人手不足が深刻化し、withコロナ・アフターコロナの時代の中、中堅・中小製造業における働き方は大きく変わってきています。特に注目したいのは、DX(デジタルトランスフォーメーション)に代表されるデジタル革新。大企業だけでなく中堅・中小製造業でも、デジタル技術の活用によるビジネスそのものの見直しが重要課題になってきました。製造業では難しいと思われがちなテレワークもその一つ。実際には製造業でもテレワーク可能な業務はあり、さまざまな創意工夫をしながら各企業で導入が進んでいます。ここでは、厳しい時代を勝ち抜くために、テレワークを促進するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用方法について解説します。
製造業でもテレワークできる業務とは? RPA活用による業務改善
2021年 2月25日公開
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目次
これからの製造業が目指す方向とは
人手不足は年々深刻化しており、実際に業務に影響が出ているという会社も出てきました現れてきました。一方で、第4次産業革命で、ロボットやIoT、AIなどのデジタルツールは飛躍的に進歩しています。国内の労働人口の増加が見込めない今、苦境を脱するには、先進的なデジタルツールの活用が必要です。
例えば、コロナ禍で一気に導入が進んだテレワーク。「現場の作業が多い製造業でテレワークは無理」と思っている会社は少なくありません。しかし、製造業でも仕事内容や部門・部署によってはテレワークも実現可能です。また、RPAを活用することによって、より効率的にテレワークで業務を行うことができます。
実は意外とある? 製造業でもテレワークできる業務
製造業の業務には、実はテレワークに向いている業務が意外とたくさんあります。例えば、インターネット環境やビジネスコミュニケーションツールといったテレワークのための環境が整備されているなら、パソコンでできる仕事はテレワークへの移行が可能です。
一方、現場・現物が前提となる仕事はテレワークには向いていません。まずは向いている業務と向いていない業務を分けてみましょう。

テレワークに向いている業務

テレワークに向いていない業務

テレワークを促進させるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは
製造業でテレワークを促進させるにはRPAの活用がポイントになります。
RPAとは
RPAとは、人が繰り返し行うパソコン操作をソフトウェアで自動化することです。製造現場の自動化としてはロボットの活用も挙げられますが、RPAはパソコン業務全般を自動化するのに役立ちます。
- パソコン業務の自動化 ⇒ RPA
 - 工場生産の自動化 ⇒ ロボット
 
RPAでの自動化により、労働生産性や業務品質が向上して限られた人材をほかの業務へ有効活用することができるため、働き方改革を進める企業に注目されています。
製造業のRPA活用
RPAはパソコンで行う作業を自動化するツールですが、テレワークに向いている業務全てをRPAでできるわけではありません。例えば、人が頭を使ってアイデアを出す企画やコミュニケーションが必要な会議などはRPAには向きません。
これに対し、データ処理や定型的な業務はRPAの適応性が高く、RPAに任せることで大幅な効率改善につなげることが可能です。
| 業務内容 | 適応性 | 補足 | 
|---|---|---|
| 企画立案 | × | 考えるのは、人の仕事 | 
| 資料作成 | △ | 定型的な資料のみ可能 | 
| メールでのやり取り | ○ | 定型文でのメール送受信は可能 | 
| データ入力・集計 | ◎ | データの入力/出力、ダウンロード/アップロード、集計が得意 | 
| 会議・打ち合わせ | × | 定型文での会議案内メールなどは可能 | 
| 設計 | × | 単純なデータ入力のみであれば一部可能 | 
RPA活用ができる業務例
製造業の業務の中で、今回は受注業務、調達業務、製造業務、出荷・販売業務、保守業務の五つについて、具体的なRPAの活用シーンを紹介します。
受注業務
RPAを導入すると、オンラインで受発注管理ができるWeb-EDIで受注データのダウンロードを自動化したり、担当者へのメール通知を自動化したりできるようになります。

調達業務
RPAを導入すると、在庫が適正量を下回ったときに素早くチェックして担当者にアラートを通知したり、仕入れ先へのPDF発注書へ送信したりする作業を自動化できます。

製造業務
RPAを導入すると、工場に製造指示データを送ったり、製造実績データを基幹業務システムに手入力したりする作業を自動化できます。そのため、人為的な転記ミスや漏れが少なくなります。

出荷・販売業務
RPAを導入すると、出荷の際に担当者へ出荷案内を送ったり、棚卸しデータを基幹業務システムに手入力したりする作業を自動化できます。

保守業務
RPAを導入すると、修理依頼や定期メンテナンスの通知を担当者に伝える作業を自動化できます。

RPA導入の進め方
「RPAは便利そうだけど、何をどうしたらいいか分からない」「自分たちで自動化プログラムを作る自信がない」「うちの会社ではできそうもない」という会社は少なくありません。現状に合わせて、RPAの導入を進めていきましょう。
費用を抑えてRPAを利用したい場合
無料で試せる機会を活用しましょう。RPAセミナーやトライアルなど、無料で参加できるものをうまく利用して、次のようなフローで進めるとスムーズに導入できます。

導入開始時は手厚い支援を受けたい場合
インストラクターの開発サポートサービスを利用しましょう。インストラクターから直接指導を受けながら、次のようなフローで進めるとスムーズに導入できます。

自社ではロボットの設定・開発をしない場合
スクリプト開発から依頼できる会社を選択しましょう。業務内容の確認からスクリプト開発まで、次のようなフローで進めるとスムーズに導入できます。

RPA×生産管理システム活用のコツ
RPAと生産管理システムの活用を成功させるには、三つのポイントがあります。
1. 開発の難易度を見極め、役割分担を明確にする
利活用のポイントや難易度は、会社ごとに異なります。事前にハンズオン研修などの教育を受けてきちんと学び、自社開発できるレベルのツールを選択しましょう。実績が多くノウハウを持った会社に委託することも大事です。
2. 動作エラーになる原因を徹底的に取り除く
導入してからエラー続きでは困ります。利用環境によっては動作が不安定になることもあるため、画像認識に頼らないこと、自動化に必要な機能を事前に確認しておくこと、条件分岐やエラー時の対応方法を確認することが大切です。
3. RPAは業務改善のツールであると考える
RPAはあくまでも業務改善のためのツールです。手作業で行っている業務を棚卸しし可視化するとともに、業務プロセスをしっかり見直して、自動化すべき業務を見極めましょう。
最も大事なのは、「何のためにRPA×生産管理システムを導入するのか?」という目的を明確にすることです。RPAや生産管理システムを導入すること自体は目的ではありません。導入して何を達成したいのか、明確な「目的設定」を忘れないようにしましょう。
まとめ
製造業にもデジタル化の波は確実に押し寄せています。あまり大げさに考えず、日ごろの困りごとがRPAで改善できないか考えてみましょう。できることから1歩ずつ進めていくのがコツです。
大塚商会は、重要である「目的設定・実現範囲」の策定から「最適システム選定」「実稼働サポート」まで一貫してご支援します。お気軽にご相談ください。
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