昨今では、顧客からの問い合わせ対応をAIチャットボットで自動化する企業が増えています。また、AIチャットボットは問い合わせ対応だけでなく、製造業におけるナレッジの蓄積・共有にも役立ちます。
本記事では、AIチャットボットの仕組みやメリット、導入手順、導入を成功させるためのポイントなど、活用事例とあわせて紹介します。
2022年10月14日公開
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昨今では、顧客からの問い合わせ対応をAIチャットボットで自動化する企業が増えています。また、AIチャットボットは問い合わせ対応だけでなく、製造業におけるナレッジの蓄積・共有にも役立ちます。
本記事では、AIチャットボットの仕組みやメリット、導入手順、導入を成功させるためのポイントなど、活用事例とあわせて紹介します。
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目次

チャットボットとは、テキストや音声によって自動で会話をするプログラムです。主に、ホームページやアプリ上での問い合わせ対応を自動化するために用いられています。「チャット」は、テキストを使ってインターネット上でリアルタイムにやりとりをすること、「ボット」は、一定の作業をロボットが自動で実行するプログラムのことを指します。
AIチャットボットは、その名の通りAIを搭載したチャットボットです。人が日常会話で使うような自然な表現を正確に理解し、ユーザーが入力した質問に対してより適切に回答することができます。また、質問の候補を表示して入力を補助する、回答に迷う場合は複数の回答でフォローする、といった便利な機能を備えているツールもあり、問い合わせ対応の質を向上させることができます。
チャットボットの仕組みは次の2種類に大きく分けられます。

AIチャットボットの導入には、さまざまなメリットがあります。ここでは、代表的なメリットを三つご紹介します。
AIチャットボットで問い合わせ対応を自動化すれば、ユーザーはいつでも知りたい情報を得られます。平日の日中はもちろん、夜間や休日などに担当者と連絡がつかずに困ることがなくなるので、顧客の満足度を高めることが可能です。また、社内からの問い合わせ対応においても、従業員が業務を進める上で必要な情報をすぐに提供できるので、待ち時間がなくなり、生産性が向上します。
AIチャットボットの導入によって、担当者が問い合わせ対応をする際の負担を大幅に軽減できます。日々寄せられる問い合わせの大半は定型的な内容であるため、繰り返し同じ回答をすることに負担を感じている担当者も少なくないようです。AIチャットボットで定型的な問い合わせへの対応を自動化すれば、担当者が都度時間を割く必要がなくなり、ほかの業務に集中できるようになります。
AIチャットボットは、ナレッジの蓄積・共有にも役立ちます。ナレッジを知るために担当者に質問をしていると、人によって答えが違ったり、時間がかかってしまったりと、非効率です。しかし、業務で必要なナレッジをAIチャットボットに蓄積し、従業員がいつでもアクセスできるようにしておけば、誰でも均一な情報をすぐに得られるので、属人化を防ぎ、業務効率も高まります。
ここでは、製造業におけるAIチャットボットの導入手順を四つのステップで解説します。

まずは、AIチャットボットを導入する目的を明確にする必要があります。社外向け・社内向けのどちらで使用するのか、どのような問い合わせ対応を自動化するのか、といったように、ユーザーのイメージや利用範囲を設定していきましょう。
次に、現在の1日あたりの問い合わせ数や、どのような問い合わせ内容が多いのかを精査していきます。問い合わせ内容については、AIチャットボットでの自動化に適した定型的な問い合わせと、人でなければ対応しにくい非定型的な問い合わせを区別しておきましょう。
AIチャットボットのトレーニングには手間がかかるため、優先順位をつけることをおすすめします。問い合わせの頻度が高いものから優先的にトレーニングしていき、頻度が低いものは引き続き人が対応するなど、AIチャットボットでどこまで自動化すべきかを見極める必要があります。
AIチャットボットを学習させるためのトレーニングデータを作成していきます。トレーニングデータは、チャットボットのタイプによって異なります。
一問一答タイプの場合は、質問・言い回し・回答の三つの要素が含まれたトレーニングデータを作成する必要があります。言い回しというのは、言葉遣いのパターンのことです。一問一答タイプではユーザーが自由に質問を入力するため、最終的に知りたい情報が同じであっても、質問の仕方やキーワードの表現が微妙に異なるケースが多々あります。そのため、質問・回答だけでなく、言い回しも用意して学習することで、AIチャットボットは適切な回答ができるようになります。
一問一答タイプのデータイメージ

