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データ分析をすればデータ活用ができるという誤解
企業運営、また業務遂行のためにデータの活用は欠かせないものです。また、DXという言葉が浸透していく中、データ分析やデータ活用に関する情報が以前にもまして増えています。データを全く活用しない、という企業はほとんどないと思われますが、データ活用を十分に実施できているという企業はさほど多くないでしょう。データ活用を妨げる要因はいくつかあります。ここでは、当社での経験を踏まえデータ活用における課題を紹介します。
目次
データがあればデータ分析ができるという誤解
ITツールが普及し、さまざまな業務がIT化されている昨今、データは時間と共に増えていきます。それぞれのITツールの中で蓄積されたデータを、そのツールの中で分析することは容易です。近年の多くのITツールでは分析機能が備わっているものも多くあります。
しかし、各ITツールに独立して蓄積されているデータを組み合わせて、横断的に分析するのは手間がかかり、またデータベースなどに関する多少の知識が必要となります。データはデジタルな世界のモノであるため、一つ一つのデータの結びつきはきちんと設計・設定する必要があります。
例えば、「Aの商品が売れた」というデータと 「晴れていた」 という二つのデータはそれぞれ独立してしまっているので、別の項目で結びつける必要があります。
- 2024年12月1日:Aの商品が売れた
- 2024年12月1日:晴れていた
という形で日付で結びつけることで、
- 2024年12月1日:Aの商品が売れた:晴れていた
と、データ同士の結びつきが生まれます。
こうすることで、【売上データ】と【天候データ】を組み合わせて分析し、「Aの商品は晴れの日によく売れる」や「Bの商品は曇りの日にAの商品よりよく売れる」といった知見を得ることができます。
注意しなければいけないのは、「2024年12月1日:Aの商品が売れた」というデータと「2024/12/01:晴れていた」というデータであった場合、
- 2024年12月1日
- 2024/12/01
は、同じ意味ではありますが、データの形式が異なるため、結びつけることができません。
もし同じ意味を持つデータがこのように異なる形式で保管されている場合は、どちらかの表記に統一する必要があります。このように、データはあっても分析できる形にするために多大な工数が発生するケースは多々あります。
データ分析ができればデータ活用ができるという誤解
データ分析を実施し、なにかしらの知見を得ることができたとしても、そのデータを活用できないケースも多くあります。もしかしたら、多くの分析担当者が経験したことがあるかもしれません。
分析結果を見て一言「ふーん」
分析担当者の目線では一番悲しい瞬間ではないでしょうか。
前述のとおり、データ分析はデータの加工から始まり多数の工数が掛かります。その結果が「ふーん」で終わってしまうと、そこに費やした時間は無駄になってしまいます。多くの場合、分析担当者が自発的に実施したデータ分析ではなく、依頼された分析作業でこういった状況が見られます。
分析結果が活用されない
業務内容にもよりますが、分析結果が活用されないケースがあります。例えば、従業員のやる気や調子の波が結果に反映されやすい営業活動などで発生しやすい傾向がみられるかもしれません。特に新規顧客開拓をメインとする営業活動の現場では、強いプレッシャーをかけることで実績が上がりやすく、さらにこの手法が容易に実施できるため、データ活用がされにくい領域であると考えられます。
近年、人手不足が進み大量雇用が難しくなり、またセールステックという考え方も浸透してきているため、データ活用をもって実績向上を目指す企業は増えていますが、データを活用して成功した人が上層部に居ない場合は苦労が発生します。
データを活用するという文化と、文化形成における課題
さて、前述した通りデータ分析ができてもデータ活用ができるわけではありませんが、その根本的な理由としては「データを活用する」という文化が薄いからです。日頃からデータに触れていないため、データを理解するための知見やノウハウが不足していることで、分析結果のデータを活用できない、または活用の方法が分からないという状態が生まれてしまいます。
ここでは、よくある課題についてご紹介します。
データの閲覧、分析が気軽に行えない
