ITとビジネスの専門家によるコラム。経営、業種・業界、さまざまな切り口で、現場に生きる情報をお届けします。
ERPのメリット
ERPは業務や経営に対してどのようなメリットをもたらすのでしょうか。その具体例をご紹介します。
データベース統合がERPの中核
企業活動におけるERPのメリットを理解するうえで最大のポイントは、財務・会計管理、生産管理、購買・販売管理、人事・給与管理など、個別に運用している業務が一つの統合されたデータベースを中核として連動する点です。それにより、これまで生じていた二重、三重の入力の手間が解消されることは、最も分かりやすいメリットといえます。
部門間の情報共有や連携に効果を発揮
もう一つの大きなメリットが、社内の各部門で常に同一のデータが参照できるようになる点です。従来の分断されたシステムの場合、同じデータを共有できるのは、基本的に当該システムにアクセスできるメンバーに限られていました。それに対しERPは、ある業務を遂行すると統合されたデータベースの情報が更新され、リアルタイムで関連するシステムに反映されていきます。それによりERPは、部門間の情報共有や連携の強化という課題の解決にも大きな効果を発揮します。
営業部門への“働き方改革”対策
データベース統合の効果はそれだけではありません。現在、日本企業は政府主導の“働き方改革”によって労働時間の抑制が強く求められています。こうした中、ぜひ注目したいのが営業担当の業務効率化です。フロントオフィス業務を代表する営業部門は、得意先対応もあり、残業が必要になることが少なくない部門です。そして、営業部門の残業は購買管理、在庫管理などのバックオフィス業務の残業へとつながっていきます。それがホワイトカラーの“働き方改革”において、営業部門の業務見直しが不可欠な理由です。
では、営業担当の業務はどうすれば効率化できるのでしょう。その答えは、ERPの統合されたデータベース活用にあります。その一例が、見積り作成の効率化です。見積りは安ければ原価割れのリスクが生じ、高ければ競争力を失うため、そのつど、類似案件の原価を確認しながら作成することが一般的です。データ連携が行われず、情報共有が図られていない場合、生産管理やプロジェクト管理の責任者に、毎回原価を確認する必要が生じます。それに対しERPは、必要な情報に即座にアクセスできるだけでなく、近い将来にはAI(人工知能)やRPA(ロボットによる業務支援)と連携することで、見積り作成などの業務の自動化を図ることが可能になります。
まとめ
- システム連携で重複入力の手間が解消される
- 部門間の情報共有や連携の強化によって業務効率化につながる
- リアルタイムの経営状況を全社で把握できる
- 部門を越えたデータの活用が進む