企業のIT環境を支えるITインフラの選択肢

2006年以降、クラウドという言葉が急速に普及して以降、現在ではさまざまなクラウドサービスが提供され、クラウドを活用することが一般的となりました。本記事では、ITインフラを整えるための各種の選択肢をご紹介します。

企業を支えるITインフラの内訳

一口にITインフラといっても、その中身はさまざまな機器やサービスによって構築されています。以前はIT環境の構築といえば、オンプレミスでの構築が一般的でしたが、現在では事業内容や働き方に合わせて、どのようなITインフラ環境を構築するのか選択肢が増えています。

インターネット回線

現在、インターネット回線を使用していない企業はほとんどありません。インターネットを活用するためには、インターネット接続サービスを提供する事業者との「プロバイダー契約」、事務所とプロバイダー事業者を結ぶ回線事業者との「回線契約」、回線と事務所を橋渡しする「ルーター」、ルーターと各PCを結ぶ「LANケーブル」が必要です。

近年では、プロバイダー契約と回線の契約がパッケージングされているサービスも多く、インターネットの申し込みはさほど難しいものではありません。

業務遂行上、なくてはならないインターネットですが、滞りなく業務を行うためには通信速度の確保が必要になります。物理的な問題もあり、一つの回線(物理的な線)を多くの人で使用すると、もちろん通信速度は落ちてしまいます。このような問題は「インターネット回線の輻輳(ふくそう)」といわれ、回避するためにはプロバイダー契約や回線契約の見直しが必要となります。

パソコンとインターネットを接続するLANケーブルやハブ

パソコンをインターネットに接続するためには、LANケーブルやそれらをつなぐハブやスイッチ、インターネットの出入口となるルーターなどが必要になります。

デスクトップパソコンか、ノートパソコンか

近年では技術の向上もありノートPCであっても高性能となっており、消費電力の観点から業務用PCはノートPCで揃える企業も多くなっています。また、タブレットPCと呼ばれる端末も登場しており、働き方や業務内容によって最適なデバイスを選ぶことができます。

メリット比較

デスクトップパソコン
  • カスタマイズが比較的容易
  • 高画像出力が可能
ノートパソコン
  • 比較的省電力
  • 充電式なので、停電にも強い
  • 持ち運び可能
タブレットパソコン
  • ノートパソコンより軽量で持ち運びしやすい
  • タッチでも操作が可能
  • 現場での使用を想定された耐衝撃性、防水性に優れたモデルもある

LANケーブルかWi-Fiか

技術革新により現在ではWi-Fiの性能も良くなっています。比較的高性能なWi-Fiを導入し、オフィス内のLANケーブルを無くしてしまう企業も増えています。もちろん、両方とも使用することも可能なため、電波障害によりインターネットへの通信速度が低下すると困る業務をしているパソコンはLANケーブルでつなぎ、その他のパソコンはWi-Fiでつなぐ、ということも可能です。

データを集約、またシステムを運用するサーバー

サーバーについても、いくつかの選択肢があります。近年ではクラウドサーバーのサービスも充実しており、事業に合わせた選択が可能です。サーバーと似たものに、ストレージ(またはストレージサーバー)と呼ばれるものがあります。ここでは詳しい説明は避けますが、ストレージはデータを保管するための製品で、サーバーはアプリケーションや業務システムを運用するための製品です。サーバーをストレージとして活用することも可能ですが、各種データを保管するだけであれば、ストレージの方が費用も安く済むため、用途にあった導入をお勧めします。

サーバーの選定基準について

サーバーはネットワーク上において、さまざまな業務システムやアプリケーションを供給するシステムであることから、「止まらないこと」が大前提となります。しかしながら、もちろん機械であるがゆえ、いつかはトラブルが発生します。サーバーを導入する際に重要なのはトラブルへのリスクヘッジと導入費用のバランスです。

RAID(レイド)のレベルについて

RAID(レイド)とは複数のHDDを一つのドライブのように認識・表示させる技術のことです。RAID 0~RAID 6と表記されます。一言で行ってしまえば、何本までのHDD(ハードディスク)のトラブルに耐えうるか、という指標です。

RAID 0(最低HDD数は二つ)
そもそもHDDを一つしか使用しないため、故障が起きたらその時点で動作しなくなる
RAID 1(最低HDD数は二つ)
HDDが一つ故障しても違和感なく動作し続ける
RAID 6(最低HDD数は四つ)
二つのHDDが同時に壊れても違和感なく動作し続ける

