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ものづくりDXを推進! 製造業におけるグループウェア活用とは
withコロナやアフターコロナ、ものづくりDXに向けて、「グループウェア」は中堅・中小製造業が活用すべきITツールです。グループウェアを導入することで、チームメンバーが互いに離れたところにいても、いつでも企業内の情報をスムーズに共有することができます。ここでは、製造業のワークフローにおけるさまざまな悩みを解決できるグループウェアについて解説します。
目次
グループウェアとは
グループウェアは、組織内の情報共有やコミュニケーションの円滑化を目的としたツールの総称です。わかりやすく言うと、スケジュール管理やタスク管理、ファイル共有、業務連絡などを行うソフトウェアです。
例えば、コロナ禍でクローズアップされたのが”ハンコ問題“です。社内文書にいちいち押印が必要なため、ハンコを押すためだけに出社し、なかなかテレワークが進まないという会社が多く見受けられました。こうした問題を解決する一つの有効なツールがグループウェアなのです。
グループウェアの導入メリット
全社的な情報共有
各種マニュアルやドキュメントを誰でもいつでも見られるようになるので、情報共有が進み、連絡の抜け漏れを防げます。
部門間・グループ間の協働・コラボレーションの促進
情報やスケジュール、進捗の共有によって、部門やグループ間の協働が進みます。
情報漏えいリスクの低減
グループウェアでは、細やかなアクセス権限を設定できます。例えば、社内全体に共有できない情報は、共有したいメンバーにのみ公開できるようにすれば、機密情報の内部漏えいリスクを低減できます。
製造業で使えるグループウェアの4機能
グループウェアの代表的な機能として、ドキュメント管理、ワークフロー、スケジューラ(施設予約など)、コミュニケーション(メール・掲示板など)があります。一つずつ見ていきましょう。
1.ドキュメント管理機能
ドキュメント管理とは
ドキュメント(文書)管理機能とは、組織内にある社内規程、契約書、図面、伝票など、さまざまなドキュメントをまとめて管理・共有する機能です。社内ドキュメントは貴重な情報資産ですから、適切に管理・活用しなければなりません。
部門 | 主なドキュメント類 |
---|---|
営業 | 製品カタログ、提案資料、比較資料 |
設計 | 図面、部品構成表、要求仕様書、開発計画書、設計仕様書、設計変更通知書 |
購買 | 供給業者評価情報、購買仕様書 |
製造 | 製造工程一覧図、加工・作業手順書、技術マニュアル、製品マニュアル、製造現場改善書 |
品質 | 評価試験結果報告書、品質検査記録表、モニタリング記録表 |
保守 | サービス・保守マニュアル、製品クレーム情報 |
ドキュメント管理のメリット
効率的に文書を電子化&保管できる
ドキュメント管理システムを使うと、国税関係書類など数年間の保存が義務付けられている書類や、社内の書類を電子化してペーパーレス化を進めることができます。また、ワークフローとの連携でドキュメントの申請・承認フローも電子化することが可能です。
版管理で常に最新バージョンのファイルにアクセスできます。必要に応じて、旧版やファイルの更新履歴を確認することも可能です。
いつでもどこからでも社内文書にアクセスできる
手持ちのデバイスで、テレワーク先や外出先などからでも社内文書にアクセスすることができます。膨大な資料を持ち歩く必要がなくなり、業務効率化と働き方改革を促進できます。
多彩な検索機能で素早く目的の文書にたどり着ける
属性検索や全文検索などの検索機能を使うことで、必要な文書や図面を膨大な紙の束から探し出す手間がなくなり、素早く見つけることができます。
情報漏えいを防げる
フォルダー、ドキュメントに対し、ユーザーやグループ単位でアクセス権限が設定できます。ログオンユーザーごとに閲覧可能なフォルダーや文書のみが表示されるため、安全に情報を公開できます。また。セキュリティ設定されたフォルダー内の文書は、印刷や持ち出し禁止の制限をかけることも可能です。
