【生産管理システム比較】製造業の業種別に選び方を解説

2022年11月10日公開

製造業が業務改善に取り組む上で、生産管理システムの活用は効果的な手段の一つです。世の中には多種多様な生産管理システムがあり、製造業の業務効率化に役立てられています。しかし、製造業の中でも業種・業態によって管理するポイントが大きく異なるため、自社に合ったシステムをどう選べばよいか分からないという企業は多いのではないでしょうか。

本記事では、生産管理システム導入で失敗しないための比較ポイントや業種別の選び方、大塚商会の製造業向け生産管理システム「生産革新ファミリー」について解説します。

生産管理システムとは

生産管理システムは、製造業における「モノの流れ」と「情報の流れ」を統合的かつ総合的に管理するシステムです。製造業の生産管理でよくある課題の解決に特生産管理システムは、製造業における「モノの流れ」と「情報の流れ」を統合的かつ総合的に管理するシステムです。製造業の生産管理でよくある課題の解決に特化しており、受注管理・生産計画・発注管理・製造管理・在庫管理などのさまざまな機能が搭載されています。

生産管理の主な目的は、モノづくりの現場において品質(Quality)・原価(Cost)・納期(Delivery)のQCDを最適化することです。しかし、多くの企業ではExcelやAccessを使った属人的な生産管理を行い、異なる部門間での情報共有がしにくい、担当者の不在時に業務が滞ってしまう、といった問題が発生しています。

生産管理システム導入によって、受注から出荷までの一連の流れを「見える化」することができます。「どのような工程・手順で作ればいいのか」「製品を作るのにいくらかかったのか」「いつまでに何を幾つ作ればいいのか」といった情報を全社で把握できます。適切な生産管理システムを導入・活用することで、効率的かつ精度の高い生産管理が実現でき、QCDの最適化につながります。

生産管理システム導入で失敗しないための比較ポイント

生産管理システムは製造業に大きなメリットをもたらしますが、現場でうまく使いこなせていないケースも見受けられます。ここでは、生産管理システムの導入で失敗しないために確認しておきたい比較ポイントを三つ紹介します。

自社の業務に対応しているか?

生産管理システムの機能は、導入するシステムによって大きく異なります。生産管理システムを導入する際は、事前に自社で行っている業務や手順を洗い出した上で、必要な機能がそろっているかを確認することが重要です。

必要な機能がない場合は、別のシステムを導入して機能を補わなくてはならず、生産管理が煩雑になってしまいます。

そうならないために、まずは自社の業務に必要な機能が一通りそろっている生産管理システムを導入し、必要に応じてカスタマイズを行って最適化を図る必要があります。

自社の生産方式に適しているか?

製造業の生産方式は、次のような視点で分けることができます。

生産方法の違い

  • 毎回異なる仕様の製品を生産する「個別生産」
  • 同じ仕様の製品を何度も生産する「繰返生産」

生産時期の違い

  • 需要予測にもとづいて受注前に生産しておく「見込生産」
  • 受注後に生産する「受注生産」

さらに、「受注生産」は以下に分かれます。

  • 中間品・仕掛品の在庫を持っておき、受注後に組立して最終製品に仕上げる「受注組立生産」
  • あらかじめ仕様が決まっている製品を受注後に生産を開始する「受注生産」
  • 受注後に顧客の要望に合わせた設計を行ってから生産を開始する「受注設計生産」

生産量の違い

  • 限られた種類の製品を大量に生産する「少品種大量生産」
  • さまざまな種類の製品を少量ずつ生産する「多品種少量生産」
  • 需要変動に合わせて必要な製品を必要なだけ生産する「変種変量生産」

これらは個別受注生産、繰返受注生産、繰返見込生産といったように組み合わせて使われることもあります。また、企業内で異なる生産方式が混在しているケースも少なくありません。

生産管理システムの多くは、何らかの生産方式に特化して作られています。自社の生産方式に適合するシステムでなければ、導入後に使いにくさを感じたり、期待した成果がでなかったりする可能性が高いので、注意しましょう。

自社の課題を解消できるか?

