消費税改正と軽減税率対応

2019年10月に消費税が10%に引き上げられました。本ページでは、軽減税率やそれに伴う適格請求書等保存方式(インボイス方式)への対応などについて解説します。

  • * 本ページは2021年5月時点の情報を掲載しています。

消費税改正の概要

2012年8月に「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」により、消費税法の一部が改正され、消費税率の引き上げが決定。2019年10月に10%へ引き上げられ、それと同時に軽減税率が導入されました。2023年10月には適格請求書等保存方式(インボイス方式)の施行も予定されています。

軽減税率とは

標準的な税率とは別に、低い税率を設けることです。生活必需品である食料品や新聞などを低い税率(軽減税率)にすることで、低所得者の負担を軽減します。飲食料品や新聞を取り扱う事業者だけでなく、一般の事業者でも、例えば、事業上必要な贈答品や飲食料品を購入した際は、それを標準税率と軽減税率に区分して会計処理する必要があります。軽減税率が導入されることにより、8%変更時よりも業務やシステムに与える影響は大きくなっています。

インボイス方式

軽減税率が始まったことで、商品の仕入れや販売といった取引の中で、標準税率と軽減税率の二つの税率が混在するようになりました。従って、適切に消費税率・税額を把握して正しい納税ができるようにするための工夫として、「適格請求書等保存方式(インボイス方式)」が導入されます。準備段階として、2019年10月の増税のタイミングで「区分記載請求書等保存方式」が導入され、その4年後の2023年10月から「適格請求書等保存方式」へと切り替わります。

「区分記載請求書等保存方式」の導入

軽減税率の導入と同時に、「(1)軽減税率の対象品目である旨」と「(2)税率ごとに合計した対価の額」の記載を義務付ける区分記載請求書等保存方式が導入されました。受け取った請求書等に記載がない場合は、発行元に依頼するか、必要に応じて自分で記載しなければなりません。

「適格請求書等保存方式(インボイス方式)」の導入

適格請求書保存方式の導入に伴い、「区分記載請求書」の記載項目に加えて、「(3)税率ごとの消費税額」「(4)登録番号」の記載が必要になります。適格請求書を交付できるのは、税務署長に対して「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、登録を受けた適格請求書発行事業者に限られ、免税事業者との取引は仕入税額控除の適用ができなくなります(制度の導入から6年間は一部について税額控除が認められます)。このため、適格請求書発行事業者との取引額と免税事業者との取引額を区分して管理しておく必要があります。また、インボイスに記載すべき消費税額等を算出するにあたっての端数処理は「1インボイスにつき税率ごとに1回」となるため、独自のシステムなどを構築されている場合は、個別に対応が必要となってきます。

経過措置

これまでも消費税増税時には、経過措置が採用されていました。消費税の税率は、全ての取引について施行日に一律に引き上げられるのではなく、取引の実態、契約の実態などを踏まえて一定の取引については、施行日以後についても従前の税率を適用する経過措置が設けられています。経過措置については、消費税率引き上げ予定日である「施行日」と、その半年前の「指定日」が重要なキーとなります。原則として指定日前に契約を締結したものが経過措置の対象となり、10%への税率引き上げに伴う経過措置の指定日は、2019年4月1日とされています。取引形態に応じてさまざまな経過措置があり、自社の業務に合わせた確認が必要です。

スケジュール

システム対応のチェックポイント

消費税増税に伴い、特にチェックするべきポイントは以下の4点です。

  • 税率二桁対応

    消費税が初めて二桁になります。

  • 経過措置対応

    税率が10%になった後も、一定の取引については増税前の税率を適用します。

  • 複数税率対応

    増税前の適用税率8%、軽減税率8%、増税後の10%が混在します。

  • 請求書対応

    軽減税率対象品目とそれ以外を区別できるように記載します。

軽減税率も安心のシステム

フェア・セミナー

開催予定のフェア・セミナー情報を一覧でご紹介します。

フェア・セミナー