データ活用をベースとする文化生成において、気になるデータを知りたい時に閲覧できる、また分析結果を気軽に聞ける環境が非常に重要です。「データを活用しよう」と掲げていても、”データの閲覧ができない””分析結果が共有されない”という状況はないでしょうか。もちろん、セキュリティの問題もあるため、全てのデータが全員に公開することを推進する意図ではありません。また給与データや人事査定のデータなど、公開が望ましくないデータもあります。例えば当社では、分析用の仮想環境が用意されており、その環境でExcelやAccess、BIツール、AIなどで分析作業をすることが可能です。分析データや結果はその仮想環境から持ち出すことができないため、情報流出のリスクを抑えてつつデータ分析が行える仕組みを採用しています。
分析担当の人材がいない・退職してしまう
データアナリストやデータサイエンティストとまでいわずとも、気軽に「どうなってる?」「どんな傾向?」と相談できる担当者がいないケースが多くあります。また、そういった担当者がいたとしても業務に忙殺されていて気軽に聞けないという状況もあります。分析担当者としてデータアナリストを採用したとしても、「イメージと違う」というギャップが起き、退職へとつながるケースもあります。各チームや部署にデータ分析を兼任する担当者がいると、「データの確認」「業務への反映」といった対応がしやすく、データ活用が根付きやすくなり、データ活用が根付いていくことで分析担当者の定着にもつながります。
分析ツールがなく、データ分析にかかる工数が掛かりすぎてしまう
データ分析の専任チームがない場合は、データ分析は効率的に実施すべきです。AccessやExcelを駆使してさまざまな分析を行うことは可能ですが、工数の面から何かしらの分析ツールを使用することが望ましいです。筆者自身の経験でも、マーケティングデータの分析をAccessとExcelで、データの加工、対象データの抽出など行っていましたが非常に手間と時間がかかりました。データ量が数万件ともなると、最新データに更新を維持するだけでも一苦労という状態で「いまどういう状況? データを見せて」も相談されたとしても、即座に希望のデータに整形して資料にするにも時間がかかっていました。
データ活用の文化がAI活用へ
データ分析が根付いている組織形成により、高度なデータ活用やAI活用へのステップアップが容易です。そのためには気軽に、また日常的にデータを確認できる環境が必要です。データはただの数値であるケースがほとんどなので、その数値の意味を言葉に変換する作業も必要です。
AI活用を見据えたオススメのデータ分析ツール「dotData Insight Lite」
データ活用における大きな課題である、「分析に手間がかかる」「人材がいない、人手が足りない」という点を解決できるツールが「dotData insight Lite」です。「dotData Insight Lite」を活用することで、データ活用の習慣化が見込めます。
データ分析を自動で実施し、分析結果を提案
手間のかかるデータ分析を自動で実施し、分析結果を提案します。もちろん、「当たり前」と感じる分析結果も多く提示されますが、その中から予想もしなかった知見が得られる可能性があります。判断の裏付けデータとしての活用や、データ分析から新しい知見を得て、取り組みの方針を修正するといったデータ活用が実現します。
分析結果を、チャットボットが解説
「dotData Insight Lite」は生成AIを搭載しており、分析結果を日本語で解説します。従来、分析結果は人の手によって意味のあるものへ変換されますが、「dotData Insight Lite」であれば、チャットボットによる会話形式で分析結果を確認できます。ここに、「いつでも聞ける」分析担当が誕生するのです。
- *「dotData Insight Lite」は年商300億以下の中堅・中小企業向けのサービスです。
データ活用の推進は、大塚商会へご相談を
データ分析、データ活用を促進したい際、さまざまな検討事項が発生します。ご紹介した「dotData Inghsigt Lite」に代表される「分析ツールの選定」、データを集約するための「データ基盤」、さらに集約したデータが外部へ流出しないための「セキュリティ基盤」などが挙げられます。大塚商会では、データ活用だけでなく、包括的なサポートもお任せいただけますので、ぜひお気軽にご相談ください。