製造業の多くは、自社の生産管理について次のような課題を抱えています。

  • 納期を短縮したい、納期遅延を防止したい
  • ムダな在庫を減らしたい、欠品を防止したい
  • 生産の進捗(しんちょく)状況を把握したい、負荷を平準化したい
  • 製品の原価を正確に把握したい、原価をできるだけ抑えたい

生産管理システムを導入する際は、自社の課題をより具体的に明確にしたうえで、それを解消できるものを選びましょう。システムはあくまでも自社の課題を解決するためのツールであり、導入すること自体が目的ではありません。生産管理システムを導入する目的を明確にしたうえで、さまざまなシステムを比較しましょう。

【業種別】生産管理システムの選び方

ここからは、組立を中心とした製造業、加工を中心とした製造業、配合を中心とした製造業の三つの業種別に、生産管理でよくある課題、それらの解決に役立つ生産管理システムの選び方を解説いたします。

組立を中心とした製造業

組立を中心とした製造業(以下、組立業)は、複数の部品や材料を組み立てて製品を作る業態です。電機・電子メーカー、機械メーカー、自動車・輸送機器メーカーなどが該当します。

組立業の生産方式は、個別生産と繰返生産の二つに大きく分けられます。例えば、家電製品の多くは同じ仕様のものを何度も作る繰返生産です。一方、顧客の要望に合わせてカスタマイズすることが多い産業機械などでは、特注品の個別生産、あるいは標準品の繰返生産と特注品の個別生産の両方を行うことがあります。

組立業によくある課題

組立業の生産管理で特に重要なポイントは、構成部品の管理や調達の最適化です。組立業ではさまざまな構成部品を組み合わせて製品を作ることになるため、それらを必要なときに、必要な数量で調達するための仕組みづくりが課題となります。

繰返生産の場合は、製品の仕様があらかじめ決まっているため、構成部品の在庫を持つことがあります。在庫を持つ部品に関しては、余剰在庫や欠品を起こさないように適正在庫数量や安全在庫数量を設定し、それらにもとづいた調達を行わなくてはなりません。在庫を持たない部品に関しては、部品によって異なる購買リードタイムを考慮しながら最適なタイミングで調達する必要があります。調達が遅れると欠品になりますが、調達が早すぎてもキャッシュフローが悪化したり、在庫管理の手間が増えたりするため、注意しなければなりません。

一方で個別生産の場合は、構成部品の管理や調達がより煩雑になる傾向にあります。例えば、産業機械のように部品点数が膨大かつ複雑な製品では、案件ごとに個別の番号(製番など)を設定し、それにひも付ながら確実に部品を手配していかなくてはなりません。また、案件別に原価管理を行って収支を把握したり、設計部門と部品構成表(BOM)を連携したりすることも重要です。

従来の個別生産では、構成部品の在庫を持たずに都度調達するのが一般的でした。しかし昨今では、品質向上・コスト削減・納期短縮・安定確保などを目的に部品やユニット品の標準化に取り組む企業が増えています。部品の標準化が進めば、繰返生産と同じように在庫管理も重要になってくるでしょう。

組立業に最適な生産管理システムの選び方

組立業が生産管理システムを導入する際に、組立生産に必要な機能が一通りそろっている必要があります。受注管理・生産計画・製造管理・出荷管理といった基本的な機能を漏れなく備えつつ、特に繰返生産の場合は、部品の調達や在庫管理をしやすいシステムを選びましょう。例えば、受注納期を起点に製造リードタイムや購買リードタイムからスケジュールを逆算し、有効在庫数量を加味しながら生産計画や調達計画を立てられるシステムであれば、多種多様な構成部品が必要なときでも、必要な数量を調達できるようになります。