絞り込みタイプの場合は、最終的な回答に導くまでのフローを検討し、ユーザーに提示する説明文や選択肢を作成する必要があります。一問一答タイプのように言い回しを用意する必要はありませんが、ユーザーができるだけ迷わないようなシナリオを作成しなければなりません。選択肢が多いとユーザーが迷いやすくなるため、できるだけ絞りつつ簡潔な表現になるように心がけましょう。
絞り込みタイプのシナリオイメージ

トレーニングデータを一から作成するのは、とても大変な作業です。しかし、既にホームページ上に公開しているFAQがある場合や、問い合わせ対応履歴が残っている場合は、トレーニングデータのベースとして活用できるので、作成時の手間を軽減できます。
Step3で作成したトレーニングデータをもとに、AIチャットボットを学習させます。その後、学習したAIチャットボットを公開して、実際に問い合わせ対応を自動化していきましょう。
ここでは、製造業におけるAIチャットボットの活用事例をご紹介します。
社内向けにAIチャットボットを活用すると、次のように、自社が保有するナレッジを蓄積・共有できます。
従来であれば、各担当者は自社が保有する膨大な情報量の中から知りたい情報を探し出さなくてはならず、大変な手間がかかっていました。担当者によって判断基準や手順がバラバラで標準化がされておらず、属人的になっている現場も少なくありません。
AIチャットボットを導入すれば、各担当者が必要な情報にすぐにアクセスできるようになり、生産性向上につながります。また、自社の標準や過去の実績、ベテラン担当者のノウハウなどを蓄積、共有することで、製造業でよくある技術伝承の課題解消にも役立ちます。
AIチャットボットを社外向けに活用すれば、顧客からの各種問い合わせ対応を自動化できます。自社の人員を削減できるだけでなく、人によって回答内容や対応の仕方が異なるといったバラつきを解消できるメリットがあります。顧客にとっても、製品情報やマニュアル、FAQといった知りたい情報をすぐに知ることができるのは大きなメリットです。AIチャットボットによるスピーディーな対応は、顧客満足度の向上にもつながります。さらに、問い合わせの多い内容を参考にして新製品の開発やマーケティングを行うこともできます。
AIチャットボットを導入してメリットを最大限に得るためには、押さえておくべきポイントがあります。ここでは、AIチャットボットの導入を成功させるために重要なポイントを二つご紹介します。
せっかくAIチャットボットを導入しても、実際にユーザーに使ってもらえなければ意味がありません。AIチャットボットが何度も間違った回答をしてしまったり、欲しい情報が得られなかったりすると、ユーザーが「参考にならない」「役に立たない」と感じてしまい、使われなくなる恐れがあります。
ユーザーにとっての使いやすさを考え、次のような点を意識しましょう。

AIチャットボットの導入では、PDCAを回して改善を繰り返すことが重要です。最初に作成したトレーニングデータだけでユーザーを満足させるのはほぼ不可能なため、そのままにしておくと次第に使われなくなってしまいます。実際にユーザーに使ってもらう中で、トレーニングデータの見直し・再学習を行い、地道に精度を高めていかなくてはなりません。
AIチャットボットの中には、利用ログの確認機能が備わっているものが多くあります。利用ログを定期的に確認し、適切な回答ができなかった問い合わせや頻度が高い問い合わせを抽出して、優先的にトレーニングしていきましょう。
AIチャットボットは、顧客からの問い合わせ対応の自動化だけでなく、実際は自社内のナレッジ蓄積・共有においても大きな効果を発揮します。属人化や標準化の課題を感じている製造業の方は、AIチャットボットの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
大塚商会では、「たよれーる AIチャットボットサービス」を製造業のお客様にも提供しています。このサービスでは、自然言語処理に優れた最新のAIを採用しており、ユーザーからの質問内容と学習モデルを比較して適切な回答を提示できます。メンテナンス機能やアクセス解析機能も充実しているため、PDCAを回しながらユーザーに使われるAIチャットボットを作成可能です。管理画面の流れに沿って進めるだけの簡単操作でチャットボットが作れるだけでなく、自社でも約80台のチャットボットを使っている大塚商会の知見を生かした導入支援サービスも提供しているため、作り方がよく分からないという方でも安心してご利用いただけます。ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
チャット形式で入力されたエンドユーザーからの問い合わせに、ロボットが自動で回答します。最新のAI(人工知能)を手軽に利用しながら、問い合わせ業務の時間短縮が図れます。
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本記事の監修者

成澤 健(株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM課)
1998年大塚商会入社。複合機を中心とした地域密着営業、SI営業を経て2012年から現所属。
最先端のAIを廉価で中小企業のお客様にお届けすることをモットーに、大塚商会の社内で活用しているノウハウを活かして、新メニューの開発や展開に関わる。
お客様の経営課題解決を支援するために外部のパートナーと連携した「経営支援サービス」の運営にも携わる。
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