【関連製品】文書管理システム
「複合機連携」による紙文書の電子化、高度な「検索機能」でのナレッジ発掘、「セキュリティ機能」による印刷や持ち出しの制御など、ナレッジの体系化と安全な文書共有を実現します。
2.ワークフロー機能
ワークフロー機能とは
ワークフロー機能とは、社内稟議や届出、報告書など、担当者や上司の承認印を紙に押して回していた業務を簡単に電子化することができる機能です。紙の申請書や伝票を「申請フォーム」として電子化し、申請・承認・却下をシステム上で行うことで、ワークフローのスピードアップを叶えます。モバイル申請・承認で決裁スピードも向上します。
分類 | 主な申請書類 |
---|---|
営業 | 見積申請、設計見積依頼申請、取引申請、得意先登録申請 |
設計 | 出図申請、開発計画申請、設計仕様変更申請 |
購買 | 購買発注申請、仕入先・外注先登録申請 |
稟議 | 企画書、購入稟議書、改善稟議書 |
経理 | 出張申請・精算、小口旅費精算、交際費申請・精算、設備購入申請、備品購入申請 |
人事 | 住所変更届、資格取得申請、研修参加申請 |
ワークフロー機能のメリット
申請・承認業務の「脱ハンコ」化ができる
申請・承認業務を電子化し、テレワークなどの柔軟な働き方を実現するとともに、申請書の紛失も防止できます。出張先などからも、スマートフォンによる迅速な決裁が行えます。
専用フォームで申請業務をスピードアップできる
必要項目を入力して送信するだけの「申請フォーム」を使って申請から承認・却下までシステム上で完結できるため、申請・承認処理業務が滞りません。承認状況をリアルタイムで把握し、処理が遅れている案件に催促メッセージを送ることも可能です。不在時の代理申請や代理承認などで業務の停滞を防ぎます。
内部統制を強化できる
申請・承認の流れや履歴が可視化されるため、ミスや不正を未然に防ぐことができます。
【関連製品】電子申請・承認システム
「帳票の電子化」だけでなく、申請フォームに承認ルートや運用ルールを埋め込んだ「簡単ルート管理」で「内部統制」に対応した業務プロセスの標準化を支援するワークフローシステムです。
3.スケジューラ機能
スケジューラ機能とは
スケジューラ機能とは、個人やグループの日々のスケジュール管理などが行える機能です。生産計画などをスケジューリングする「生産スケジューラ」とは異なり、グループウェア上でメンバーや設備のスケジュールを管理することに特化しています。
スケジューラ機能のメリット
グループメンバーで行動予定を共有できる
自分のスケジュール管理はもちろんのこと、ほかのメンバーのスケジュールも確認でき、各メンバーの予定や空き状況に合わせて、グループでの仕事が進められます。システム内の「行動予定表」を使えば、不在メンバーの行き先や帰社予定も一目瞭然。客先からの電話応対や至急の連絡もスムーズに行えます。
打ち合わせやイベントの日程調整がスムーズにできる
会議の参加予定者に複数の候補日時を提示し、参加可否を回答してもらうことで、各参加予定者の都合を確認したうえで、開催日時を決定できます。
施設や設備の予約管理でダブルブッキングを防止できる
会議室や社用車、プロジェクターやノートパソコンなどの備品の使用予約状況を確認して、ダブルブッキングのトラブルを防止できます。
仕事リストでタスク漏れを防止できる
タスクに期日や重要度を付けて管理できるとともに、ポータル画面に仕事の締切を一覧表示させることで、タスク漏れを防ぐことができます。
プロジェクトの進捗状況がすぐにわかる
複数人で進めるプロジェクトのタスク管理も、ガントチャート形式で直感的・視覚的に行うことができます。
【関連製品】スケジュール管理・施設予約
日々のスケジュール管理だけでなく、「会議開催調整」「行動予定」「施設予約」など、スケジュール登録と連動してさまざまな業務活動をサポートします。