また、個別生産の場合は、個別生産に対応した部品構成表の管理や設計部門との連携機能、案件ごとの原価管理機能を持つシステムが適しています。また、繰返生産と個別生産の両方を行っている組立業の場合は、両方に対応したハイブリッド型の生産管理システムを選びましょう。特に、部品の標準化を実現するためには、ハイブリッド対応の他に設計部門と製造部門が双方向に連携できるシステムの導入が欠かせません。

加工を中心とした製造業

加工を中心とした製造業(以下、加工業)は、複数の加工工程を経て製品を作る業態です。金属製品、樹脂・ゴム製品、ガラス製品などのメーカーが該当します。

加工業の生産方式も、上述した組立業と同じく個別生産と繰返生産の二つに大きく分けられます。

加工業によくある課題

加工業の生産管理で特に重要なポイントは、工程管理です。繰返生産の加工業では内示・フォーキャスト・確定受注といった情報をもとに生産計画を立てている企業が多く、工程管理と共にこの生産計画の最適化が大きな課題となります。例えば、工程や設備ごとの生産ロットや負荷状況、工程仕掛け在庫などの情報をもとに、最小限の段取り替えで完了する効率的な生産計画を立てなければなりません。また、共通で使用される材料の在庫管理や、近年業種を問わず要求が高まっている品質管理・トレーサビリティへの対応も重要です。

一方、個別生産では顧客の要求や製品仕様によって納期が異なりますが、近年では超短納期化が進んでいます。受注した案件ごとに材料の手配状況を確認したり、工程の進捗状況を管理したりすることで、モノづくりがどこまで進んでいるかを都度確認しながら納期に間に合わせることが重要です。また、個別生産の加工業は比較的少数精鋭で行っている企業が多いため、できるだけシンプルな管理が求められる傾向にあります。

加工業に最適な生産管理システムの選び方

繰返生産中心の加工業が生産管理システムを導入する際は、生産計画や工程管理の機能を重視する必要があります。一般的な生産管理システムは、組立を中心とした部品構成ありきのシステムが多いです。しかし、加工業の場合は、「部品構成」よりも「加工工程」を重視したものでないと、運用が回らなくなってしまいます。加工工程を重視した生産管理システムであれば、各工程の機械設備や生産能力、在庫状況などを考慮した最適な生産計画をシステムが自動で立案してくれるので、生産管理の手間が大幅に削減されます。また、製品・仕掛品(半製品)・材料の在庫管理や発注管理、ロットトレースによる品質管理、使用材料・設備・治工具といった工程別マスター管理などの機能も備わっているかを確認しておきましょう。

ただし、個別受注生産が中心の加工業では、工程や材料があらかじめ決まっていないケースも多く、案件ごとに個別の番号(製番など)を設定し、それにひも付けて受注から出荷までの大まかな進捗状況を管理する機能や、事前にマスター登録をしなくてもすぐに使うことができるシンプルなシステムを活用するとよいでしょう。また、導入のしやすさやコスト面を考慮すると、近年増えつつあるクラウドタイプの生産管理システムもおすすめです。

配合を中心とした製造業

配合を中心とした製造業(以下、配合業)は、複数の原材料を配合表やレシピに従って配合し、製品を作る業態です。化学製品、食品・飲料、医薬品などのメーカーが該当します。

配合業では一般的に、設備に原材料を投入・配合して製品を作ります。あらかじめ作り方や製品仕様が決まっているため、ほとんどの企業が繰返生産でモノづくりを行っており、配合業での個別生産は少ない傾向にあります。

配合業によくある課題

配合業の生産管理では、配合表やレシピの管理、原材料の調達、在庫管理などが重要になります。特に配合業では、液体・粉体・粒体など製品や原材料の形状がさまざまで、管理する場面において単位も袋・グラム・リットル・本など変化していくことへの対応が必要です。また、多種多様な原材料を扱うだけでなく、あらかじめ在庫として用意している場合も多くあります。そのため、余剰在庫や欠品を起こさないように適正在庫数や安全在庫数を設定し、それらにもとづいた調達を行わなくてはなりません。

