ITで新たな成長基盤を構築

鍛造技術が強みのものづくり企業が、BIツールとクラウドサービスで情報の共有化と経営の可視化に取り組む

芙陽工業株式会社 導入事例

製造業1~100名ERP・基幹業務・業務管理データ分析・活用文書管理・電子契約・ペーパーレス業務データの活用営業・業務プロセス効率化

芙陽工業株式会社は、フォークリフト用フォーク(爪)製造を専門にする1938年創業の老舗ものづくり企業だ。経営者の代替わりを機に、業務環境を全面的に見直し、データ活用の促進やペーパーレス化に積極的に取り組んで、基幹データ分析による経営状況の可視化、情報共有の促進など、多様な成果を上げている。

  • 業務の効率向上
  • 生産性向上対策
  • 二重作業の解消
  • ペーパーレス

芙陽工業株式会社

導入先の概要

業種
鍛工品製造
事業内容
産業車両用部品(フォーク)、関連部品/企画、設計/修理、アフターサービス
従業員数
35名(2020年4月現在)
ホームページ
http://www.fuyo49.co.jp/

導入の狙い

  • 基幹システムのデータを分析・活用したい
  • ペーパーレスを促進し生産性を向上したい

解決策

  • BIツール『Qlik Sense』で生産管理システムのデータを分析
  • 『kintone』を、データベース化とペーパーレス促進に活用

導入したメリット

導入システム

製品カテゴリー製品名・型番お問い合わせ
BIツールQlik Senseお問い合わせ
業務アプリ作成システムサイボウズ kintone(キントーン)お問い合わせ
クラウド型勤怠管理システム勤次郎Smartお問い合わせ
ビジネスチャットLINE WORKS(ベーシックプラン)お問い合わせ
BtoB Web受発注システムMOSお問い合わせ

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芙陽工業株式会社 導入事例(PDF:3,379KB)

導入事例詳細

自由鍛造でフォークリフト用フォークを製造

芙陽工業株式会社は、フォークリフト用フォーク(爪)製造を専門に行う自由鍛造メーカーだ。自由鍛造とは、型を使わず、ハンマーと金敷と呼ばれる作業台を使って成形を行う鍛造技術の総称。一品一品、自由に成型できることがその特長である。近年、フォークリフト用フォークは、荷重1、2トンの小型機種を中心に、圧延材加工を前提とした規格品が主流になっているが、それだけでは多様なニーズに対応することは難しい。こうした中、自由鍛造技術により、ユーザーのニーズにフレキシブルに対応できることが同社の第一の強みだ。創業は1938年。長い歴史の中で培われてきた技術・技能によるものづくりは業界でも高く評価され、特に荷重10トン以上の大型機種では、同社製フォークが高いシェアを占めている。

フォークは荷重や爪の長さやヒンジフォーク、回転フォークなどの機能の違い、さらにメーカーごとの取り付け部形状に応じ、多様なバリエーションがある。同社が手掛けるフォークは基本パターンだけでも約2,000種類に及び、さらにフルオーダーの特注仕様がそこに加わる。主要顧客は国内フォークメーカーとそのディーラーで、特にディーラーからの発注は、エンドユーザーのニーズに応じた多種多様なものになるという。

生産管理システムのデータ活用が新たな課題に

同社の場合、ゼロから鍛造を行うフルオーダー品は全体の2、3割程度で、製品の大部分は海外の協力メーカーが製造する規格品と、規格品をベースに自社で加工を行うセミオーダー品で占められる。このように多様な調達・製造工程が併存する中、業務改善の前提として製品や顧客別のきめ細やかな利益率の把握が強く求められていた。代表取締役社長の田中 亮平氏は当時をこう振り返る。

代表取締役社長 田中 亮平氏

「以前はどんぶり勘定だった製造コストが、生産管理システムの導入により、製番別、工程別に把握できるようになりました。しかし、次の課題になったのが、顧客ごと、製品ごとといったより細分化された利益率の把握でした。生産管理システムが持つデータは膨大で、何万行にも及ぶデータをExcelで処理するのは困難です。何か良い方法はないかと考える中、浮かび上がったのがBI(ビジネスインテリジェンス)の導入でした」

BIツールの選定に先立ち、同社は大塚商会に業務に即した提案を依頼。複数の製品の中から選んだのは、BIツール『Qlik Sense』と、さまざまな業務アプリが手軽に構築できるクラウドサービス『サイボウズ kintone』の組み合わせだった。

「比較検討した複数のBIツールの中で『Qlik Sense』を選定した第一の理由は、操作画面のシンプルさでした。もともと、ごちゃごちゃとした画面は苦手なので、グラフィカルな処理が感覚的に行える『Qlik Sense』の操作画面はとても使いやすいと感じました」と田中氏は語る。

BIツールで大量データの分析基盤を構築

Qlik Sense』の運用は、生産管理システムから取り出したCSVファイルを一定時間ごとに読み取り、常に情報を自動更新する形で行われる。それにより、仕入れコストや各工程の所要時間を製品別にほぼリアルタイムで把握する環境が整備されている。

