製造業において、製品情報を正確に管理し、開発から生産・廃棄までの全工程を効率化するうえで欠かせない仕組みがPLM・PDM・BOMです。三つの仕組みは管理する範囲や目的が似ている部分もあるため、どれから整備すべきか優先順位が見えにくいと悩まれることもあるでしょう。
本記事では、PLM・PDM・BOMそれぞれの主な役割を整理したうえで、三つの仕組みの違いや相互関係を分かりやすく解説します。また、自社の課題や目的に合ったシステムの選び方、失敗しない導入ステップ、活用メリットまで幅広くご紹介します。
2026年 8月25日公開
製造業において、製品情報を正確に管理し、開発から生産・廃棄までの全工程を効率化するうえで欠かせない仕組みがPLM・PDM・BOMです。三つの仕組みは管理する範囲や目的が似ている部分もあるため、どれから整備すべきか優先順位が見えにくいと悩まれることもあるでしょう。
本記事では、PLM・PDM・BOMそれぞれの主な役割を整理したうえで、三つの仕組みの違いや相互関係を分かりやすく解説します。また、自社の課題や目的に合ったシステムの選び方、失敗しない導入ステップ、活用メリットまで幅広くご紹介します。
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目次

PLMとは、製品の企画から設計、生産、販売、保守、廃棄に至るまで、製品ライフサイクル全体を一貫して管理する基盤です。単なるデータ保管庫ではなく、製品ライフサイクルを見渡すための「戦略的インフラ」と位置付けられます。
PLM(Product Lifecycle Management)は、製品の企画・設計・製造・販売・保守・廃棄といった製品ライフサイクル全体にわたる情報を部門横断で統合的に管理して「見える化」する考え方やシステムです。
設計部門や生産部門、調達部門など、部門をまたぐ情報を統合。「一つの真実のデータ」を作ることで、全社で同じ前提情報を共有したうえでの意思決定を可能にします。
製品の高度化や開発スピードの加速が進む現代では、各部門が個別にデータを管理する従来の方法では情報の重複・抜け漏れが起きやすく、工程の手戻りや意思決定の遅延を招きがちです。
そのため部門横断での情報共有やデータ管理の重要性が高まっており、PLMはこうした課題を解消する基盤となっています。
PLMは、設計情報や設計変更の履歴、品質データ、部品表(BOM)など、製品に関するあらゆる情報を一元的に管理できます。
関連部門が相互に情報を共有することで、リアルタイムにデータを参照・連携できる環境を整えます。部門間の情報共有を促進することで、製品情報の整合性を保ちながら、QCD(品質・コスト・納期)の継続的な改善を実現します。
| 具体的な役割 | 説明 |
|---|---|
| ポートフォリオ管理(PPM) | 企画部門向けの機能。製品ポートフォリオを俯瞰(ふかん)してプロジェクトのリソースを最適配分し、経営層の意思決定を迅速化する |
| 要件管理 | 顧客ニーズや市場動向をライフサイクルの初期段階で把握し、設計・調達・製造・保守の各プロセスへ反映することで、顧客要求に沿った製品を効率的に提供する |
| 製品設計 | 案件・設計工程・設計変更を一括サポート。ペーパーレス化とデータ集約により人的ミスを削減し、設計部門の業務負荷を軽減する |
| BOMデータ管理 | 設計BOM・製造BOM・保守BOMを一貫管理。設計から調達・製造・保守まで、製品ライフサイクル全体で統一した部品情報を活用できる |
| 開発スケジュール管理 | 各部門の情報を共有しながら生産計画を最適化。案件リードタイムの短縮、現場の効率化、開発コスト削減によりQCD向上に貢献する |
| 原価管理 | 設計の初期段階から原価・品質をフィードバックし、コストの「見える化」を実現。ロスコストの削減と利益体質への転換を支援する |
| 取引先情報管理 | 製造・調達・購買部門にまたがるサプライチェーン上の取引先を一元管理し、取引状況を生産プロセス全体で共有する |