また、配合業で生産するモノは化学製品や食品が多く、GMPやHACCPといった規格に準拠した製造・品質管理を行わなければなりません。そのため、品質管理やトレーサビリティ、品質検査に課題を感じている企業が多く、生産管理システムによる品質向上や業務効率化が求められています。

配合業に最適な生産管理システムの選び方

配合業には、多種多様な配合パターンや在庫管理に対応した生産管理システムが適しています。例えば、配合表やレシピの情報をもとに、生産計画から逆算して原材料の発注指示や生産指示を出せる機能が求められます。配合業の生産管理は複雑になりがちですが、生産管理システムを活用すれば属人化を防ぎつつ効率化が図れます。

また、品質管理やトレーサビリティの観点からは、原材料・半製品・製品のロット管理や有効期限を管理する機能も必要です。GMPやHACCPといった規格では検査成績書などの品質文書も厳格に管理しなければならないため、品質検査の管理・記録もできるシステムであれば品質管理の手間を軽減できます。

生産管理システムの機能比較と導入効果

大塚商会の製造業向けの生産管理システム「生産革新ファミリー」は、組立業・加工業・配合業のそれぞれに対応したパッケージシステムから構成され、お客様の業種や業態に合った最適なシステムを提供しています。

生産革新 Fu-jin

「生産革新 Fu-jin」は、組立業向けの最もベーシックな生産管理システムです。繰返受注生産や繰返見込生産に適応し、リードタイムを加味した構成部品の手配や生産計画を行うことができます。「生産革新 Fu-jin」のメリットとしては、受注~所要量計算~発注~受入~製造~出荷まで一連の流れをトータルで管理することが可能になります。

生産革新 Raijin

「生産革新 Raijin」は、繰返生産に適した「生産革新 Fu-jin」の機能を包括しつつ、個別受注生産にも対応したハイブリッド型の生産管理システムです。「生産革新 Raijin」のメリットとしては、部品構成表(BOM)による設計~生産の双方向連携機能や案件ごとの原価管理機能により、生産管理における個別受注生産の課題を解決します。

生産革新 Ryu-jin

「生産革新 Ryu-jin」は、加工業向けの生産管理システムです。「生産革新 Ryu-jin」のメリットとしては、繰返受注生産や繰返見込生産に適応し、内示・フォーキャスト・受注情報をもとに各工程の状況を踏まえた最適な生産計画を立案できます。また、生産計画にひも付いた材料の発注計画の立案や在庫管理、ロットトレースによる品質管理などの機能も網羅しています。

生産革新 Wun-jin

「生産革新 Wun-jin」は、個別受注生産や多品種少量の繰返生産に適応した加工業向け生産管理システムです。「生産革新 Wun-jin」のメリットとしては、小規模な企業でも導入しやすいクラウドタイプなので、簡単に導入することができます。シンプルな機能のみをご希望のお客様におすすめのシステムです。

生産革新 Blendjin

「生産革新 Blendjin」は、配合業向けに最適化された生産管理システムです。配合表やレシピの管理、原料・半製品・製品のロットや有効期限管理、ロットトレースによる品質管理など、配合業の複雑な生産管理で役立つさまざまな機能が搭載されています。

「生産革新ファミリー」は、販売管理システムの「SMILE」と連携した製販一体型のオールインワンパッケージです。生産管理に関するデータと販売に関するデータを連携させることにより、企業体質や販売力の強化を図ることができます。また、「SMILE」は基幹系システムと情報系システムのデータベースを統合するなど拡張性にも優れているため、業務の横断的なデジタル化を実現します。

まとめ

製造業が抱えるさまざまな課題を解決するために、生産管理システムはなくてはならないツールです。昨今では製造業の競争が激化しているだけでなく、生産性向上や働き方改革も求められているため、課題の解決は急務といえます。自社の課題を解決するために、生産管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

大塚商会は「生産革新ファミリー」であらゆる業種・業態の製造業の課題解決をサポートしています。お客様の業種・業態に合った最適な生産管理システムをご提案しますので、お気軽にお問い合わせください。

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