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本格的なAI活用はすぐそこに
AI時代のパソコンとは
Windows 10のサポート終了を機に、クライアント端末(パソコン)を入れ替える企業が増えています。それでは、次のPCはどのような基準で端末を選ぶべきなのでしょうか。このページでは、昨今のPC事情や時代背景を基に、最新PCを選ぶ際のポイントや今後主流になっていくPCについてご紹介します。
目次
これからはAI PCが主流になっていく
「AI PC」という言葉をご存じでしょうか? 「AI PC」とはAI活用に対応したPCのことで、詳しくは以下のように定義されています。
- CPUとGPUに加えて、NPUを搭載していること
- Copilot in Windowsに対応していること
- Copilotキーを搭載していること
1.CPUとGPUに加えて、NPUを搭載していること
少しPCに詳しい方であれば、CPUやGPUという言葉はご存じだとは思いますが、AIの発展に伴い今後は「NPU」も重要な機種選定のポイントになっていきます。
解説
NPU、CPU、GPUとは
「NPU」とは「Neural network Processing Unit」の略。AIの処理に特化したプロセッサーのことです。従来から搭載されているCPUやGPUとは違い、NPUはAIが処理する「予測」や「分析」といった処理を低電力で効率よく行えるため、AI活用が普及していくこれからの時代において必要不可欠なプロセッサーとなります。
「CPU」とは「Central Processing Unit」の略。日本語では中央演算処理装置と訳します。PC全体の処理を担うチップのことで、計算処理や制御を行う際に用いられます。
「GPU」とは「Graphics Processing Unit」の略。画像や映像などの処理に特化したチップを指します。昨今では機械学習にも用いられ、多くのPCに普及しています。
NPU搭載チップは主に以下のような商品があります。これらのチップが搭載されているPCは、従来からあるPCよりもよりAIに特化したPCだといえるでしょう。(2024年12月時点)
- インテル社
- Intel Core Ultraシリーズ
- AMD社
- AMD Ryzen AIシリーズ
- クアルコム社
- Snapdragon Xシリーズ
2.Copilot in Windowsに対応していること
「Copilot」とは、Microsoft社が提供するAIアシスタント機能で、昨今普及してきている生成AIの一種です。生成AIは「ChatGPT」をはじめとしたさまざまなサービスがリリースされていますが、CopilotはWordやExcelといったMicrosoft製品とのシナジーが高いため、ビジネスシーンにおける生産性向上に重きが置かれているのが特長です。
なお、Copilotにはいくつか種類があり、Windows 11であれば無料で使える「Copilot in Windows」、有料プランの「Copilot Pro」や「Microsoft 365 Copilot」などがあります。また、前述のMicrosoft Office製品との連携は有料プランへの加入が必要です。
3.Copilotキーを搭載していること
「Copilotキー」とは、主に2024年以降のキーボードに搭載されたキーで、それを押すことでCopilotを起動することができます。なんとWindows PCのキーボードとしてはおよそ30年ぶりの大きな変更となるそうです。
キーの位置は明確に決められているわけではないですが、Windowsキーと対極となる右下の位置に配置される場合が多いようです。
今後の普及予測について
とある市場調査によると、今後AI PCは急速に普及が進み、2028年度には法人向け年間出荷台数の3分の2に相当する525万台規模まで需要が拡大するという予測もあります。PC入替の際には、こういった市場背景も考慮しながら機種選定をしていくことが大切です。
「Copilot+ PC」とは
Copilot+ PC(コパイロット プラス ピーシー)とは、Microsoftが提唱する次世代のWindows PCの新カテゴリーで、高度なAI機能をより高いレベルで、ローカルで処理する能力を持つWindows PCです。「Copilot+ PC」も「AI PC」も、どちらもAIを活用した次世代PCのことを指しますが、「Copilot+ PC」は「AI PC」の中でもMicrosoftが定義した特定の条件を満たしたPCを指し、「AI PC」は前述したより広い範囲で定義付けされたPC全般を指すという違いがあります。なお、Copilot+ PCの条件は以下の通りです。
Copilot+ PCの条件
- メモリ
- 16GB以上
- ストレージ
- SSD 256GB以上
- NPU処理性能
- 40TOPS以上
解説
TOPSとは