PLMの導入により、企画・設計・製造・保守・廃棄にわたる各工程の情報を一元管理でき、部門間の連携がスムーズになります。
特に製造業が陥りがちな設計・品質・調達など、部門ごとに分断された情報をつなぐことで、サイロ化を解消できるのもポイントです。これにより対象範囲が製品ライフサイクル全体に及ぶため、比較的大規模システムとなる場合が多くなります。
また、各部門がデータや知見を抱え込むことで起こる情報の重複管理や伝達ミスが改善され、意思決定の遅れや手戻りを克服できるため、判断の根拠となる情報の鮮度と正確性が高まり、迅速で一貫性のある業務推進が可能になります。
具体的なメリット
PDMとは、設計者が作成する膨大なデータとBOMを安全に管理する「仕組み」です。PLMと違い、PDMは「設計部門中心」のシステムです。PLMに内包されており、さらに上流・下流の工程まで広げたものとなっています。
PDM(Product Data Management)は、設計図面やCADデータ、仕様書、部品表(BOM)などの設計情報を一元管理するシステムです。製品の多品種化が進む製造業では、扱う情報量が膨大になりやすく、担当者ごとにデータを管理する属人的な手法では限界があります。特に3D CADの普及により、従来の2D CADよりも扱うデータが複雑化したことから、あらためて必要性が高まっています。
そこでPDMが各部門の情報をデータベースに集約し、複数部門が常に最新情報を参照できる環境を構築するほか、バージョン管理や承認ワークフロー機能も搭載しています。設計変更に伴うミスや手戻りの防止に役立ちます。また、設計部門におけるデータ管理基盤として機能し、情報の共有や再利用を効率化させます。
PDMの主な機能は、大きく「データ管理」「ワークフロー管理」「検索」「BOM管理」「セキュリティ」に分類されます。
| PDMの主な機能 | 説明 |
|---|---|
| データ管理 | CADデータ・図面・仕様書・部品表・試験結果など、多様な技術情報を一元保存。バージョン管理や更新履歴の記録、承認・差し戻しなどの運用ルールも設定でき、データ紛失や誤使用のリスクを低減する |
| ワークフロー管理 | 申請・承認フローの迅速化と進捗(しんちょく)ステータスの可視化を実現。承認漏れを防止しつつ、自社の業務プロセスに合わせたワークフローを柔軟に構築でき、業務効率化とトレーサビリティ強化につながる |
| データ検索 | フリーワード検索・属性検索・類似部品検索など、多様な検索手段で膨大な設計データや部品情報を迅速に抽出。過去データの再利用や照合作業を効率化する |
| 部品表(BOM)管理 | 製品を構成する部品・材料の構造を階層的に管理。設計変更時の影響範囲分析やコスト計算、在庫・購買管理との連携にも対応し、設計・製造・調達間の情報連携をスムーズにする |
| セキュリティ | アクセス権限設定・ログ監視・不正アクセス防止・データ暗号化により、設計情報や企業機密を保護。情報漏洩・改ざんのリスクを最小化する |
設計変更の履歴を正確に記録するほか、旧版への戻しも簡単に行えるのが特徴です。「どれが最新の図面か分からない」というミスを防ぎ、先祖返りを防止し、常に最新の設計情報を維持できます。
また、設計者同士の共同作業を円滑にし、部門間での設計情報の共有を促進できるのもポイントです。複数人が同じファイルを同時に編集してデータが壊れるのを防いだり、「いつ」「誰が」「なぜ」図面を変更したのか履歴を自動的に記録したりと、情報の不整合やミスを防止できます。
PDMを導入する主なメリットとして、まず設計データの一元化による業務効率の向上が挙げられます。CADデータや部品表(BOM)を集約することで、類似図面の再利用が容易になり、二重作業や検索の手間を大幅に削減できます。「あの図面はどこだっけ」「最新版はどれ?」といったムダな検索・確認作業がなくなり、必要なデータにすぐアクセスできるのが大きな利点です。
