 調査レポート
- 比較ガイド
見込み顧客の育成
リード(見込み客の情報)を集めたら、次にその見込み客を製品やサービスの購買に導くために、育成(ナーチャリング)を行います。
育成とは
育成とは、獲得した「リード」を「育成」(ナーチャリング)して自社製品の良さなどを的確に伝えて購買につなげることです。リードナーチャリングともいわれます。
リードはすぐに商談につながるホットリストではありません。しかし、すぐにではないにしても将来的な見込みにつながる可能性があるわけですから、何もしないでいるのは非常にもったいないことです。そこで、継続フォローで興味や関心を引きつけ、販売へつなげることが重要です。これをマーケティングでは「育成」と呼びます。
とはいえ、集めたリード全てを育成するのは効率的ではありません。育成すべきリードは、商談・見込みにつながるホットリストか、興味度の高くない情報収集段階のコールドリストか、 競合などターゲット外の没リストなのか、本当に育成すべきリード=ホットリストを見極めましょう。
育成の手法
リード育成には、DM配信、メルマガ配信、Webセミナー開催(ウェビナー)・SNS運営(Twitter、Facebook、Instagram、YouTubeなど)さまざまな手法があります。
中でも、メルマガ配信はDMと違って送料などもかからず、初めてWeb営業を試みる会社でも取り組みやすい手法です。専属のマーケティング担当者やメルマガ担当者がいない会社は、イベント、新製品の案内からメルマガ配信をはじめてみるとよいでしょう。
メルマガのメリット・デメリット
メルマガのメリットは、送料などをかけずに一度に大量配信ができる点です。一方で、文面作成や配信に工数がかかるなどのデメリットもあります。
- メリット
- 一度に大量配信が可能
- 比較的低コスト
- Webとの親和性が高い
- デメリット
- 文面作成や配信に工数がかかる
- 定期配信しなければならない
メルマガを使った育成フローのポイントは、定期的に配信しながら、自社サイトの閲覧回数を増やして、見込み客に製品・サービス情報への接触頻度を増やすことです。さまざまな情報にたくさん触れてもらうことで製品・サービスの理解度や愛着を高め、営業しやすい状態にします。
見込み顧客育成のためのメルマガの作り方
次に、見込み客を効率的に育成するメルマガの作成ポイントを解説します。
メルマガの目的
メルマガ配信の目的は、自社の強みを伝えて、自社への興味を高め、商談・受注につなげることです。しかし、ある(イプロスによる)調査結果では、見込み客がメルマガを読む理由として最も多かった回答は、「仕事上で役に立つから」。つまり、見込み客に役に立つ情報を提供し続けないと、読まれない(最悪の場合、開封されすらしない)メルマガになってしまいます。
ポイントは、(1)見込み客に役立つ情報を提供する情報と(2)自社への興味・関心を高めてもらう情報のバランスを取ることです。メルマガ作成時にどんな内容にしようか迷ったときは、常にこれらの観点から考えることをおすすめします。
メルマガの基本構成
BtoB 向けメルマガの基本構成には、以下の10項目の基本要素があります。中でも必須の要素は4項目です。
メルマガの基本要素10項目
- (1)件名【必須】
- (2)タイトル(メルマガ名称、配信日、配信タイミングなど)
- (3)配信先と配信理由
- (4)導入文
- (5)目次
- (6)メインコンテンツ【必須】
- (7)自社PR
- (8)編集後記
- (9)配信停止案内【必須】
- (10)発行元情報(署名)【必須】
実際のメルマガイメージ
- *上記イメージはHTML形式のメルマガですが、テキスト形式のメルマガにおいても同様の基本要素を押さえておくことをおすすめします。
メルマガ配信頻度の目安
メルマガは定期的かつ継続的に配信することが大切です。1回のみの配信や不定期の配信では見込み客を育成することは難しいため、メルマガは1カ月に1回配信、最低でも2カ月に1回は配信できると良いでしょう。形式や内容は企業によってさまざまですが、どんな場合でも【メルマガの基本要素10項目】を押さえておくことをおすすめします。また、定期配信して開封率や読み手の反応などを分析することで、業界のニーズなど大きなテーマの傾向も見えてきます。
メルマガ配信のネタ
継続配信となると、立ちはだかるのが「ネタがない」という悩みです。配信を滞らせないためにも、日ごろから意識してネタを集めておくと安心です。見込み客の興味を引く六つの要素を押さえて、ネタを探してみましょう。
見込み客の興味を引く六つの要素
- (1)信頼感
- 会社の知名度、導入実績の件数、リピート率、認証取得
- (2)使いやすさ
- 作業が楽になる、誰でも使える、使い方のレクチャーがある
- (3)リスクを減らす
- 初期費用無料、耐久年数アップ、事故発生件数の軽減
- (4)費用対効果
- コスト削減、工数削減、生産性アップ
- (5)安心感
- アフターサポート、長期の保証期間、リース・レンタル契約
- (6)必要性
- 法規制の強化、事故。災害、競合への導入実績
メルマガ配信のネタ一覧
- 導入事例
- 他社製品との比較表
- 出張デモ
- サンプル提供
- 業界基礎知識
- 業界専門知識
- 動画
- 技術者レポート
- 新製品情報
- 製品アップデート
- 実績データレポート
- 市場調査レポート
- アフターサポート
- 展示会出展報告
- セミナーレポート
メルマガの件名
いくらメルマガを配信しても、見込み客にメールを開封(クリック)してもらわなければ意味がありません。開封してもらうために重要なのが、メルマガの件名です。件名を工夫するだけで開封率がグンと上がることがあります。自社が伝えたいことを、見込み客が知りたいことに置き換えることは、メルマガ作成法の基本です。
件名の付け方のポイント
- 今回のメルマガで最も伝えたいことを一つに絞る
- 文頭に最も伝えたいことを配置する
- 見込み客が興味を引く用語に置き換える
開封率が高くなる傾向のある件名
- 読むだけで○○無料プレゼント
- 一人でラクラク〜
- 無料セミナーご招待
- コスト削減に役立つ○○
- 消費電力80%減〜
- わずか1.5kg!手のひらサイズの○○
- *イプロス調べ
まとめ
集客は営業の要です。Web集客、Webマーケティングで重要なのは、今すぐ客だけでなくこれから客のリードを効率的に集め、将来の商談につながるよう育成することです。育成には継続的なアプローチが必要ですが、これまでWebマーケティングに取り組んでいなかった会社でも、比較的取り組みやすいのがメルマガです。
メルマガ配信も自社で実施するのはハードルが高いという会社は、まずはイプロスが提供するメルマガ一斉配信プランのようなサービスを活用するのも一つの手です。
イプロスの有料会員向け機能には、見込み客や顧客に対し自社独自のメールを一斉配信できる機能があります。メールによる情報発信も簡単にでき、継続的な情報発信が無理なく行えるため、顧客の興味・関心を高めることに役立ちます。
本記事の参考・引用元
【イプロス】Webマーケティングの基本~まず押さえるべき5つの基本ノウハウ~
- *イプロスは情報を探すユーザーと、技術をPRしたい企業をつなぐ 日本最大級のBtoBデータベースサイトです。
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