大塚商会×アドビ　Creative Cloud動画
第5話『さまざまなバージョン』

ここにございました版元の旦那とC八、印刷業者の対応でモメております。経費削減の一環で新しい印刷業者を連れてきた版元の旦那から、その業者が最新アプリには対応しておらず、CS6形式でしか印刷を請け負わないことを聞かされたようで……

（Ｃ八）
そんな、いまさらムチャでっせ旦さん……うちみたいなこぢんまりとやってるかわら版屋でも、働き方改革いうんですか、喜六やら、手伝うてくれてる職人連中に少しでもラクさしてやろうと、いろいろ手ぇ打ってるんですわ。

（Ｃ八）
それを今になって、よりによってCS6に戻せやなんて……
（版元の旦那）
だから何遍言うたら分かるねんＣ八。お前ンとこだけに損せぇて言うてるわけやないやないか。印刷代金が安うなる分はウチとお前ンとこで折半しよう言うてるンや

（Ｃ八）
いやいやいやいや、確かに上乗せしてもらえるンはうれしいことだっせ。それでも、もうCreative Cloudの使いやすさにも慣れてしまいましたンや。それを捨てて、また全部昔に戻せっちゅーのは、職人らも気落ちしてしまいますがな。職人っちゅーのは一度決めたやり方をなかなか変えるもんやないんだっせ。

（Ｃ八）
それをなだめてすかしてようやく新しい環境になじませたところに、どんな顔して「もっかいCS6」やなんて……
（版元の旦那）
それを納得も得心もさせるのがお前の仕事やないか！ 何も全然知らんことをやれちゅーてるんやないんや。方法はどないかして考えろ。こっちも忙しいンや。とにかく頼んだで！

（Ｃ八）
あっ、ちょ、旦さぁん……結局押し切られてしもたがな。確かについこないだまでCS6つこてたさかいインストールディスクもシリアル番号もあることはあるねんけど。今のCCとCS6を併用させてええんかいな……まあしゃあない、いっぺん錆田の先生に相談してみるか

（錆田の先生）
えらい難しい顔して、どうしたＣ八。カネなら貸せンが、たいていのことなら相談に乗るぞ
（Ｃ八）
今度ばっかりはあの版元、どないな目に遭わしたろかと思いまして、恨んでますねん。ホンマにムチャなことを

（錆田の先生）
おいおい穏やかやないがな。版元はんがどないしたんや。ほう。ふん……それで？　うん……おお、そういうことかいな

（Ｃ八）
ええ、確かについこの前まで、CS６は使こてました。職人らも問題なく使えることやろと思います。でも、Creative Cloudの契約をしたばっかりやのに、一緒にCS6も使えるンかどうか、もし追加でカネがかかるようやったら……

（錆田の先生）
そんなことか。よかったなＣ八
（Ｃ八）
よかったて何ですねん
（錆田の先生）
Creative Cloudでよかったな、いうことや
（Ｃ八）
へ？

（錆田の先生）
初期設定やと、Creative Cloudをインストールすると、以前のバージョンは削除される。お前のとこでも消えたやろ。でも、「詳細オプション」の「以前のバージョンを削除」をオフにするだけで、二つのバージョンを同時に使えるンや。CS6なら標準対応やから、追加料金はいらん

（Ｃ八）
なんですて！ ほな、CCのええところは使い続けたまま、CS6での作業もちょいちょいやれるっちゅーことですか！ あの版元、印刷で浮かせた代金はウチと山分けする言うとったけど、こら丸もうけの目がでてきたぞ……センセおおきに！

（喜六）
なんやＣやん設定画面なんか開いて。何ぞ問題でもあったんか
（Ｃ八）
そやないんや。版元はんの頼みで、CS6も使えるようにしてるんや

（喜六）
へえぇ。まあ使い慣れたるCS6。「きロクのぉ♪しいえすロク！」なんて宣伝の依頼が来ぇへんやろか
（Ｃ八）
アホ。職人らのマシンにも設定するから、お前も手伝え。お前も一応管理者権限があるんやからな

（版元の旦那）
ハァ……邪魔するで。おお……Ｃ八に喜六もそろてるんかちょうどええ。あのな、印刷代金で浮いた分を折半する話、いくらか分かったから、ハァ、知らしてやろうと思うてな……

（Ｃ八）
なんか不景気な顔つきだすけど、いくらになりましてん
（版元の旦那）
あの業者……今になって「紙は別料金」とか言いだしおって、慌てて証文を見直してみたら、小さい、うすーい字で確かに書いてあった。もっとあると思うてたんやが、勘定してみたところ、うちとお前ンとこで、合わしてたった三十二文。これを折半や……

（Ｃ八）
そんなん、うどんの代金にしかなりませんがな。
（版元の旦那）
うどんの代金？　あ～なるほど、わしら一杯食わされたんや

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