部門間でのリアルタイムな情報共有により、古いデータの誤参照や設計ミスを防ぎ、製品品質の底上げにつながるのもメリットです。古いバージョンを誤って使う、承認前のデータで製造が進むといった「気付かないうちに起きていたミス」を防ぐ仕組みが整います。
また、ファイルの命名規則や承認フロー、バージョン管理ルールをシステム側で統一することで、部門・担当者ごとにバラバラだった運用を標準化できます。設計情報が個人の管理から組織の管理に移るため、誰でも最新情報を参照・引き継ぎが可能になります。「その人に聞かないと分からない」という属人化の防止にも有効です。
BOMとは、製品を構成する部品・材料の「リスト」そのものです。製品を製造するために「どの部品が・幾つ必要か」をまとめたモノづくりの基本情報となる「マスターデータ」です。

BOM(Bill of Materials)は、部品表や部品構成表とも呼ばれ、製品を構成する部品や材料の種類・数量、品名、単位、品目コード、親子関係(階層構造)などを一覧化したデータです。生産管理・調達・原価管理の基盤となる情報であり、製造業における情報管理の中核を担います。
またBOMは、設計・製造・調達・保守など、製造に関わる全ての部門が共通して参照する「社内の共通言語」です。そのためBOMが間違っていれば、誤発注や製造ミス、原価計算の狂いが連鎖的に発生するため、正確性が求められます。
BOMの主な役割は、製品を構成する全ての部品・材料・数量・単位を階層的に定義し、「何が・幾つ・どの順で必要か」を一元管理することです。組み立て順序や加工工程といった製造プロセスの情報も含むため、設計変更が発生した際の影響範囲を迅速に特定し、手戻りやミスの抑制にも貢献します。
設計・製造・調達など、複数部門が共通の情報基盤として参照することで、部門間の食い違いを解消し、スムーズな情報連携を実現。Excelや個別フォーマットで管理されたデータでは生じやすい転記ミスや整合性の欠如を防ぐ、製造業における「共通言語」としての役割を担っています。
BOMは用途・活用する部門によってタイプ分けができ、主に設計段階の「E-BOM」と製造段階の「M-BOM」に大別できます。実際には両者が分かれてしまっている企業も多く、設計側・製造側をつなぐことが重要な課題となっています。ここの連携が不足すると、仕様変更があっても設計側だけ更新されて製造側に反映されなかったり、部門ごとに転記作業が発生してミスが起きやすかったりとムダが生じやすくなります。E-BOMを軸にM-BOMへ情報が引き継がれる仕組みが理想的です。
| BOMの種類 | 説明 |
|---|---|
| E-BOM (Engineering-BOM/設計部品表) | 設計部門が作成するBOMの源となるデータ。部品の品目コード・数量・仕様を管理し、製造・調達など下流工程のBOM構築の基盤となる |
| M-BOM (Manufacturing-BOM/製造部品表) | BOMに組み立て順序や加工工程を加えて製造部門が作成したデータ。生産管理システムと連携し、実際の製造指示や工程管理に活用される |
BOMの活用により、部品の手配数量や納期を正確に把握できるため、発注ミスや在庫過多を未然に防ぐことができます。
Excelや紙での管理と異なり、部門間の転記ミスや認識のズレが起こりにくく、最適なタイミングで必要な部品を調達可能です。部品ごとの発注単価や数量がひも付くため、製品一点あたりの材料費を設計段階から積み上げて把握できるようになり、原価の透明性も高まります。割高部品の代替検討や価格戦略の見直しを早期に行えるでしょう。
また、設計・調達・製造・保守の各部門が同一のBOMを参照することで、従来は部門ごとの情報断絶や共有ミスが減少するのもメリットです。部品の親子関係を階層構造で管理しているため、仕様変更時の影響範囲の特定や関連部門へ迅速に周知できます。
このように部門間の情報連携を強化することで、業務全体の効率化とミスの削減が同時に実現できます。
PLM・PDM・BOMは、それぞれ独立したものではなく、PLM>PDM>BOMという包含関係にあります。いずれも製造業で重要なものなので、自社の改善点を探るためにもどのような違いがあるか把握しておきましょう。
