建設業専門工事会社がIT活用でDXを推進

「現場主義」で急成長する専門工事会社が建設業対応のシステムで業務を省力化。IPOに備え内部統制コンサルも活用

株式会社エルライン 導入事例

建設業101~1,000名製品の導入・活用支援営業・業務プロセス効率化

足場工事会社を起点に、積極的なM&Aによって業容拡大を続ける株式会社エルライン。煩雑な建設会計のルールに対応した会計システムを導入して経理・会計業務の手間を解消した同社は、大塚商会のコンサルティングサービスでIPOを前提とした内部統制強化も実現。業界に向けたビジネスモデルの開発にも着手している。

  • 業務効率の向上
  • 生産性向上
  • J-SOX対応
  • 事業価値の創造

2022年12月取材

株式会社エルライン

導入先の概要

業種
建設業
事業内容
仮設工事、資材仮設、販売・買取・レンタル、大規模修繕工事等
従業員数
135名(2021年8月11日現在)
ホームページ
https://lline-group.co.jp/

導入の狙い

  • 建設業の煩雑な会計業務を整理し、手間を解消したい
  • グループ企業の経営状況を可視化したい
  • IPOに向けた準備を進めたい

解決策

  • 建設会計のルールに対応したクラウドシステムへの移行
  • コンサルティングサービスを活用した内部統制の強化

導入したメリット

お客様の声を動画でご紹介

本動画は音声オンで再生されます。音量は、動画プレーヤー画面の下部にあるスピーカーアイコンで調整可能です。[動画再生時間:5分9秒]

製品導入にいたった経緯、導入による効果をお客様の声でお話いただいています。IT導入のヒントにご活用ください。

導入システム

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導入事例詳細

急成長中の専門工事会社が、後継者不足の業界課題に取り組む

浅野 勝人氏

代表取締役 浅野 勝人氏

東京・天王洲に本社を構える株式会社エルラインは、積極的なM&Aを通して急成長を続ける企業だ。足場工事の専門工事会社として同社が設立されたのは2008年。営業拠点は、東京・品川の本社、東北支店、北陸信越支店、関西支店、名古屋営業所、沖縄営業所と6拠点あり、設立時のとび・土木工事事業を中軸に、足場などの仮設資材の販売・買い取り・レンタル事業、リニューアル工事事業、さらに2021年には躯体(くたい)一式工事を開始するなど、業容の拡大が続いている。

経営理念として掲げるのは、”『現場主義×新機軸』で現場革命を牽引する”だ。その意図について、代表取締役の浅野 勝人氏は次のように説明する。

「私自身、もともと職人として働いており、2007年に横浜の小さな足場の現場にいた5人のメンバーでこの会社を立ち上げました。以来、『仲間が働く現場をよりよくしたい』『お客様の期待に応えたい』という二つの思いでここまでやってきましたが、その過程で、建設業界においてITが担う役割の大きさを実感してきました。ITによる工数削減やナレッジの共有は、人手不足や後継者不足という課題解決に大きな役割を果たします。当社は、IPOに向けた準備を進めていますが、そこにはIT活用が遅れている中小零細の専門工事会社を牽引する資金を確保したいという狙いもあります」

2022年に移転した天王洲の本社のエントランス。壁に経営理念などを掲げている

2022年に移転した天王洲の本社のエントランス。壁に経営理念などを掲げている

同社企業ロゴをモチーフにしたデスクが設置されたワークスペースは、IT活用により紙類がデスクに置かれないシンプルな環境となっている

同社企業ロゴをモチーフにしたデスクが設置されたワークスペースは、IT活用により紙類がデスクに置かれないシンプルな環境となっている

ITによる建設業務改革のパートナーに大塚商会を選定

飯田 哲也氏

執行役員 CTO 飯田 哲也氏

ITによる業務改革を推進するうえで、同社が大きな期待を寄せるのが、ITパートナーとしての大塚商会の存在だ。同社は、運営する足場・仮設資材の販売・買取総合サイト「足場Japan」の管理システムの見直しに伴い、2016年に建設機械・仮設資材レンタルシステム『Rental 7』を導入。それが大塚商会との初めての取り引きとなり、その後、2020年に会計システムの見直しに当たって『SMILE V 会計 プロジェクト原価管理オプション』を導入した際にも、最適なシステムを求めて大塚商会に相談した。

「会計システムの見直しには、大きく二つの狙いがありました。一つは会計業務の工数削減です。建設業の会計業務では材料費、外注費などの原価を工事ごとに管理しますが、全て手作業で行っていました。しかし、建設業会計に対応する会計システムは限られるうえ、どれも高額です。そうした中、大塚商会さんの提案は非常にリーズナブルなものでした。もう一つの狙いはグループ5社の会計システムを統一し、その経営状況を可視化したいという点でした。グループ各社のライセンス費用が気がかりでしたが、当社が求める環境構築に最も低コストかつ柔軟に対応していただけたのも大塚商会さんでした」(浅野氏)

『SMILE V 会計 プロジェクト原価管理オプション』は、大塚商会が運用するクラウド上に構築。本社と各拠点、グループ5社と『どこでもコネクトライン クローズド網』で結ぶ環境を整え、スムーズに運用を開始した。

