原材料の在庫管理で効率化を実現! 生産管理システム活用のメリットとは?

2023年 3月15日公開

加工業や配合業など、原材料を取り扱う製造業の多くが在庫管理に対して課題を抱えています。実際に「正確な在庫量を把握できていない」「原材料の欠品によって納期遅れが発生する」といった悩みを聞くことは多く、在庫管理の効率化が求められている状況です。この記事では、原材料の在庫管理でよくある課題や、生産管理システムを活用するメリット、改善事例などをご紹介します。

製造業における在庫管理とは

製造業の在庫管理には、仕入れるモノと売るモノが異なるという特徴があります。例えば、金属製品を加工するメーカーでは、原材料として仕入れた金属の棒材や線材を工場で加工し、ネジやバネといった部品に変えて販売しています。また、自動車メーカーでは、膨大な種類の部品やユニットを組み立てて自動車を完成させ、販売しています。

卸売業のように仕入れるモノと売るモノが同じであれば、扱う在庫の種類は一つだけですが、仕入れるモノと売るモノが異なる製造業では、製品・部品・原材料に加えて、製造途中の半製品・中間品・仕掛品や工場で使用する資材の在庫管理も行わなくてはなりません。また、在庫の種類に応じて適切な管理方法が異なるため、それぞれの特徴を理解しておく必要があります。

この記事では、原材料の在庫管理について詳しくご紹介します。部品の在庫管理については関連記事「在庫管理の課題とは? 生産管理システムを活用した改善事例のご紹介」をご覧ください。

在庫管理の課題とは? 生産管理システムを活用した改善事例のご紹介

原材料の在庫管理における課題

原材料の在庫管理でよくある課題についてご紹介します。

製造途中で変化していく

原材料は製造工程が進むにつれて、形状や形態が変化していくモノがあります。例えば、ボルトを加工するメーカーでは、材料切断、頭部圧造、ねじ転造、熱処理・表面処理のような製造工程を経てボルトが完成します。

製品によっては、微妙な仕様の違いによって製造途中の仕掛品が複数の製品に分岐することもあります。その場合は、原材料と完成品だけでなく、仕掛品の在庫管理も行わなくてはなりません。特に製造工程が多い製品や、製造リードタイムが長い製品では仕掛品の在庫状況を正しく管理するのが難しく、在庫管理が煩雑になる要因となっています。

異なる製品で同じ原材料を使用している

加工や配合を行う製造業では、異なる製品で同じ原材料や仕掛品を使用することが多々あります。例えば、板金加工を行うメーカーでは、製品ごとに固有の原材料を持たず、同じ鋼板やアルミ板を使って形状や色の異なる製品を作るケースがほとんどです。

原材料の共有化・標準化には、調達コストの削減や納期短縮といったメリットがあります。一方で、やみくもに原材料を使用していると、別の製品を作るときに欠品が発生し、予定どおりに製造できなくなるかもしれません。欠品を発生させないためには、各製品の生産計画や使用予定量を正確に把握し、事前に引き当てしておくといった管理が求められます。

扱う部署によって管理する単位が異なる

基本的に「個」で統一して管理できる部品に対して、原材料は扱う部署によって管理する単位が異なる場合があります。例えば、金属の棒材を加工するメーカーでは、発注単位は「キロ」、在庫単位は「本」、使用量の単位は「cm」といったように、発注部門・在庫管理部門・製造部門でそれぞれ異なる単位を使っています。また、原材料を配合して化学製品を作るメーカーでは、発注単位は「袋」、在庫単位は「kg」、使用量の単位は「g」といったようにさまざまです。

管理する単位が異なると、単位を変換するために都度、計算し直さなくてはなりません。また、部署ごとにExcelで個別に管理している企業も多く、情報のやり取りに手間がかかっている傾向にあります。特に配合業では、生産量に対する割合で使用量が決まるため、より複雑な管理が求められます。

有効期限や賞味期限を管理する必要がある

有効期限や賞味期限が設定されているものが多い食品や医薬品の原材料は、同じ原材料であっても、期限別で在庫管理を行ったり、期限の近い在庫から先入れ先出しをしたりする必要があるため手間がかかります。

また、不良品の発生を防ぐためには、期限切れの原材料を破棄して在庫から消していったり、投入・配合時に期限が切れていないかをチェックしたりする作業が不可欠です。このように、原材料に有効期限や賞味期限が設定されていますと、在庫管理が煩雑になりやすいという課題があります。

在庫量を適切な量に保つ必要がある

一般的に原材料の在庫管理においては、自社内にある程度の在庫を持っておき、一定量(=発注点)を下回った時点で発注する「発注点手配方式」などで管理します。この場合、原材料の欠品を起こさないためには、現時点での正確な在庫量や将来的な使用予定量、発注リードタイム、需要変動といったあらゆる情報を考慮して発注しなければなりません。