PLM・PDM・BOMでは、それぞれ担う役割が異なります。三者の関係を整理すると、PLMが全体基盤で、PDMが設計領域の管理機能、BOMがそのうえで扱われるコアデータという階層構造になっています。
| 要素 | 役割 |
|---|---|
| PLM | 製品ライフサイクル全体の情報を管理する考え方・システムであり、最上位の情報基盤として機能する |
| PDM | 設計情報(CADファイル・図面・BOMなど)の管理を担い、設計部門におけるデータ管理の中核となる |
| BOM | 製品構成データであり、PLMやPDM上で管理・活用される基盤情報として位置付けられる |
PLM・PDM・BOMの役割の違いから、管理する範囲もそれぞれ異なります。カバーする領域が広いほど、扱うデータや関わる部門の種類も多くなります。
| 要素 | 管理範囲 | 主な対象データ | 主な利用部門 |
|---|---|---|---|
| PLM | 企画→設計→製造→販売→保守→廃棄(製品ライフサイクル全体) | 図面・仕様書・部品構成・コスト・品質情報など、全工程のデータ | 設計・生産技術・購買・営業・品質保証など全社 |
| PDM | 設計フェーズ(PLMに内包される) | CADデータ・設計BOM・技術ドキュメントなど設計情報 | 設計部門のエンジニア |
| BOM | 製品構成情報 | 製品を構成する部品や材料の品番・員数・階層構造など。設計用E-BOM・製造用M-BOMなど目的別に複数存在 | PLM・ERPなど他システムへのインプットとして全部門で参照 |

製造業において、PLM・PDM・BOMはいずれも重要なものですが、それぞれ位置付けが異なります。PLM・PDM・BOMの三つは個々に独立したものではなく、包含関係にあります。「どの部品で何を作るか」を定義するデータであるBOMが、設計・調達・製造・原価計算など、全ての業務プロセスの起点になります。PLMもPDMもBOMを正確に管理・活用するための仕組みと捉えることもできます。
PLMとBOMは切り離せない関係です。BOMは製品を構成する部品・数量を定義した全工程の起点データであり、PLMはそのBOMを全社で一元管理・活用するための基盤として機能します。両者の関係・連携について見ていきましょう。
BOMは設計・製造・サービスなど各部門が参照する基盤データの源泉であり、PLMが扱う情報品質の土台を担います。そのため、BOMの情報が不正確だったり現場に必要な情報が不足していたりすると、設計変更の影響範囲の誤認や製造・調達への誤指示を招き、PLMの効果を損なうかもしれません。例えば、E-BOMの更新漏れが発生するとM-BOMへの反映も滞り、現場では誤った工程指示のまま生産が進むリスクがあります。
逆にBOMの精度が高く、変更情報が各部門へ即時に連携される状態だと、設計変更の影響範囲を正確に把握したうえで調達・製造計画の修正が可能です。PLMの効果は、BOMという基盤データの整備水準に大きく左右されます。
PLMは、製品の企画から廃棄に至る製品ライフサイクル全体の情報を一元管理する経営基盤であり、BOMはその中核データとして位置付けられます。具体的には、設計部門が作成するE-BOM(設計部品表)をPLM上で一元管理し、製造部門が参照するM-BOM(製造部品表)やサービス部門向けのS-BOMを同一のマスターデータから派生させる仕組みです。
設計変更が発生した際には、E-BOMへの変更内容がM-BOMや調達計画へ自動的に反映されるため、製造・購買・品質保証といった各部門が常に最新の部品情報を共有できます。
こうした仕組みにより、従来のExcel管理で頻発していた転記ミスや部門間の情報ズレが解消され、部門横断の情報連携が実現します。
PLMとBOMを統合することで、伝達ミスの削減やリードタイム短縮につながるのがメリットです。
従来は設計・製造・調達など、各部門が製品情報を個別に保持する縦割り構造が一般的で、設計変更の内容が製造・調達部門へ正確に伝わらないケースが頻発していました。
