電子契約とは? 製造業における契約書類電子化のメリット

2021年 7月14日公開

新型コロナウイルスの影響によるテレワークへの対応などで、オンライン上で完結するペーパーレスや脱ハンコといった電子契約が企業に求められています。製造業界でも業務委託契約書や製造請負契約書、秘密保持契約書といった契約書類の「電子化」を目指し、大企業、中小企業問わず、社内文書の電子化への取り組みが始まっています。社内文書電子化のメリットと導入のポイントについて、わかりやすく解説します。

契約書類の電子化(電子契約)とは

テレワークへの対応や、2020年4月に施行された民法改正に伴う各種契約書などの改訂などにより、従来のような紙の文書を用いた業務が困難になりつつあります。また、2021年10月には郵便法改正による郵便局サービスも縮小され、紙で契約書を発送されている企業様では、今までよりも発送日を前倒ししなければならないなど、業務の負荷増大が懸念されます。そこで今、各企業で推進しているのが契約書類の電子化です。

契約書類の電子化とは、紙ではなくオンライン上で各種契約書を作成・送付・受領・管理できるようにすることをいいます。

製造業における主な契約書類には、次のようなものがあります。

製造業における主な契約書類例

  • 秘密保持契約書
  • 共同研究契約書
  • 顧問契約書(技術指導)
  • 製造委託契約書
  • 製造請負契約書
  • 業務委託契約書
  • 生産提携契約書(OEM契約書)
  • 取引基本契約書(購買)
  • 取引基本契約書(販売代理)
  • 労働者派遣個別契約書
  • 設備保持契約書

こうしたさまざまな契約書を従来のような紙ベースのやりとりではなく、オンライン上で全て行えるようにするのが製造業における契約書類の電子化です。

契約書類の電子化のメリット

契約書類の電子化は時代の流れというだけでなく、実際にさまざまなメリットがあります。紙による契約フローと電子化した場合の契約フローを比較してみましょう。

1.ペーパーレスによる人手不足のカバー

紙による契約フローは、書類の作成から契約締結までに多くの工数を要します。スピードが求められる製造現場で契約書の作成に時間がかかるのは、作業効率面で非常にマイナスです。また、承認者や署名者が出張や在宅勤務の場合は、契約締結までに時間的なロスが生まれてしまいます。

この点、契約書類を電子化すれば、契約フローの無駄な工数を減らすことができますし、少ないスタッフだけで契約周りを管理することも可能になります。

2.業務効率化(早く締結できる)

紙ベースでの契約書類は、郵送の時間がかかるのもネックです。取引先が遠方の場合は特に時間に余裕を持っておかなくてはなりませんし、速達などにすれば郵送費用が高くなってしまいます。

この点、契約書類を電子化すれば契約書の作成から締結までオンライン上で完結するため、ペーパーレスで契約締結までが非常にスピーディーです。営業が契約するための訪問工数も削減できます。また、起案時の稟議(りんぎ)や見積り、図面など契約に関係する書類を一元管理し、どこからでも確認できるようになるので、業務効率が飛躍的にアップします。保管先も一目でわかるので、書類の保管場所を探す手間も省けます。購買先との基本契約書の更新前通知なども可能です。

3.コストの削減

紙での契約には、紙代・印刷代・印紙代・切手代・郵送代など、さまざまな費用がかかりますし作業をする社員の人件費もかかります。契約を電子化し、ペーパーレス化を実現することで、こうした費用を削減できます。また、書類の保管場所も必要なくなるので、オフィスの限られたスペースを広く使うことができます。

4.契約書の紛失リスク削減

紙ベースの管理で怖いのが、大切な契約書類の紛失です。契約書類を電子化すれば、日々舞い込んでくる大量の書類に埋もれて大切な契約書を紛失してしまうリスクを減らすことができます。

5.リモートワークの推進

オンライン上で書類を確認・送受信できるので、書類作成や送付準備のために出社する必要がありません。「ハンコ出社」も不要です。担当社員が出社できないときでも、契約関係を滞りなく実行できます。

契約書類の電子化前の課題

契約書類に関して課題を感じている会社は少なくありません。ある企業の実例をご紹介しましょう。

ある製造業A社の事例

1.購買先との取引に関する基本契約業務の課題

対象となる購買の契約先が200~300社ほどあり、しかも毎年契約内容について見直し、契約更新を行っているため、購買先の取引に関する基本契約業務は、手間のかかる業務。そのうえ、契約時期や契約担当者、契約内容、契約書が取引先ごとに異なるため、契約更新時期ごとに内容を確認し、紙の書類を作成して郵送でやりとりといった業務も発生。

2.販売代理店との取引に関する基本契約業務の課題

販売代理店契約先が200~300社ほどあり、契約書の書式は各社でまちまち。契約内容を毎年見直し、契約更新を行っているが、その度に各社のフォーマットで書類を作成し直さなければならず、非常に煩雑。

3.派遣労働者との労働者派遣個別契約書の課題

繁忙期を中心に派遣労働者を多く雇っているが、派遣会社あるいは派遣労働者ごとに契約書内容がまちまちで契約書も異なるため、一人一人の管理が非常に難しい。

4.契約書類の作成における申請・承認業務の課題

新規契約や契約更新の申請・承認業務を紙ベースで行っているため、工数がかかるのが悩み。紙が関係者の間を何度も行き来するので、部門・部署との調整もしにくい。書類が多すぎて契約書の所在がわからなくなることも。

この会社では以上のような課題を抱えていましたが、現在は契約書類作成にかかる社内申請~承認~締結までの契約書類を電子化・一元化することで、業務効率化を実現しつつあります。

電子契約とドキュメント管理を連携するメリット

契約書類を電子化してドキュメント管理と連携すると、次のようなメリットがあります。

  • 「電子帳簿保存法に対応」する確実な保存が行える
  • フォルダ階層や自在な検索項目で「すぐに探せる」
  • 契約の「期限管理」が行える
  • 「セキュリティ」を守って保存できる(アクセス権設定・ログ管理)
  • 紛失が起きない(アクセス権設定・ごみ箱)
  • 契約書以外にも会社全体の文書管理に対応できる

大塚商会では、アドビの電子サインサービス「Adobe Acrobat Sign」や弁護士ドットコムの「クラウドサイン」とOSKの統合型グループウェア「eValue」を連携させるソリューションサービスを提供しています。

まとめ

契約書類の電子化は、契約にかかる現場の手間を減らし、コストを削減して、製造に注力できる体制を整える重要な施策です。大塚商会では、電子サインサービスとドキュメント管理とを連携させることで、契約前のリーガルチェック、外部との契約締結、署名完了後の契約書の保管、契約書の有効期限管理まで全て電子化し、一元管理することが可能なシステムづくりをお手伝いしています。ご興味がありましたら、お気軽にご相談ください。

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