「TOPS(トップス)」とは「Trillion Operations Per Second」の略。プロセッサーの処理速度を表す単位のことです。
1TOPSは「1秒間に1兆回の演算処理」ができること。Copilot+ PCの条件である40TOPSは「1秒間に40兆回の演算処理」ができるNPUということです。これからは、AI処理の性能も比較基準の一つとなりますので、用語として覚えておきましょう。
Copilot+ PCができることとして、主に以下のような機能があります。
1.Cocreator(コクリエイター)
Windowsではおなじみの「ペイント」アプリに搭載された生成AI機能で、テキストや手書きのペンで描画した情報を元にAIが画像を生成します。
2.Live Captions(ライブキャプション)
日本語を含む40種類以上の言語を英語にリアルタイムで翻訳し、字幕を表示してくれる機能です。現状は出力が英語のみですが、日本語への翻訳も将来的に予定されています。
3.Windows Studio Effects(ウインドウズ スタジオ エフェクト)
Web会議アプリで使用するカメラ映像にさまざまな効果を追加できる機能です。既によく使われている背景ぼかしやフィルター機能はもちろんのこと、カメラ目線を維持したり、自分が画面の中央に来るようにズームしたりする機能などもあるため、既存のWeb会議アプリに搭載されているフィルター機能よりも高機能になっています。
今後は「Copilot+ PCの基準を満たすかどうか」も機種選定における一つの重要な指標となるでしょう。最先端のAI機能をいち早く利用したい場合はぜひご検討ください。
AI PC & Copilot+ PC ポケットガイド
「AI PC」や「Copilot+ PC」について、分かりやすくまとめた資料となっています。これからPCを入れ替えるにあたり、知っておくべきキーワードや、これまでのPCとの違い、最新PCだからこそできることなどについてご紹介しています。このページよりさらに詳しい内容を知りたい方にオススメです。
ダウンロード資料:PDF・20ページ
利用用途と時代に合ったスペックの選定を
PCの入れ替えをする際、どのようなことを基準に機種を選定するでしょうか。価格はもちろんのこと、ノートPCであればサイズや重量、カメラの有無、利用できるUSBポートや映像出力端子などを気にする方も多いでしょう。デスクトップであれば、設置場所に応じた筐体の大きさを考慮する必要があるはずです。また、Mac OSが前提であれば話は別ですが、Windowsの場合は機種のメーカーなども選ぶ必要が出てきます。
しかし、何よりも頭を悩ませるのはおそらくPC自体のスペックではないでしょうか。スペックは低すぎても利用する際に支障が出ますし、過剰な高性能も購入時の価格が上がる要因となります。もちろん、ユーザーごとにさまざまな選定基準がありますが、ここではこれから特に重要になってくる二つの基準をご紹介します。
利用するアプリケーションの変化に対応できるスペックにする
時代の移り変わりと共に、PCの利用用途も変化してきました。一般的なオフィス事務を仕事にされている方でも、Word、Excel、Powerpointなどのアプリケーションとインターネットやメールが使えればとりあえず良いという時代から、コロナ禍を経てオンラインでのミーティングやリモートワークが一般的になったことで、ZoomやTeamsといったアプリケーションも並行して使うようになった方も多いのではないでしょうか。
このように、複数アプリケーションを同時に使用する場合は、相応のスペックがないと快適に利用できなくなるでしょう。そういった将来的な利用用途の変化にも対応できるように、多少余裕を持ったスペックで機種選びをするのがオススメです。
AI活用ができるスペックにする
ここ数年でAIが急速に普及し、ChatGPTをはじめとした一般ユーザーでも使いやすいAIが数多く登場してきました。この流れは間違いなくこれからも続いていき、これからは大規模言語モデル(LLM)をクラウドサービスとして利用するだけではなく、PC本体でAI処理を行うローカル環境でのAI利用も主流になっていくと考えられます。
これからの時代、間違いなくますますAI活用の幅は広がっていくため、そういったAIの利用も視野に入れ、自社のAI活用度に応じた最適なスペックを選択する必要があります。
機種選定に困ったら大塚商会におまかせ
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- 主要メーカー
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- タイプ
- デスクトップPC、ノートPC、ハイブリッドPC、ワークステーション、CAD・DTP用、など
次の記事では、大塚商会の保守サービスやサポート体制など詳しく解説しています。
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