PLMとBOMの統合により、それぞれの部門で保存された製品情報が単一のマスターデータとして一元化されます。例えば、E-BOMを変更した際、M-BOMや調達情報へ自動的に反映されるため、旧仕様での部品製造や誤発注といった伝達ミスを防げます。
結果として、設計変更が全部門にリアルタイムで共有されるため、変更の影響範囲を即座に把握でき、確認・修正にかかる工数が大幅に減少。手戻りが削減されることにより、ムダなコストの抑制と開発リードタイムの短縮を同時に実現できます。
やみくもにシステムを導入しても、自社のシステムや仕事の進め方、現場の課題などとかみ合わなければ、十分な効果は見込めないでしょう。自社に合ったシステムを選ぶためのポイントを押さえておきましょう。
PLMやPDM、BOMに関するシステムは、それぞれ対応できる範囲と機能が異なるため、導入前に自社の業務課題や改善したいポイントを具体的に整理しておくことが重要です。
目的が曖昧なままシステムを選定すると、多機能なPLMを導入しても活用できる機能が限られたり、解決すべき課題が判然としないまま導入を目的にして課題解決につながらなかったりと、ムダな投資になるリスクがあります。目的の明確化は、システム選定全体の精度を左右します。
例えば、「設計変更のたびに各部門のBOMに差異が生じている」「CADデータの検索・共有に時間がかかっている」といった具体的な問題を棚卸しし、何を解決したいのかを言語化しましょう。現行プロセスのボトルネックを部門ごとに分析し、必要な機能をリストアップしてから製品比較に進むのが確実です。
PLM・PDM・BOMの役割の違いを踏まえ、自社の課題がある工程に絞って、必要な機能を洗い出しましょう。
そのうえで意識したいのが、機能の多さと実用性は比例しないという点です。搭載機能が増えるほど操作は複雑になり、現場への定着が難しくなります。教育コストの増大や運用ルールの形骸化を招くリスクもあるため、「使える機能」ではなく「使う機能」を基準に選ぶことが重要です。自社の業務範囲を具体的に棚卸しし、過不足のない機能構成かどうかを軸に比較検討しましょう。
導入を検討する際は、既存の基幹業務システムや生産管理システムとの連携可否を事前に確認しましょう。
受注・在庫・原価といった基幹業務との接続が不十分では、部門間でデータが分断されたり、同じ情報を複数箇所で管理する二重管理が生じたりと、転記ミスや更新漏れが発生しやすくなります。例えば、設計変更がBOMに反映されても、生産管理システム側に自動連携されなければ、製造現場が古い部品情報のまま作業が進んでしまいます。
ベンダーへの確認段階で、連携の実現方法や必要なカスタマイズ費用、データフォーマットの互換性など、既存システムとどのように連携できるか具体的に確認して選定することが大切です。
システムを導入したら終わりではなく、いかに現場へ定着させるかが成否を分けるポイントです。導入後の運用ルールや体制を整備して、現場への浸透をサポートしましょう。
まず、入力ルールやデータ更新の担当者・承認フローといった運用ルールを明文化し、部門をまたいで統一した運用体制を整えます。ルールが曖昧なままでは、部門ごとに異なる運用が生まれ、データの不整合や情報伝達ミスが再発しやすくなります。
並行して、役割別の操作マニュアルや研修を整備し、担当者が迷わず使える環境を整えましょう。操作に不慣れなまま現場に委ねると、入力漏れや誤操作が増え、システムへの信頼が失われる原因になります。特に複数部門が関わる場合は、情報の登録漏れや更新遅れを防ぐ役割分担を明確にすることがポイントです。
また、導入後も定期的に運用状況を振り返りましょう。一度決めたルールをそのまま固定すると、現場の実態と乖離(かいり)して形骸化するリスクがあります。業務フローの変化に合わせてルールや機能設定を見直すことで、継続的な改善につなげられます。
