ITとビジネスの専門家によるコラム。経営、業種・業界、さまざまな切り口で、現場に生きる情報をお届けします。
第1回 Point1 目標が明確-どんな職種でも目標設定は可能-
皆様はじめまして。株式会社あしたのチーム代表取締役社長の高橋恭介です。
私は中小・ベンチャー企業に対するトータル人事サービスを提供しており、これまで700社、のべ10万人を超える人々の働き方改革を行ってまいりました。サービス提供を通し、経営者の皆様がお持ちの社員に対する悩み、そして学生や社会人の方々の人生観・職業観に日々触れております。
そのような中で、非常に問題だなと感じることがあります。それは「頑張らない社員をつくっている会社が多い」ことと、「頑張りたいけど頑張れないビジネスパーソンが多い」ということです。私は、人事評価制度の運用こそがこの問題を解決する方法であり、「毎日ワクワク働いてもらえる環境」をつくる方法であると確信しています。
本コラムでは、人事サービス、とりわけ人事評価制度サービスを通じて社員を大切にする会社になるための「三つのポイント」をお伝えしてまいります。
社員を大切にする会社の条件
皆様の会社は、社員を大切にしている会社でしょうか。それとも、大切にしていない会社でしょうか。
社員を大切にする会社の条件は三つあります。
一つめは、「目標が明確である」ということです。
「何をしたらよいかが分からない」
「会社が何を求めているのかが分からない」
「自分は何を頑張れば褒められるのか、評価されるのかが分からない」
社員がそんなふうに感じているとしたら、それは会社がきちんと目標を明示できていないからです。目標を明示できていない会社は、社員を大切にしていないということと同義です。社員を思っているのであれば、ビジネスにつながる一人ひとりの目標を明確にしなければなりません。何を頑張れば褒められるのか、何を頑張れば評価されるのか、その基準を社員にきちんと明示することは会社経営の基本中の基本です。
そう言われて、ドキッとする経営者がいるのではないでしょうか。社員でも、「そういえば、自分の目標って、曖昧といえば曖昧だな」と思い当たる人もいると思います。
明確な目標は、営業部門だけでなく、どんな業種、どんな職種の人に対しても設定できます。数値による成果目標(MBO:Management by Objectives)ではない、コンピテンシーに基づくプロセスの行動目標であれば、全社員一人ひとりに掲げることが可能です。コンピテンシーとは、「仕事ができる人の行動特性」のことで、「計画性」や「思いやり」といったものがあります。「本当にどんな職種でも?」と疑問に思うかもしれませんが 、それぞれの社員にフィット感のある目標、それぞれの社員が100%納得して取り組める目標を掲げることができるのです。
例えば、経理で、伝票の入力はものすごく速いが、正確さがちょっと足りず、どうしてもミスをしてしまう社員がいるとします。処理のスピードが速い人は、得てして細かいところでミスをしてしまいがちです。そこで、この社員には「多少スピードを下げてもよいので、提出前に見直しをする仕組みを作りましょう。例えば、部長に提出する前に、横で違う科目の仕分け・入力をしている人と相互チェックをするようにしましょう。あるいは、提出前に1回30分のショートミーティングを開き、ミスを減らすようにしましょう」と提案し、「徹底性」というコンピテンシーに基づいて具体的な行動目標を定めることができます。ルーティンワークの社員を含め、社員全員に納得感のある目標を設定することが可能です。
最終的な評価は、行動目標と成果目標とで評価のウェイトを決めておき、これに基づいて実施します。評価のウェイトは、営業部門なら行動目標が30%で成果目標が70%、管理部門なら行動目標が80%で成果目標が20%というふうに、職位や職種で設定します。
目標が明確になれば、社員のモチベーションが驚くほど上がります。経営者や人事担当の責任者には、非営業部門にもっと着目をして目標設定をしてほしいというのが筆者の願いです。
次回は、今回に引き続き「Point1目標が明確」について、十分な材料提供の重要性をお伝えしてまいります。
お楽しみに。
次回は10月17日(月)更新予定です。
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