ハードディスク規格について

現在、ハードディスク規格は2種類あります。SATA(SerialATAの略称。サタと読まれることが多い)とSAS(Serial Attached SCSIの略称。サスと読まれることが多い)の2種類です。一般論にはなりますが、簡単に両者の違いは、「価格」と「性能」です。

SAS
SATAより高速で信頼性が高い。半面高額
SATA
SASより安価。SASに比べると処理速度が遅い

どちらを選ぶべきか迷った際は、メーカーやベンダー担当者へご相談いただくのが安心です。

HDDかSSDか

HDDに変わるものとして、近年ではSSD(Solid State Drive)も普及しています。データを保管するという用途に違いはありません。

HDD
SSDよりも処理速度が遅い場合がある。容量に対する価格はSSDより安価
SSD
HDDよりも処理速が早い場合があり、耐衝撃性に優れている。容量に対する価格はHDDより高額

バックアップの運用について

機器の故障や災害、サイバー攻撃などに備え、バックアップを取っておくことは非常に重要です。特に企業運営においてはBCP対策(Business Continuity Planning:事業継続計画)を実施することは非常に重要であり、その一環でサーバーやパソコンのバックアップをとり、トラブルがあってもすぐに復旧できる体制作りの推進がされています。

外部HDDへバックアップデータを保管

RDXなどのデータカートリッジへバックアップデータを保管する運用です。バックアップデータを金庫などに保管することで、サーバーやパソコンにトラブルがあっても、最後にバックアップを取得した時点へのデータの復旧が可能です。

バックアップ用サーバーへバックアップデータを保管

バックアップデータの取得をスケジューリングできるメリットがあるほか、バックアップ用サーバーを他県のデータセンターへ設置するなどして、災害などへのリスクに備えることが可能です。

クラウドへ保管

バックアップデータをAWSやAzureなどのクラウドプラットフォームへ保管することも可能です。データ量によって価格が変動しますが、データの安全性という面では非常にメリットがあります。

サーバーを複数台連携して活用している企業向けのHCI(Hyper-Converged Infrastructure)

サーバーを複数台連携して活用している企業にはHCI製品の導入という選択肢もあります。HICは一つの枠組みの中で、コンピューティングリソース、ストレージ、ネットワーキングを統合し管理するための仕組みを提供します。

セキュリティ

IT環境の構築において、セキュリティ対策を忘れてはなりません。機密情報の漏えいやサイバー攻撃による業務停止は大きな損失につながります。

クライアントパソコンのセキュリティ

エンドポイントセキュリティとも呼ばれます。使用しているパソコンにコンピューターウイルスなどが侵入した際に、その悪いプログラムを削除するためのセキュリティソフトの導入が望ましいです。

セキュリティスイッチ

クライアントパソコンがコンピューターウイルスに感染した際に、そのコンピュータウイルスがネットワークを介して拡散しないようにするためのセキュリティ機器です。複数台のパソコンを使用している場合には導入が望ましいです。

セキュリティゲートウェイ

コンピューターウイルスの侵入経路の多くはインターネットからです。インターネットと社内ネットワークの出入り口であるゲートウェイにセキュリティ機器を導入することが望ましいです。

Wi-Fiなどを通じた不正アクセス防止

Wi-Fiを活用している場合、事務所の外から不正にアクセスされてしまうリスクもあります。また、従業員が悪意なくコンピューターウイルスに汚染された機器を社内ネットワークにつないでしまうリスクもあります。こういったリスクを防止するために、許可された機器以外のアクセスを制御する不正アクセス防止機器の導入が望ましいです。

ログ管理

セキュリティインシデントが発生した際に、その原因を突き止め対策を行うことが重要です。そのためにはログ管理システムなどの導入が望ましいです。

セキュリティ対策はどこまで実施しても100%安全となるわけではありません。しかし、何も対策をしないと大きなリスクを負うこととなってしまいます。適切に対応していくことが重要です。

事業に合わせたITインフラの構築が重要

ITインフラの各領域における選択肢について簡単にまとめましたが、ITインフラの構築は事業に合わせて、また働き方に合わせて構築することが重要です。ITインフラはさまざまな機器やサービスによって成り立つため、その運用・保守をする手間は増える傾向にあります。

大塚商会では、各種サービスや機器に加え、それらの運用・保守サポートサービスをご提供します。ITインフラの構築、または運用にお困りの際はお声掛けください。

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