中小製造業における生産管理のあるべき姿とは

IT化・DX化の流れが加速する昨今、生産管理にあらためて目を向けている企業も多いことでしょう。しかし、生産管理システムを導入すればIT化・DX化が進むわけではありません。企業の真の目標は「システム導入ありき」ではなく、生産性や品質の向上、体質改善などの生産管理そのものです。システムは生産管理の手段にすぎず、導入前や導入後にやるべきことは数多くあります。中小製造業における生産管理のあるべき姿を解説するとともに、人材の好循環に必要な生産管理の体系化や、具体的な進め方について紹介します。

変化が激しい時代に中小製造業が生き残るには

変化が激しく先が見えにくい現代において、中小製造業が生き残るためには、競合他社と差別化し、顧客に選ばれ続けなければなりません。

差別化のポイントは、人、モノ、カネ、情報といった内部の経営資源にあります。中でも「人」が非常に大切です。中小企業白書2020によると、差別化にあたって直面した/している課題として、スキルや知識を有する人材の不足に悩んでいる企業が多いことが分かります。競合との差別化を図るには、それを実行できる「人」がいなくてはならないのです。

生産管理に関しても同じことがいえます。生産管理のあるべき姿を実現するポイントは、人材の育成です。中でも、「多能工化による人材の好循環」を作り上げることが重要となります。多能工化とは、ジョブローテーションでさまざまな業務を経験させて、1人の社員が複数の業務ができるように育成することをいいます。マルチスキル、マルチタスクとも呼ばれます。

人材が悪循環する企業と好循環する企業との違い

人手不足でいやでも少数精鋭にならざるを得ない時代にあって、複数の仕事をこなせる人材を育てることは会社存続のキーポイントといえるでしょう。

しかし、多くの中小製造業では、人材不足によりジョブローテーションもままなりません。結局、特定の業務を1人の担当者に任せっきりにするなど仕事を属人化して、なんとか乗り切っていることが多いのが実情です。このような組織運営を続けていてはいつまでたっても良い人材が育たず、企業存続が危ぶまれます。

一方で、多能工化により人材の好循環を生んでいる企業に共通していることは、生産管理を体系化していることです。生産管理をうまく回して業務の標準化・効率化を行い、「誰もが仕事ができる組織づくり」を実現し、人材の好循環が生まれています。

生産管理の体系化とは

生産管理の体系化とは、いつでも誰でも同じ業務ができるように生産現場を管理することです。生産管理の体系化を成功させるには、5S、標準化で作業環境が整っていること、目で見る管理で仕事内容が分かり、管理しやすいこと、仕事のやり方の改善が常に行われていること、といった条件があります。

【条件1】5S、標準化で作業環境が整っている

5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)は生産管理の基本です。しっかり押さえておきましょう。

  • 整理:要る物と要らない物とを分類し、要らない物を処分すること
  • 整頓:要る物を所定の場所にきちんと置き示すこと
  • 清掃:身の回りの物や職場の中をきれいに掃除すること
  • 清潔:いつ誰が見ても、誰が使っても不快感を与えぬようにきれいに保つこと
  • しつけ:職場のルールや規律を守り、守らせること

5S定着化のポイントは、物の置き場所を決めること。置き場所にマークをつけるなどして、物を定められた場所に常に置くことを徹底します。

【条件2】目で見る管理で仕事内容が分かり、管理しやすい

作業内容を可能なかぎり可視化し、いつでも誰でも同じ行動を取れるようにします。ポイントは作業イメージを共有すること。図やイラストを活用した管理ボードを作り、見える場所に掲げて作業内容がひと目で分かる状態にしておきます。

【条件3】仕事のやり方の改善が常に行われている

生産管理は、継続的な改善が必要です。現場の状況は常に変化するため、常に改善する場所はないかを考えて「トライ&エラー」を繰り返し、現場の実情に即したより良い生産管理を目指します。

生産管理の体系化における具体的な進め方

生産管理の体系化を具体的に進めるには、中部産業連盟の「見えるフレキシブル生産システム(VM-FMS:Visual Management Flexible Manufacturing System)」を参考に、生産管理を5S活動と管理システム、物的システムの三つに分けて、生産管理の体系化を進めるとよいでしょう。

見えるフレキシブル生産システム(VM-FMS)

1.5S活動、小ロット生産、多能工、生販一体化

(人材の好循環の条件1の具現化)

5Sを基礎に小ロット生産、多能工、生販一体化を目指します。人材の好循環の条件1の具現化で、作業環境を整備し、業務の無駄をなくします。生産管理の体系化を目指すなら、まずはここから着手しましょう。

2.管理システム

(人材の好循環の条件2の具現化)

現場環境が整って余裕が出てきたら、次は設計、調達、製造の制度、基準、実行の体系化に取り組みます。現状調査分析を行って、誰が何をいつどこでどのようにやっているかを徹底的に「見える化」します。「VM(見える管理)体制」、すなわち「目で見る管理」と合わせて行うと、現在の仕事の問題点、課題が浮き彫りになり、さらに管理がしやすくなります。

3.物的システム

(人材の好循環の条件3の具現化)

モノの流れを管理・改善する仕組み(システム)の部分として、生産現場のレイアウト、作業方法、運搬の体系化をします。情報の流れを良くし、人、モノの流れの改善を継続し、作業・仕事のしやすい組織づくりを目指します。

まとめ

人材不足の時代を生き抜くためには人材の確保が重要課題です。慢性的な人材不足に悩まされている中小製造業にとっては、少ない人材をマルチタスク化することが重要です。そのためには、情報の流れとモノの流れを可視化した理想的な生産管理を構築して、人材の好循環を図りましょう。

今回、生産管理の体系化における具体的な進め方でご紹介した、中部産業連盟・東京事業部の「見えるフレキシブル生産システム(VM-FMS:Visual Management Flexible Manufacturing System)」については、5月に関連セミナーの開催が予定されています。“全国ベースのマネジメント専門団体”としての中部産業連盟の一翼を担い、首都圏および東日本を中心に企業経営革新、人材能力開発と育成の支援を行っている中部産業連盟・東京事業部のセミナーにもぜひ参加してみてください。

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