このように、原材料の発注は難易度が高いことから属人化している傾向にあります。欠品や過剰在庫を防ぎつつ、属人化を解消するために、誰であっても高い精度で発注できる仕組みを構築する必要があります。

原材料の在庫管理で生産管理システムを活用するメリット

従来の手書き台帳やExcelを駆使したアナログな管理では、複雑な原材料の在庫管理は困難です。そこで、生産管理システム活用のメリットについてご紹介します。

在庫の種類に応じた管理ができる

生産管理システムは製造業の課題解決に特化したシステムであり、在庫管理に必要な機能も備わっています。製品・部品・原材料・仕掛品など、製造業で発生する在庫の種類に応じた在庫管理を行えるため、一般的な在庫管理システムよりも使いやすいと感じるでしょう。

また、構成やレシピをマスターとして登録しておけば、各原材料の製品に対する使用量や単位を管理することが可能です。使用量の計算や単位変換を人の手で行う必要がなくなり、原材料の在庫管理を効率化できます。

在庫の引き当て管理ができる

生産管理システムでは、在庫引当を行って各製品を製造するのに必要な原材料を事前に確保できます。異なる製品で同じ原材料を使用していると、使いたいと思っていた在庫がない、といった事態が発生しがちですが、在庫引当をしていれば問題はありません。

また、在庫引当を行えば自由に使用できる原材料の残量も把握できるため、追加で発注するタイミングを見計らいやすくなる点もメリットです。在庫の引き当て管理によって原材料の共通化・標準化を推進する体制が整えば、欠品のリスクを抑えつつ、調達コストの削減が期待できます。

有効期限や賞味期限を適切に管理できる

生産管理システムの中には、化学製品、食品・飲料、医薬品といった配合業向けのシステムがあります。一般的に、配合業では有効期限や賞味期限の管理が求められますが、配合業向けの生産管理システムにはそれらの管理機能が標準で備わっているため、活用すると良いでしょう。

配合業向けの生産管理システムでは、原材料はもちろん、製品・半製品・中間品のロットNoごとに有効期限と賞味期限を管理できます。また、ロットトレース機能によって、どの製品でどの原材料を使用したのかを把握できるため、厳格な品質管理が求められる製造現場にも適しています。

適正在庫管理を効率化できる

上述した「発注点手配方式」を正しく実施するためには、「実際に使うことができる在庫」である有効在庫の管理が不可欠です。有効在庫は「現在在庫数量+入庫予定数量-出庫予定数量」で計算されますが、頻繁に入出庫が行われる原材料の有効在庫を正確に把握するのは難しく、多くの企業では熟練の担当者の経験知に頼った発注が行われています。

しかし、生産管理システムを活用すれば、受注・生産・発注・在庫・出荷の状況を踏まえて正確な有効在庫を自動で計算することが可能です。有効在庫が適正在庫を下回ったときにすぐに把握できるため、欠品や過剰在庫を防ぎやすく、在庫量を適正に保つことができます。また、システムが適切な発注タイミングや発注量を示してくれるため、属人化の解消にも貢献します。

生産管理システムの導入事例

業種・業界に特化した生産管理システム「生産革新ファミリー」を、原材料の在庫管理に活用している企業様の導入事例をご紹介します。

本田工業株式会社

  • 事業内容

    自動車部品・電機工具部品・その他機械部品などのプレス・溶接加工

加工業向け生産管理システム「生産革新 Ryu-jin」の導入後は、得意先からの急な変更依頼に対しても即座に生産計画を作り直して要求に応えられるようになり、顧客満足度の向上に寄与しています。また、原材料や加工品の入庫時に行う製造実績番号の入力や、工程ごとの作業実績の登録によってトレーサビリティを向上させたことにより、製造現場の状況や在庫状況が「見える化」され、最適な生産計画が立てられるようになりました。

本田工業株式会社

株式会社フードタッチ

  • 事業内容

    加工食品製造に使用する調味料、調味液、食品添加物製剤などの開発、製造、販売

配合業向け生産管理システム「生産革新 Blendjin」の導入後は、手書き台帳やエクセルによって属人的に管理されていた生産や在庫の情報が一元管理され、日々変化する有効在庫を瞬時に可視化することが可能となりました。業務の効率化やミスの減少、最適な在庫が実現したことにより、売上向上にもつながりました。

株式会社フードタッチ

まとめ

原材料の在庫管理は製品や部品よりも複雑になりやすく、多くの企業が課題を抱えています。さらに、昨今では多品種少量生産や原材料の高騰に対する共通化・標準化も進んでいることから、業務改善が求められている状況です。

大塚商会では、加工業向けの「生産革新 Ryu-jin」や配合業向けの「生産革新 Blendjin」といった業種・業態に特化した生産管理システムを扱っており、原材料の在庫管理の効率化を支援しています。原材料の在庫管理を見直したい方はお気軽にお問い合わせください。

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