中堅・中小製造業の新規受注につながる実践的マーケティング手法と成功事例

2024年12月26日公開

どれだけ優れた製品や技術を持っていても、それだけでは売れません。継続的に売り上げを伸ばすためには、自社製品や技術の魅力をより多くの人に知ってもらうことが重要です。この記事では、中堅・中小製造業におけるマーケティングの重要性を理解し、自社製品や技術の魅力を多くの人に知ってもらうための具体的な手法や実践するための基本ポイント、成功事例などを詳しく解説します。

製造業のマーケティングとは

良いものをつくる、良いものを届ける

マーケティングとは、企業が顧客のニーズに合った優れた製品を開発したり、自社製品や技術を顧客に知ってもらったりして、売れる仕組みをつくることです。製造業が継続的に売り上げを伸ばして成長していくには新規顧客の開拓や既存顧客からのリピートを増やす必要がありますが、そのための取り組みがマーケティングといえます。

中堅・中小規模の製造業の多くは新規顧客の開拓に課題を感じており、専任・兼任を問わずマーケティングを行う担当者も社内にいない企業が多い傾向にあります。優れた製品や技術を持っていても売り上げが伸びない状況を打破するには、中堅・中小企業にとってもマーケティングに取り組むことが重要となるでしょう。

製造業にマーケティングが必要な理由

ここでは、製造業にとってマーケティングが必要な理由をご紹介します。

情報収集が濃い

製造業の新規開拓といえば従来は展示会が重視されていますが、昨今ではWebサイトなどを活用したデジタルマーケティングの重要性も高まっています。その理由としてあげられるのが、製造業は情報収集が濃いという点です。製造業の商材は専門性が高く、ニーズも幅広いため、顧客はWebサイトなどで入念に情報収集を行う傾向にあります。製品や技術の概要・特徴だけでなく、具体的なメリットや導入事例、価格、サポート体制といった濃い情報をより多くの顧客に届けるには、デジタルマーケティングが適しています。

情報収集の期間が長い

製造業の検討プロセスは非常に長く、多くの関係者が関わる傾向にあります。具体的には、製品や技術を認知した後にWebサイトや展示会で繰り返し情報収集を行い、比較検討してから上司や経営層と議論し、稟議(りんぎ)をあげ、ようやく承認を得る、といった具合です。そのような長い検討プロセスに寄り添いつつ、必要なタイミングで必要な情報を提供するのには、訪問をベースとした営業活動では限界があります。しかし、デジタルマーケティングであれば、顧客の検討プロセスに応じた情報提供を効率的に行うことも可能です。

情報収集のニーズの多様化

製造業の中でも、特にBtoBの製品や技術は顧客の事業内容や状況によって情報収集のニーズが多様化するという特徴があります。顧客の多くは情報収集をする際、Googleなどの検索エンジンを活用しますが、自社がWebサイト自体を持っていなかったり、顧客の求める情報を盛り込めていなかったりすると、検索しても自社製品や技術が出てこず、その時点で検討対象から外れてしまう可能性が高くなります。そのような機会損失を避けるためにもデジタルマーケティングに取り組み、顧客が情報収集をする際に自社の情報が見つかりやすくしておく必要があるでしょう。

製造業がマーケティングに取り組むメリット

製造業がマーケティングに取り組む最大のメリットは、「売り上げ向上につながる」ことです。マーケティングによって今まで接点のなかった新規顧客に自社製品や技術の魅力が伝わり、商談数や受注数を増やすことができれば、売り上げの向上が期待できます。また、定期的に顧客を訪問するといった従来の営業手法には限界がありますが、マーケティングに取り組めばオンラインで効率的に顧客にアプローチできるため、営業担当者の負担を軽減しつつ売り上げ向上を実現することも可能です。

上述したとおり、中堅・中小製造業の多くがマーケティングに取り組めていない状況となっています。いち早くマーケティングに取り組むことで、先行者となれる可能性も高くなるでしょう。

製造業が取り入れたいマーケティング手法

ここでは、中堅・中小製造業が取り入れたいマーケティング手法がどのようなものなのか、主な手法をご紹介します。

Webサイト

中堅・中小製造業であっても、ほとんどの企業が既にWebサイトを持っているでしょう。しかし、Webサイトが単なる会社案内のみになっていたり、長期間更新しておらず古い情報のままになっていたりするケースが多いです。自社の強みや優位性が顧客に伝わるように、Webサイトを改善していくことが重要になります。そのほかにも、Webサイトを使ったマーケティング手法は数多く存在しています。

手法内容
オウンドメディア自社製品や技術、関連知識や課題解決方法などの情報コンテンツをWebサイト上で発信する手法
ホワイトペーパー顧客にとって価値のある情報を資料にまとめ、ダウンロードする際に顧客情報を収集する手法
ランディングページ(LP)資料請求や問い合わせなどのアクションへ誘導するために、特定の製品や技術を紹介するのに特化したWebページを制作する手法

Web広告

Web広告は、Googleなどの検索エンジンやポータルサイト、Webメディアなどに広告を出稿するマーケティング手法です。アクセスしてきた人の属性や行動履歴など、ユーザーの興味や行動に基づいて広告を表示できるため、自社のターゲットになり得る顧客にピンポイントで配信しやすくなっています。主要なWeb広告は次のとおりです。

Web広告の種類内容
リスティング広告Googleなどの検索エンジンでの検索結果ページに表示できるテキストベースの広告
ディスプレイ広告ポータルサイトやWebメディアなどの広告枠に表示する広告
動画広告Youtubeや各種SNSなどで配信する動画ベースの広告