同社のCTOとして、IT活用の方向性の見極めや体制整備などの役割を担う執行役員 CTOの飯田 哲也氏は、大塚商会の対応について、こう評価する。

「新システム導入では、業務手順の見直しも含めた全体の最適化を図る必要があります。この際、本来なら業務改善も一緒に検討するべきですが、私たちはまずはシステムを導入してみて、従来の業務手順がシステムに合わない箇所があれば改めて業務改善を検討したいという考えでした。大塚商会さんの場合、準備期間からスケジュールを立てて段取りもしていただけるので一連の作業を全てお任せでき、私たちは流れに沿ってやっていけば導入完了までスムーズに業務移行できました。大塚商会さんにはシステム導入にまつわる全てをお任せし、自分たちは自分たちの業務改善に集中できるという点で私たちの考え方に合っていると感じました

ユーザー教育についても、分からないことがあればその都度サポートに問い合わせることで、すぐに課題は解決したという。

2021年3月には、『SMILE V 人事給与』、勤怠管理ソリューション『勤次郎 Enterprise』も導入し、『SMILE V 会計』と連携を行った。これにより、経理業務の工数削減だけでなく、現場スタッフの直行直帰の実現にもつながっている。

IPO準備に大塚商会のコンサルティングサービスを活用

大塚商会のコンサルティングサービスを利用したIPOの準備も注目したいポイントだ。IPOにあたっては内部統制報告制度(J-SOX)の対応が求められるが、同社は『内部統制コンサルティング』サービスを活用することで「業務記述書」「フローチャート」「リスクコントロールマトリクス(RCM)」のいわゆる3点セットの準備を終えている。

また、内部統制では申請・承認の証跡を残すことが大きな意味を持つため、同社は統合型グループウェア『eValue V ワークフロー/ドキュメント管理/スケジューラ/コミュニケーション』を新たに導入した。各種申請の経路を可視化し、その証跡が確実に残る環境を整備した。なお『eValue V ドキュメント管理』は、タイムスタンプとの連携による電子帳簿保存法への対応や、『Adobe Acrobat Sign』との連携による署名済み電子契約書の保管先としても利用されている。

現場管理ツール開発に着手し、建設業界の世代交代を支援

『SMILE V 会計 プロジェクト原価管理オプション』のメニュー画面。5社の会計情報がここに集約される

『SMILE V 会計 プロジェクト原価管理オプション』のメニュー画面。5社の会計情報がここに集約される

『SMILE V 会計 プロジェクト原価管理オプション』をはじめとする一連のソリューションの効果としてまず挙げられるのは、会計業務の大幅な工数削減への貢献である。

「以前の会計システムでは手作業で仕訳を行う必要がありましたが、移行後は自動仕訳が実現できています。またSMILE V 人事給与勤次郎 Enterpriseとの連携により、二重入力が解消できたことは非常に大きいです。売り上げの伸長状況を考えると、以前と変わらない体制で会計業務を維持できていることは、その効果の裏付になっていると思います」(浅野氏)

また、グループ会社も含め、財務会計データが一カ所に集約できる仕組みができたことも成果の一つだ。「現在は財務会計に限られますが、現場データを分析し、次のアクションプランにつなげる基盤はすでにできています。今後は、BIツールを活用し、データドリブンな経営判断を下すための基盤としても活用していきたいと考えています」(飯田氏)

同社が培ってきた経験を詰め込んだ専門工事会社向けプラットフォームは、建設会社が建設業界のDXに乗り遅れず、共に成長していくことを目的として開発が進められている

同社が培ってきた経験を詰め込んだ専門工事会社向けプラットフォームは、建設会社が建設業界のDXに乗り遅れず、共に成長していくことを目的として開発が進められている

同社が今向き合うのは、現場管理のIT化という新たな課題だ。「建設業の現場管理ツールは既にITベンダー各社が提供していますが、多くはゼネコン向けに作られており、当社のような中小専門工事会社にジャストフィットするツールは少ないのが実情です。一方で、当社の成長は営業担当や現場の職長、職人たちの知恵が大きな役割を果たしてきました。こうしたノウハウやナレッジをシステム化したいと考えたことが現場管理ツールの自社開発に踏み切った理由です」(飯田氏)。現場と職人をつなぐ「LAPRI(ラプリ)」、足場材専用フリマアプリ「LLINK(リンク)」、足場などの重量物専用ロジサービス「LLOGI(エルロジ)」などを総合的に提供することを視野に開発を推し進めている。

「多くのITベンダーの目がゼネコンや大手サブコンに向く中、当社のような中小専門工事会社に向き合う姿勢を積極的に打ち出していたことが大塚商会さんの方向性と近いと感じています。当社が培ってきたノウハウを詰め込んだツールにより、これまでは経営者やベテラン職長の頭の中にしかなかった知恵を次の世代に受け渡す上でも大きな役割を担うと考えています」(浅野氏)

エルラインが業務プロセスのIT化という課題のさらに先に見据えているのが現場視点のDXである。

「現場管理ツールの開発により、当社業務のデジタライゼーションはほぼ完了します。個人的には、面白くなるのはそこからだと考えています。特に注目しているのが、現場レベルのDXです。その一案に、当社が各地に展開している資材センターの無人化などが考えられます。在庫に応じて自動発注を行い、その日必要な資材がロボティクスにより自動で搬出されるような仕組みを実現するだけでも、建設業界の現状は大きく変わると思います」(飯田氏)

これからもエルラインは、専門工事会社の視点で建設業界のIT・DX化をリードしていく存在になるだろう。

大塚商会担当者からのコメント

「業界課題のITによる解決を目指す取り組みを全力でサポートします」

中小専門工事会社が直面する課題に向き合い、ITによって解決を図る株式会社エルライン様のお取り組みを、大塚商会もさまざまな角度から提案を行いながら全力で支援いたします。

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  • 印刷して稟議書に添付して
  • 印刷して会議資料に

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  • * 本事例中に記載の肩書や数値、社名、固有名詞などは取材時点のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

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