TCFD提言に基づく情報開示

当社は、「自然や社会とやさしく共存共栄する先進的な企業グループとなる」ことをミッションステートメントの目標に掲げています。2000年にはISO14001の認証を取得し、環境に対する社会的責任として次世代に持続可能な環境を引き継ぐことができるよう、環境保全活動に積極的に取り組んできました。2022年2月には、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、2023年3月にTCFD提言に基づく情報開示を行いました。その後、2050年までのシナリオ分析を改めて実施し、リスクと機会がもたらす財務影響を更新して2025年に情報を開示しました。

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)

G20の要請を受けて金融安定理事会(FSB)が設立した、企業の気候変動に関する情報開示および金融機関の対応を検討するタスクフォース。企業等に対し、気候変動がもたらすリスクと機会に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」について開示することを推奨する提言。

TCFD提言に基づく情報開示

ガバナンス

大塚商会は気候変動を重要な経営課題と考え、マテリアリティの一つに「地球環境保全への貢献」を掲げています。
取締役会では、サステナビリティ委員会から気候変動関連の報告を受け、取締役会規程に基づき、重要なリスクおよび機会についての審議・決議を行い、対応の指示およびその進捗に対する確認を行っています。
サステナビリティ委員会は取締役会の直下に属した組織であり、サステナビリティに関する全社方針や目標の策定、推進体制の構築・整備、移行計画の策定・実行及びISO14001のマネジメントシステムを活用した各活動のモニタリングを通して、SDGsの達成に貢献し、ESG課題へ対応しています。また、気候変動関連の新たな取り組みが必要になった場合は、実施の要否を検討し、実行しています。
TCFD提言に沿った開示項目やサステナビリティ委員会で重要と判断された事項については、サステナビリティ委員会の委員長であるCSOが、取締役会にて年に2回(上下決算時)報告を行っています。

気候変動関連の報告体制

気候変動を含むESGを専門領域とする独立社外取締役を迎え、その助言を活用することで、取締役会全体の知識と能力の向上をはかっています。
また、中・長期経営方針に基づく計画を策定する際に、気候変動関連リスクと機会を考慮し、取締役会で決定しています。

サステナビリティ委員会については下記リンクをご参照ください。

サステナビリティ委員会について

戦略 シナリオ分析

サプライチェーン全体を対象に気候変動に伴い生じ得るリスクと機会について洗い出し、事業への影響の分析を行い、2030年・2050年時点の影響について考察しました。

 1.5℃未満シナリオ4℃シナリオ
参照シナリオIEA NZE2050IPCC RCP8.5
世界観産業革命前の水準と比較し、平均気温の上昇を1.5℃未満に抑えるシナリオ。
持続可能な発展を実現するため、大胆な政策や技術革新が起こり、その分脱炭素社会への移行にともなう社会変化が事業に影響を及ぼす可能性が高くなる。
産業革命前の水準と比較し、平均気温が約4℃上昇すると見込まれている。
成り行き任せに近く、社会の変化は起こらないが、気候変動に伴う異常気象や災害が事業に影響を及ぼす可能性が高くなる。
  • * シナリオ分析を実施した期間(2024年10月~2025年1月)

戦略 代表的なリスク・機会における財務への影響

移行リスク

リスク・機会に関する
事業への影響
財務への影響(期間累計)対応策
短期
(2026年)
中期
(2030年)
長期
(2050年)
社有車に使用する化石燃料への炭素税の課税に伴う支出が増加-約4億~
-6億円
0~
-約50億円
社有車の電動車への切り替えを進める
事業活動におけるペーパーレスが進展し、紙需要が減少することに伴い、紙製品の売上が減少0~
-約40億円
0~
-約160億円
紙の代替となるITシステムの積極的な提案

物理リスク

リスク・機会に関する
事業への影響
財務への影響(期間累計)対応策
短期
(2026年)
中期
(2030年)
長期
(2050年)
サプライチェーンが寸断され、事業活動が困難になり、売上が減少影響なし-約7億~
-13億円
-約9億~
-17億円
物流網寸断時にも、別の物流センターからの配送、他の調達先からの調達といった代替策を講じられるサプライチェーンの最適化
データセンターや物流センター等における冷却システムの使用が増加し、エネルギー費用が増加する-約4千万~
-1億円
-約4千万~
-1億円
-約4千万~
-1億円
データセンターは空調コストを低減できる寒冷地、物流センターは太陽光パネル等の再エネ活用可能施設にて運用を継続する

機会

リスク・機会に関する
事業への影響
財務への影響(期間累計)対応策
短期
(2026年)
中期
(2030年)
長期
(2050年)
環境に配慮した商品、サービスのニーズが向上0~
+約230億円
0~
+約560億円
0~
+約1兆円
環境に配慮した商品、ソリューションの提案を強化する(LED・電力販売・サーバー仮想化・BEMSなど)、クラウドソリューションやデータセンター関連の提案を強化する
環境に配慮できている企業の取り組みが評価、認知されることで、新たなビジネスチャンスや新規顧客の獲得につながる0~
+約180億円
0~
+約180億円
環境の取り組みを強化し、環境関連情報の開示、外部機関の評価項目にしっかり対応し、ESG指標の好スコアを取得する
  • * 「―」は事象が発生していないことを、「影響なし」は事象が発生しているが、財務への影響がないことを表す

分析の詳細は以下をご覧ください。

気候変動関連リスク・機会に関するシナリオ分析と戦略(PDF:420KB)

リスク管理

  1. 事業リスクマネジメントを推進および統括するための組織としてリスク管理委員会を設置し、会社に関係する全てのリスクの識別と評価を行なっています。重要なリスクについては、各所管部門・部署に対してリスク管理を継続的かつ安定的に維持・運用するために、リスクマネジメントシステムの構築を指示しています。
  2. 気候変動関連リスクについては、サステナビリティ委員会の主導によって財務または戦略的に重大な影響を及ぼすリスクの詳細な評価・対応を行っています。
  3. 気候変動関連リスクへの対応状況は月単位でモニタリングされ、年に2回のサステナビリティ委員会下部組織の環境管理委員会で委員と課題を共有し、サステナビリティ委員会にて対応を検討しています。
  4. TCFD提言に沿った開示項目やサステナビリティ委員会で重要と判断された事項については、サステナビリティ委員会の委員長であるCSOが、取締役会にて年に2回(上下決算時)報告を行い、審議・決議・対応の指示・進捗の確認を行っています。
  5. 気候変動関連の機会についても、サステナビリティ委員会の主導によって財務または戦略的に重大な影響を及ぼす機会の識別・評価・対応を行っています。

取締役会・サステナビリティ委員会・リスク管理委員会を含むコーポレートガバナンス体制については下記リンクをご参照ください。

ガバナンスについて

指標と目標

事業活動に伴うGHG排出量を、2030年までに2021年比で以下の通り削減する目標をたてています。
この目標はSBTイニシアティブから「1.5℃水準」(Scope3は「WB2℃水準」)の科学的根拠のある削減目標であると認定を受けています。

Scope 1+2
42%削減
Scope 3
25%削減
(カテゴリ1:購入した商品やサービス、カテゴリ11:販売した製品の使用による排出)

GHG排出量の実績と進捗率

 基準年(2021年)2023年実績進捗率
Scope 1+215,951tCO213,391tCO216.0%削減
Scope 3
(C1+C11)
2,726,222tCO22,406,448tCO211.7%削減

その他の指標の実績については以下をご覧ください。

サステナビリティデータについて