公認会計士・税理士
税理士法人ファーストライン 代表社員
増田 卓也(ますだ たくや)
大手監査法人にて、金融機関・外資系金融機関、製造業などの会計監査に従事した後、税理士法人ファーストライン代表社員に就任。現在、金融機関の会計監査の経験を生かし、中小企業や個人事業者を対象とした税務顧問、資金繰り改善支援、経営支援に従事している。
償却資産税は固定資産税の一部です。設備投資の際に考えておきたい税金のひとつ。今回は償却資産税についてお伝えします。
[2017年 3月15日公開、2023年12月27日更新]
経営者の皆さんはどれくらい償却資産税を意識されているでしょうか? 償却資産税は法人税や所得税、消費税に比べるとあまり意識されていない経営者が多いような気がします。償却資産税という言葉自体を知らないという経営者もいるかもしれません。
そもそも償却資産税とは何でしょうか? 厳密には償却資産税という税金はありません。償却資産税は、市区町村が固定資産に対して課税する固定資産税の一部です。事業用の減価償却の対象となるような機械、器具・備品、建物の附属設備などといった償却資産に対して課される固定資産税を、土地や建物に課される固定資産税と区別して償却資産税と呼んだりします。
税率は1.4%です。1月1日に所有している事業用の償却資産の評価額に1.4%を掛けた額が課税される仕組みになっています。償却資産の評価額の出し方は決まっており、購入した価格に減価残存率という耐用年数によって決まる割合を掛けて算出されます。
例えば、1,000万円の照明器具を2023 年3月に購入した場合、2024年から償却資産税が課されます。耐用年数15年だと、最初の年の減価残存率は0.929、2年目以降は0,858となっています。2024年は評価額が1,000万円に0.929を掛けた929万円となり、1.4%の税率を掛けて税額13万円になります。2025年は929万に0.858を掛けて797万円の評価額となり、そこに税率1.4%を掛けて税額11万円という具合です。1.4%という税率自体は小さいようですが、この資産を持っている限り毎年課税されるため、意外と大きな金額になります。また、評価額は毎年小さくなりますが、買った金額の5%より評価が下がらないので、持っている限り永遠に課税されてしまいます。今の例で15年間使用し続けたとすると総額82万円程度の納税額になります。1,000万円で82万円なので購入した金額の8%程度の金額になってしまいます。意外と償却資産税の税額が大きいことがお分かりいただけたのではないでしょうか。
LED照明に関していえば、固定資産として15年で償却する場合には当然償却資産税がかかりますが、修繕費に該当する場合や独立した1単位の価格が10万円未満だとして即時に経費にしているものなどは対象外となります。設備投資を考える際には償却資産税についても気にしてみましょう。
最適な導入方法の考え方は企業によってさまざまです。これまでのまとめを行いながら、「資金繰り計画」を中心にとらえた内容をお届けします。
公認会計士・税理士
税理士法人ファーストライン 代表社員
増田 卓也(ますだ たくや)
大手監査法人にて、金融機関・外資系金融機関、製造業などの会計監査に従事した後、税理士法人ファーストライン代表社員に就任。現在、金融機関の会計監査の経験を生かし、中小企業や個人事業者を対象とした税務顧問、資金繰り改善支援、経営支援に従事している。
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