SNS運用

X(旧Twitter)・Facebook・InstagramといったSNSを活用したマーケティング手法です。自社製品や技術の魅力を発信したり、企業のブランディングとして活用したりすることができます。BtoCの商材との親和性が比較的高い傾向にありますが、BtoBでもSNS運用を行っている企業は多く存在します。特定のターゲット層に向けて広告配信を行うことも可能です。

展示会

製造業の場合、新規開拓のために多くの企業が展示会に積極的に出展していますが、その後のフォローや見込み客の育成が十分に行われていないことが課題となっています。展示会で得たリードを効果的に活用し、継続的な関係を築くためには、適切なフォローアップと見込み客の育成が不可欠です。

リードナーチャリング

リードナーチャリングとは、上述した各手法で獲得した見込み顧客(リード)に対して購買意欲を高めるための施策を行い、商談へつなげていくマーケティング手法です。具体的には、メールの配信やセミナーの実施、オウンドメディアやホワイトペーパーでの情報発信を行い、見込み顧客を商談に至るまで育成していきます。ほかの手法によって見込み顧客が増えても、商談に至らなければ受注や売り上げにはつながらないため、極めて重要な手法であるといえます。

商談

商談は基本的には営業活動の領域となりますが、マーケティングの観点においても重要です。例えば、失注してしまった場合にはその理由を分析し、次のマーケティング施策に生かしていく必要があります。また、失注の理由によっては再度リードナーチャリングを行うことで、将来的に受注につながる可能性もあるでしょう。

マーケティング実践の基本ポイント

ここでは、中堅・中小製造業がこれからマーケティングを実践していく際の基本的なポイントを解説します。

目的・目標を設定する

ここで注意したいのは、マーケティング自体が目的ではないということです。マーケティングはあくまでも「商談数を増やして売り上げ向上につなげる」ための手段の一つなので、最終的な目標は商談数、または受注数に置くとよいでしょう。そこから逆算していけば、見込み顧客をどれくらい増やせばよいのか、どのような顧客をターゲットにするのか、どのような施策が効果的なのか、といった具体的な施策を検討しやすくなります。

データを蓄積できる仕組みを整える

マーケティングでは、基本的にデータに基づいて施策を検討・検証していきます。そのため、次のようなツールを導入して、データを蓄積できる仕組みを整えることが重要です。

  • 顧客の名刺情報を一元管理する名刺管理ツール
  • Webサイトへのアクセス状況を可視化できるGoogleアナリティクス
  • マーケティング施策を管理・自動化・効率化するMA(マーケティングオートメーション)ツール

各種ツールの中には無料で始められるものもあります。最初はなるべくコストを抑えて導入し、必要に応じて有料プランに切り替えたり、より専門的なツールに置き換えたりするとよいでしょう。

マーケティング部門を整備する

マーケティングには上述したようにさまざまな手法があり、中長期的な取り組みが必要です。そのため、社内に専属のマーケティング部門を設けることが理想的です。しかし、マーケティングの専門知識を持つ人材がいない中堅・中小製造業にとって、いきなりマーケティング部門を立ち上げるのは難しいかもしれません。そこで、まずは外部のパートナーに支援を依頼しながら、徐々に体制を整えていくとよいでしょう。

また、自社の製品や技術の魅力を伝えていくには、営業部門や技術部門などの有識者から協力を得る必要があります。商談数、ひいては売り上げの増加という目的に向けて、全社が一丸となって取り組んでいくことが重要です。

製造業のマーケティング成功事例

ここでは、製造業がマーケティングに取り組んで実際に成果を出した事例を紹介します。

包装機械メーカーの成功事例

既存顧客からの紹介がメインでWebからのお問い合わせが全くない中、新規顧客を獲得していくためマーケティングに取り組むことになった包装機械メーカーでは、Webサイトのリニューアルや製品動画による訴求、リスティング広告の活用、MAツールによる顧客の「見える化」などの施策によって、月間0件だったお問い合わせが20件に増加し、2,000万円以上の商談を多数創出することに成功しました。

理化学機器メーカーの成功事例

見込み顧客との接点が少なく、なかなか確度も高まらないことから、販売商材の伸び悩みが課題だった理化学機器メーカーでは、営業方針に合わせて特定の商材に関するマーケティングの強化に取り組み、Webサイト内のコンテンツ見直しやメールマガジン配信などの施策によって、ページビュー数が開始前と比較して294%と大幅に増加しました。

油圧シリンダメーカーの成功事例

売り上げのほとんどが既存顧客からのリピートであり、展示会に出て名刺を獲得しても放置されていた状態だった油圧シリンダメーカーでは、名刺リストへのメルマガ配信や、動画コンテンツ・ホワイトペーパーの制作、チャットボットによるお問い合わせへの誘導といった施策によって、検討度の高いリードを営業担当者に渡せるようになり、商談数が大幅に増加しました。

製造業のデジタルマーケティング支援ツール「BowNow」

BowNowの五つの主な機能

大塚商会は、企業の営業支援・デジタルマーケティング支援を手掛けるクラウドサーカス株式会社と協業しています。同社は企業がデジタルマーケティングを行ううえで必要なツールやサービスを数多く展開しているだけでなく、これまでの実績で培ったノウハウや事例をもとにした手厚いカスタマーサクセスも行っています。

例えば、クラウドサーカスが提供するMAツール「BowNow」では、Webサイトに訪れた顧客の企業名の把握、保有名刺の一人一人へのメール配信など、効率的に商談を創出していただけます。また、設定不要で無料から始められるため、即成果につなげることも可能です。

まとめ

DXの推進により、製造業の営業手法にも大きな変化が求められています。今後は、中堅・中小製造業にとってもマーケティングがますます重要になっていくでしょう。これからマーケティングに取り組んでいきたいという方は、お気軽に大塚商会へご相談ください。

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