技術伝承のコツを押さえて、製造業の現場を改善

ものづくりの現場で長年の課題になっているのが人手不足です。限られた人数で効率よく作業を進め、生産性を高めていかなくてはなりません。製造業でもDX(デジタルトランスフォーメーション)が重要なキーワードになってきていますが、デジタル活用とともに製造現場でのムリ・ムダ・ムラをなくして作業を標準化し、次世代に技術伝承を行うことが、今後ますます求められるでしょう。そこで、ものづくりの現場で重要な「作業の標準化」のコツや、便利なデジタルツールについてご紹介します。

製造業の現場で重要な“作業の標準化”

人材不足の時代、アフターコロナの時代を生き抜くためには、いかに少ない人手で品質と量を確保した製造が継続できるかが非常に重要です。そのために欠かせないのが、「作業の標準化」と「技術伝承」です。

作業の標準化とは

作業の標準化とは、製造工程における各作業の方法と手段をそろえることです。誰でも一定品質を保ちながら安定的に製造できるようにします。

技術伝承とは

技術伝承とは、数値化・可視化ができる「技術」を、作業の標準化によって伝承していくことです。

カイゼンの基礎知識

カイゼンとは、付加価値の少ない作業を見極めて削減し、付加価値のある作業によって、製造方法を進化させることをいいます。作業のカイゼンができたら、作業の標準化を行い、標準作業手順書(SOP:Standard Operating Proceduresの略)や動画マニュアルなどを作成して、作業者への教育を行います。これにより技術もスムーズに伝承されていくのです。

カイゼン活動の基盤技術「IE」とは

IE(Industrial Engineering:インダストリアルエンジニアリング)は、人、材料、設備からなる生産システムを設計・改善・設定することによって生産性の向上を図ります。戦後、アメリカから作業工程を管理する方法として取り入れられたIEは、日本語では「生産工学」とも呼ばれ、1911年の産業革命以来、今もなお続く生産性向上のための技術・手法です。

具体的には、誰がどの作業をどうやっているかといった作業方法と、どの作業にどれくらいの時間がかかっているかといった作業時間を分析し、ムリ・ムダ・ムラのない「標準作業」と「標準時間」を設定します。IEは、日々のルーティン的な作業・工程のなかに潜む「動作の無駄」を見抜く動作分析から始まるのです。

カイゼンの取り組み方

カイゼンは、現場における「動作の無駄」を見抜くことから始まります。例えば、作業のたびに振り返ってドライバーを取っているなら、最初から近くに置いておけば作業効率が高まりますし、毎回手を伸ばして部品を取っているなら、取りやすい場所に置いておくことでタイムロスがなくなります。一つ一つは小さなことのように見えますが、その積み重ねが大きな差になるのです。

動作を“価値”で分析する

IEの重要な考え方の一つに「稼働分析」があります。稼働分析では、動作を“価値”で分類し、価値の少ない動作を減らして価値のある動作を増やしていきます。TPS(トヨタ生産方式)では、ムダを「付加価値を高めない各種現象や結果」と定義しています。このムダをなくすことがカイゼン活動の基本です。

稼働分析では、「稼働」(価値のある動作)、「準稼働」(やむなく行う動作)、「非稼働」(付加価値を生んでいない動作)の三つに分類して分析します。例えば、ドライバーで作業する場合の稼働状況をグラフにしてみると、意外と価値のある動作が少ないことに気付くでしょう。

“7つのムダ”をチェックしよう

稼働分析でチェックすべきは、次の“7つのムダ”です。いずれも、製造業であれば思い当たることが多いムダばかりです。価値のない動作(=ムダ)を削減し、価値のある動作を手順化することで、作業効率を向上させましょう。

“7つのムダ”

  1. つくり過ぎのムダ
  2. 手持ちのムダ
  3. 運搬のムダ
  4. 加工そのもののムダ
  5. 在庫のムダ
  6. 動作のムダ
  7. 不良をつくるムダ

見つけたムダへのアプローチ「ECRS」

ECRSとは、見つけたムダな動作をカイゼンするための考え方で、排除(Eliminate)、結合(Combine)、置換(Rearrange)、簡素化(Simplify)の頭文字を取ったものです。ものづくりの現場から生まれた言葉で、E→C→R→Sの順に検討するのが一般的です。

カイゼン前・カイゼン後の事例(組み立て作業現場のケース)

カイゼンの進め方について、具体的なケースでご紹介します。

2種類の部品を一つに組み立てる作業現場で、複数の作業者が同じ組み立て作業に従事しているケースです。一番組み立て作業が早い人の動きを見てみると、不良は少ないのですが、歩く動作が多いことが分かりました。

そこで、実際にどんな作業をしているのか、作業時間や動作の数などを計測して現状を把握します。何が生産性を下げているかに気付いたら、次に「その動作をやめられないか?」を検討してみます。

例えば、部品を取るたびに置き場に手を伸ばしているなら、近くに置けば、いちいち手を伸ばす動作をやめることができます。こうした検証を続けていくことで、現場は整理されていきます。

【カイゼンのコツ】

  • 現状を数値で把握する
  • 付加価値の少ない動きを見つける
  • 付加価値の少ない動きをなくす
  • 標準作業を教育する資料を展開する

技術伝承もカイゼンできる

職人仕事と思われがちな技術伝承も、実はカイゼンの余地があります。
技術伝承の技には、数値化・可視化ができる「技術」と、数値化・可視化が難しい「技能」があります。技能はスキルですので、経験で取得する職人の勘という部分も大きく、継承するのに時間も労力もかかりますが、技術はテクニックなので標準化した技術を効率的に取得することができます。

技術をひとくくりにしてカイゼンできないと諦めるのではなく、技術と技能を見極めて、カイゼンの余地がないか検討してみましょう。

作業分析・業務最適化ソフトウェア「OTRS」の活用事例

製造業の現場では、作業標準化や教育・技術伝承を推進するために、動画を使って作業分析ができるツールとして、作業分析・業務最適化ソフトウェア「OTRS」などが使われています。

松井工業株式会社

  • 事業内容

    鋳造加工、鍛造加工、棒材加工、プレス加工、パイプ加工、ボールバルブ、オリジナルパーツ

生産管理のシステム化を進めると同時に、作業分析ソフトを活用して技能継承を促進。

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豊盛工業株式会社

  • 事業内容

    自動車用のパイプ部品や精密ネジ部品などの製造・販売

生産管理システムを活用して各工程の生産状況の「見える化」と業務の効率化・標準化を実現。

詳しくはこちら

【関連製品】作業分析・業務最適化ソフトウェア「OTRS」

「OTRS」はIE(インダストリアルエンジニアリング)に基づいた作業分析ソフトウェアです。動画を使った作業分析を支援することにより、動作のムリ・ムラ・ムダを「見える化」し現場の作業標準化、教育・技術伝承を推進します。IEの専門知識がなくても、現場カイゼン・作業標準化の分析を行うことができます。

作業分析・業務最適化ソフトウェア「OTRS」

まとめ

慢性的な人手不足、技術者不足に陥っている今、製造現場の業務改善と技術伝承は非常に重要な課題です。その鍵となるのが昔からあるカイゼンの手法ですが、正しく理解し実行できている会社は多くありません。今できることからカイゼンの一歩を踏み出し、効率的に次世代へ技術を伝えていきましょう。

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