いきなりPLMを目指すと、影響範囲が広く現場ごとの事情への対応が追いつかず挫折するリスクがあります。製造業DXを成功させるコツは、システム導入を「ゴール」とするのではなく、データの「足場固め」に注力することです。全社的に一気に変わるのは難しいため、まずは「BOM」から段階的に拡張していく「小さく始めて大きく育てる」という着実なアプローチから始め、成果が確認できた段階で、適用範囲をPDM、PLMへと段階的に広げていく長期的な視点が成功につながります。

大きく3段階に分けて段階的に進めることで、着実に改善を進められます。なお各フェーズでは、一部門・限定機能から始めましょう。部門によって業務フローも使い方も異なるため、全部門に一斉展開すると、各現場の特性を無視した導入になりやすく混乱を招いてしまいます。
また、小さく始めることで早期かつ低コストで問題を解決できたり、徐々に実績を積むことで新システムへの切り替えに抵抗を示す社員からの反発を低減できたりする効果もあります。小さく試して、効果を確認しながら適用範囲を広げることで、現場の混乱や導入失敗のリスクを抑えながら実装を進められます。
一般的には、PDMを導入して「図面管理から始める」ことが主流となっていますが、大塚商会では「BOMから始める」ことを推奨しています。PDMの導入からスタートすると、製造現場特有の落とし穴があるからです。
「PDMを導入すればBOMも管理できる」という考え方もありますが、実際にPDMから自動生成されるBOMは、あくまで「図面を構成する部品リスト」であり、生産管理システムとの連携が考慮されていないことも多いためです。PDMは魔法の箱ではないため、PDMの導入から始める際もBOMを意識し、生産管理システムとの連携を考慮することをお勧めします。
また、設計と製造をスムーズに連携させるためには、図面という「絵」よりもBOMという「共通言語(データ)」を優先して捉えることが大切です。「BOMありき」で考えることで、設計変更が即座に反映され、誤発注や在庫ロスを防ぐ「真のDX」への一歩が踏み出せるようになります。
大塚商会のBOM管理システム「生産革新 Bom-jin」の導入により、課題を解決できた成功事例をご紹介します。
事業内容
フラットパネルディスプレイ用熱処理装置、電子部品用加熱装置などの設計・製造・販売「生産革新 Bom-jin」の導入により、受注生産品の設計コスト削減と、部品手配の完全自動化を実現しました。
フラットパネルディスプレイ用熱処理装置などを手がける同社は、共用可能な部品が多いにもかかわらず個別設計を繰り返しており、人件費増大・リードタイム長期化・手配漏れという三重の課題を抱えていました。
そこで、毎回ゼロから行っていた設計業務に標準化・流用化のルールを設けると共に3D CADとシステムを連携させて全部品を部品構成表とひも付けました。
結果として、1製品あたりの部品手配漏れがゼロになり、より付加価値の高い設計業務への注力が実現。吸収合併した業務や新規事業展開を支える業務基盤の確立につながっています。
事業内容
切削加工自動化ライン、切削加工機、難削材加工機、ボール盤/タッピング盤の製造・販売切削加工自動化ラインなどを手がける同社は、顧客要望に応じたカスタマイズ品の割合が高く、特注対応のたびに設計工数が膨らむのが課題でした。標準品による提案型営業への転換で、顧客の要望に合わせた製品を作れるように転換も急務となっていました。
そこで、品目コードや図面番号の付与ルールをBOMシステムの設定に合わせて整備し、標準部品と個別仕様部品を組み合わせる設計フローを構築。結果として、最初から設計し直す工程が不要になり、標準部品と個別仕様部品の組み合わせでスピーディーな設計対応が可能になりました。
「生産革新 Bom-jin」の導入により、標準化設計を実現したことで、標準機の構成比率を3割から6割へ倍増、設計工数を30%削減しています。製造番号単位でBOMを管理できる仕組みが整い、アフターメンテナンス用パーツリストの作成効率も向上し、業務効率だけでなくお客様へのサービス品質も向上しています。
