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あかるい税制活用
第6回 譲渡権つきリース利用時の減価償却について

譲渡権つきリースは、リースとして初期の導入コストを抑えることができ、またリース期間後には、その製品を自社のものとすることができるものです。その場合の経理処理についてご紹介します。

[2023年 9月20日公開]

譲渡権つきリースとは何か、そのメリットは?

譲渡権つきリースとは、リース期間が満了し、かつリース料の支払いが完済した時に“リース契約の対象物件の所有権が賃貸人から賃借人に移転するリース”です。

リース契約は大きくは以下の3種類に分類され、「譲渡権つきリースは“所有権移転リース取引”に分類されます」。

上図のファイナンス・リースでは、「期間中の中途解約禁止」または「違約金が残リース料と同程度の場合には、リース料総額に近い金額を支払うことはほぼ確実」となり、そのため、支払いの形式はリース料の形になっていますものの、実態としてはリース料総額が購入対価+割賦手数料などとして、対象物件を割賦購入したような売買取引に近いものと言えます。

  • (注)コピー機やコンピューターのリースはオペレーティングリースになります。

では、上図の分類ごとの会計処理について説明します。

“譲渡権つきリース”の会計処理は、上図のとおり「売買契約として減価償却」となります。皆様のイメージされる、いわゆる“ものを借りる”ということの会計処理と扱いが異なる点には注意が必要です。そこで、享受できるメリットと享受できなくなるものを以下にまとめます。

  • 譲渡権つきでも享受できるリースのメリット
    初期費用が抑えられる、条件次第でリース開始年度で一括の経費計上が可能
  • 譲渡権つきリースの注意事項
    設定したリース期間だけで経費計上できない

後者の「リース期間での経費計上」は、他の分類(「リース分類別の会計処理」項番2、3)のリース取引ではできることですので、よく誤解されるところかと思います。それでは、次項では譲渡権つきリースの会計処理についてご紹介していきます。

譲渡権つきリースの会計処理は?

法人税法上のリース取引に該当し、所有権が実質的に賃借人に移転すると判断される譲渡権つきリース取引は、賃貸人から賃借人へ「リース資産の売買があったもの」とされます。賃借人は自己の資産として、その資産の種類に応じて、その法人が選定している償却方法により減価償却をすることになります。

では、照明器具を譲渡権つきリースした場合の減価償却期間はどうなるでしょうか。通常、照明器具は建物付属設備の電気設備と分類され、法定耐用年数は15年です。2016年4月1日以後に取得をされた建物付属設備の償却方法については定率法が廃止されており、必ず定額法(期間内、減価償却額は一定)となります。「LED照明設備を減価償却する際は15年の定額法になる」ということです。

減価償却を開始する日は、減価償却資産を事業の用に供した日となります。LEDでいえば、実際に照明器具として使用できるようになった日と考えられます。「納入日と工事の日が異なる場合には、工事日が減価償却開始日になります」ので、注意が必要です。

また、「譲渡権つきリースであっても、少額の減価償却資産の規定を適用することが可能」です。10万円未満の取得価額であれば、事業の用に供した時の経費として処理できます。さらに中小企業などであれば、少額減価償却資産の特例により30万円未満の固定資産を損金算入することも可能です。

譲渡権つきリースを修繕費として計上できるか?

譲渡権つきリースは修繕費として計上することも可能です。その場合には(同リースは税務上、固定資産の売買があったものとして会計処理していきますが、LED照明のようにリース物件が固定資産の一部を構成する部品の交換であるものとして)、それが資本的支出か修繕費かという判断を行う必要があります。

譲渡権つきリースが資本的支出か修繕費かという判断は通常どおり、購入した際と同じフローで判断していくことになります。既存の器具を利用してLEDランプのみの交換であれば修繕費となります。既存の器具を交換するLED照明の場合には、照明設備が設置されている部屋ごと、区画ごと、スイッチ系統ごとなどの区分で60万円未満であれば修繕費として処理できることになります。

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著者紹介

公認会計士・税理士
税理士法人ファーストライン 代表社員
増田 卓也(ますだ たくや)

大手監査法人にて、金融機関・外資系金融機関、製造業などの会計監査に従事した後、税理士法人ファーストライン代表社員に就任。現在、金融機関の会計監査の経験を生かし、中小企業や個人事業者を対象とした税務顧問、資金繰り改善支援、経営支援に従事している。

税理士法人ファーストライン

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