4.コミュニケーション機能
コミュニケーション機能とは
社内メッセージや掲示板・回覧板、アンケートなどのセキュリティを考慮した情報伝達で、社内コミュニケーションの活性化を実現します。
コミュニケーション機能のメリット
社内限定メールで情報を安全に送信できる
社内だけで送受信できる「社内メッセージ」を使うことで、機密性の高い情報が社外に漏れることを防ぎます。メールアドレスを持たない従業員との連絡にも便利です。
「掲示板」で社内の必要メンバーに周知できる
広く周知させたい情報を発信する際は「掲示板」が利用できます。部署別や役職別などアクセス権限を設定することで、部外秘や関係者外秘の情報を安全に共有できます。
「回覧板」で確実に見てもらいたい情報を配信できる
「回覧板」は、定例会議の議事録配信など、定期的な回覧に便利なツールです。いつ誰が見たかを一目で把握でき、コメントの共有や、過去の回覧文書の再編集・再配信も可能です。
「アンケート」で社員の意見を幅広く聴取できる
「アンケート」の作成から公開、集計、報告まで手軽に実行でき、結果は、Excelでグラフィカルに出力して報告資料として利用できます。
業務フローを「見える化」してヌケ・モレ・無駄を軽減できる
掲示板とワークフローの活用で業務手順の「見える化」ができます。久しぶりの作業や初めての手続きもヌケ・モレなく行うことが可能です。
【関連製品】社内メッセージ・掲示板・アンケート
セキュリティを考慮した情報の伝達や情報を周知させるための機能をご提供。社内のコミュニケーションの活性化を実現します。
製造業におけるグループウェアの選び方
現場の課題にあったグループウェアを選ぶ
製造業では、図面、製造履歴の管理、検査記録などのドキュメント管理ができることが重要です。また、稟議書、改善提案書、ヒヤリハットの報告、設計変更の通知書なども製造業では多く、技術伝承としての作業標準書もドキュメントの一つです。こうした文書をもれなくきちんと管理できるグループウェアを選びましょう。セキュリティをしっかりチェックしてから導入すべきなのは言うまでもありません。また、スムーズに導入するためには、日本の商習慣にのっとったワークフローになっていることも大事なポイントです。
気軽に取り入れるならアプリ開発型の簡易グループウェア
まずは導入することが業務効率化の第一歩です。手軽に始めるなら、サイボウズのビジネスアプリ作成クラウドサービス「kintone(キントーン)」など、ノンプログラミングかつ直感的な操作で利用できる便利なアプリ型グループウェアから始めてみるとよいでしょう。
【関連製品】サイボウズのビジネスアプリ制作クラウドサービス
紙、Excelでバラバラに管理している製造現場の情報も、クラウドでカンタン一元管理
製造業のグループウェア活用事例
株式会社熊平製作所(ドキュメント管理導入事例)
事業内容
金庫設備、入退室管理システム、セキュリティゲート、映像監視システムなどの開発・製造を行うトータルセキュリティ企業
トータルセキュリティシステムを開発・製造している同社は、受領する納品書や請求書が毎年10万枚にも上り、保管スペースの無駄を感じていた。電子帳簿保存法の要件緩和を機に、e-文書法対応の文書管理システムで国税関係書類をペーパーレス化。保管スペースが不要になっただけでなく、毎年1回1年分を廃棄する非効率な作業からも解放された。
まとめ
営業・設計・製造・保守など複数の部署・部門間の密な連携が求められる製造業では、リアルなやり取りだけでは十分なコミュニケーションが図れなくなってきています。まずは課題に合わせて、できるところから使いやすいグループウェアを導入してみましょう。大塚商会では、日本の商習慣にのっとった最適なグループウェアの導入をサポートします。お気軽にご相談ください。
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