大塚商会の「生産革新ファミリー」は、設計と生産の「情報の断絶」を解消します。構築したBOMデータは、各種生産管理システム「生産革新ファミリー」とのシームレスな連携も可能。設計部門と製造部門がリアルタイムで同一データを共有でき、手戻りやリードタイムの短縮につながります。

製品原価の80%は設計段階で決定されます。「生産革新 Bom-jin」は生産管理とのデータ連携を重視し、設計技術部門の図面・技術情報などの設計資産を「品目台帳」で管理。部門内の設計ルールを統一し、標準化と流用化を実現します。また、生産管理システム「生産革新 Raijin」と連携し、生産部門との双方向連携による真の一気通貫で、コスト削減・納期短縮・生産効率の向上を実現します。
「生産革新ファミリー」は、お客様の要望を製品開発に生かした大塚商会のオリジナル生産管理システムで、六つのパッケージシステムにより全ての製造業に対応しています。受発注、在庫、品質、原価など、さまざまな生産管理の悩みを解決し、販売や会計など基幹業務システムとのデータの相互連携も実現します。

PLM・PDM・BOMは、それぞれ役割の異なるシステム・データであり、製造業における情報管理の基盤となるものです。三者の違いや関係を理解することで、自社の業務に適したシステム構成を検討しやすくなります。さらに導入したシステムを適切に運用することで、情報共有の効率化や設計変更対応の迅速化、業務全体の最適化などが期待できます。
システム導入を成功させるには、自社の課題や目的に応じて適切に選定・運用することが大切です。そのためには現状の情報管理における課題と、どの業務プロセスにボトルネックがあるかを可視化しましょう。

BOMの基本
BOMとDX
E-BOM・M-BOM・S-BOM
BOMエキスパートコラム

製品原価の80%は設計段階で決定されます。「生産革新 Bom-jin」は生産管理とのデータ連携を重視し、設計技術部門の図面・技術情報などの設計資産を「品目台帳」で管理。部門内の設計ルールを統一し、標準化と流用化を実現します。また、生産管理システム「生産革新 Raijin」と連携し、生産部門との双方向連携による真の一気通貫で、コスト削減・納期短縮・生産効率の向上を実現します。
BOM導入をご検討されている方向けに、BOMについてを解説したハンドブックを作成しました。無料でダウンロードいただけますので、お気軽に下記バナーよりダウンロードしてご活用ください。
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高効率設計を実現するための流用化・標準化設計や、設計~製造の一気通貫を実現するためのBOM構築を中心に解説した動画を配信しています。
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生産管理システムについて
生産管理システム導入までの流れ
生産管理システム導入で失敗しないためのポイント
生産管理システムの機能
本記事の監修者

谷口 潤(株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ コンサルタント)
開発設計製造会社に入社以来、設計開発部部長、企画・営業部部長などを経て、米国設計・生産現地法人の経営、海外企業とのプロジェクト運営、新規事業開拓に携わる。その後、独・米国系通信機器関連企業の日本現地法人の代表取締役社長就任。現業に至る。
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生産革新ファミリーまるごと解説

「生産革新ファミリー」は、製造業における受発注・在庫・品質・原価など、さまざまなお困りごとを解決する生産管理システムです。大塚商会では、業種・業態別に六つのパッケージで展開しています。本資料では、各パッケージの概要から主な特長、運用イメージを1冊でまとめてご確認いただけます。システム導入のご検討にぜひご活用ください。
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