第41回 「品質を守る開発手法II:DevTeOps」

第40回のコラムで「DevTeOps」について書いたところ結構反響がありましたので、少し具体的な話を追加します。「品質を上げるには結局どうすればいいのだ!」という質問の回答が「DevTeOps」と定義しました。これは開発(Development)と運用(Operation)それにテスト(Test)が一緒のチームとして協力して開発する手法です。
開発と運用にテストを加えた開発スキームです。なぜテストチームが必要なのか、テストチームはどのような作業ができるのか、についてお答えします。

これまでに品質を向上させるためにはテストの専門知識を持った技術者がプロジェクトに必要と説明してきました。この開発手法のように立場が異なる技術者が一緒に作業する場合は中立的に判断する技術者が必要です。それがテスト技術者です。開発の視線(製品品質)と運用の視線(利用時の品質)の両方を理解している技術者が重要といえます。
また、テスト実行だけではなく品質を向上させるいろいろな分析が必要となります。

テスト結果を分析して次の開発で改善すべきポイントを見つけることも重要です。また、運用面でみるとコールセンターへの問い合わせ内容を分析して改善点を見つけることも重要です。
コールセンターの情報は大きく三つに分類できます。「操作性の質問」「機能の要望」それに「不具合の質問」です。操作性の質問を分析するとマニュアルの不備が散見されます。記述ミス、記載漏れは分かりやすい内容ですが、そもそも見づらい。操作方法が見つけづらい、検索しづらい。直感的に操作できない等々相当な件数となります。これを解決するにはマニュアルの見直ししかありません。従来の画面を貼り付けて操作内容を記述するだけのマニュアルでは利用者は理解できません。例えば、想定される標準操作方法の手順が記載され、そこからイレギュラー処理が枝分かれするような構成にすれば、利用者の満足度は上がり、問い合わせ件数は減ります。結果的に運用コストの削減となります。
このデータは、製品品質特性に分類して分析すると次期の開発にも大いに役立ちます。
例えば、質問の内容がデータの利用にあるとします。Excelを活用して個々に分析したいとの要望が多ければ、「互換性」の機能を充実させるようにします。入力しづらいとの意見が多ければ「使用性」を重視した改善を図ればよいということになります。

このように、同じデータを異なる視線で分析することでトータル的な品質の向上が可能となります。最終的にはコールセンターへの問い合わせが減り、コストダウンとなります。
やたらとコールセンターを充実させることが顧客満足度UPと考える経営者がいますが、大きな間違いです。本来コールセンターが無くてもシステム運用ができる事が品質の良いシステムです。トータル品質を上げる事でコストダウンに挑戦してください。

次回は11月30日(水)更新予定です。

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この記事の著者

日本ナレッジ株式会社 代表取締役社長

藤井 洋一

1957年生まれ。大学卒業後、金融機関を経て27歳で創業。業種に特化したパッケージソフトウェア開発を中心にビジネス展開し、2005年からソフトウェアの品質向上の手法として、第三者検証の有効性と必要性を説き事業化。
一般社団法人 IT検証産業協会 会長
一般社団法人 コンピュータソフトウェア協会 理事兼PSQ品質基準委員会 委員長
著書:
「スポーツでの映像システム活用法」 日本文化出版
「IT検証技術者認定試験 知識試験テキスト」 BCN
日本ナレッジ株式会社

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