「まず、すぐに実現したい最初の分析アプリについては、導入に合わせて大塚商会さんに構築してもらいました。しかしその後は、全て自分でアプリを構築していき、現時点では自作アプリが95%を占めています。『Qlik Sense導入効果として最も大きかったのは、製品の寸法から各工程の作業時間までを加味した、既製品とセミオーダー、フルオーダー製品それぞれの利益率が客観的な数字として把握できるようになった点です。1年間運用して得られた結果はほぼ予想どおりでしたが、それが現実に数字として細かく分析・把握できるようになったことの意味は大きいですね。従業員に方針を説明する際も説得力が違います」

クラウドシステムの活用で情報連携、ペーパーレス化を実現

一方、人事給与や業務日報など、生産管理システム以外の多様な情報連携や活用促進という役割を担うのが『サイボウズ kintone』だ。

「BIツールによる生産管理システムのデータ分析を通して学んだことの一つが、データ連携の意義でした。紙とExcelによる管理は、各種帳票に手書きで記載された情報を二重、三重に入力するという手間が日常的に発生していましたが、導入後はそうした無駄が解消されています。『サイボウズkintone』は、クラウド上で社内の多様な情報をマスター化してデータ連携を行い、全社的なペーパーレス化を促進する基盤として導入しています」

さらに、その効果としてスムーズな情報共有が実現した。その一例として田中氏が挙げるのが、タスク管理アプリを使った取引先との情報共有だ。

工場側に設置したタブレット端末でkintoneの作業進捗(しんちょく)アプリに入力

「当社の場合、海外協力会社との取り引きは国内の商社を通して行っていますが、そのやり取りに当たっては技術的課題の共有が不可欠です。以前は、商社の担当者が異動した際などは、メール履歴をさかのぼり、情報を引き継いでいましたが、そのやり方は非効率であるうえ、ミスも少なくありませんでした。そこで当社から提案しクラウド上にある『kintone』のタスク管理アプリで商社の担当者と情報共有を行うようにしたところ、とてもスムーズに情報が引き継がれるようになり、商社の担当者にも好評です」

また顧客マスター、従業員マスターなどを組み合わせて、社内情報の多様な管理・分析が可能になった点も重要なポイントだ。現在は、マスターアプリを中心に、設備点検表、備品管理表、営業見積りなど200を超えるアプリを作成し運用しているという。

IT基盤を全面的に見直し勝ち残りの基盤を整備

同社の取り組みは、これだけにとどまらない。勤怠管理システム勤次郎』導入もその一つだ。毎月末に手作業で行ってきた紙ベースの勤怠管理の自動化に加え、残業状況をリアルタイムに把握できるようになるなど、さまざまな効果を上げている。その運用で注目したいのは、PC、タブレット端末、スマートフォンのほか、複合機の操作パネルも打刻端末として利用している点だ。PCシャットダウン後に業務が生じた場合などもスムーズに打刻できるため、従業員からも好評だ。

モバイル端末活用による可能性

また社内コミュニケーションの効率向上を目的に、グループウェア機能を『LINE WORKS』へ移行した点も注目したい。

「以前使っていたグループウェアの第一の問題は、スマートフォンなどのモバイル端末から操作しにくい点にありました。製造現場で問題が生じた際にはその都度、営業担当が現場に足を運んでいたのですが、その点『LINE WORKS』であれば、タブレット端末やスマートフォンで撮影した写真をトークグループに送ってもらい、離れた場所からでも状況を把握できるようになりました。トーク以外にもスケジュール共有や掲示板、メールなども使えるベーシックプランなので、グループウェアとして活用しています」

またクラウド型のBtoB Web受発注システムMOS(Mobile Ordering System)は、規格品の注文、見積り依頼への対応の効率アップに効果を上げている。

IT導入は業務を見直すまたとない機会であることを実感しました。経営者の視点では、システム導入は新たな課題の発見につながるばかりで、楽になったという実感は全くありませんが、会社のレベルが確実に向上していることは間違いないです。その気づきがないまま過ごしていれば、きっと今ごろは時代に取り残されていたのでしょう。特にペーパーレスによる情報共有の促進は、当社が成長していくうえでの重要な基盤になります。大塚商会さんにやりたいことを話すと、最適なクラウド製品を紹介してもらえます。大掛かりなシステム投資をせずに、アプリケーションに合わせていく運用で、すぐに実践できるのがクラウドシステムの魅力です」と田中氏はその効果をまとめた。

大塚商会担当者からのコメント

「今後もレベルアップに貢献できる提案を続けていきます」

芙陽工業株式会社様とは、田中氏が経営に参画するようになって以来のお付き合いです。長年続いていた非効率な紙ベースの業務の効率向上に向けた積極的な取り組みには、我々も学ばされる部分が多いです。

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  • 印刷して上司への説明に
  • 印刷して稟議書に添付して
  • 印刷して会議資料に

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  • * 本事例中に記載の肩書や数値、社名、固有名詞などは取材時点のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

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