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第37回 「ブラック企業リスト」から見えた違反企業の傾向と、働き方改革への取り組み
今年に入り、多くの企業が長時間労働を是正して労働生産性を上げることを目的とした「働き方改革」に取り組みはじめている中、従業員の安全確保の不備や違法な長時間労働、賃金の未払いなど理不尽な業務体制を指摘される「ブラック企業」の存在がクローズアップされています。今回は、その実態に迫るとともに、企業の働き方改革への取り組みについてお伝えします。
「ブラック企業リスト」から見えた違反企業の傾向と、働き方改革への取り組み
「ブラック企業リスト」 中堅・中小企業が約7割を占める!
厚生労働省は、労働基準関係法令に違反し、1年以内に書類送検された国内企業のリストをホームページ上で公開しています。中には著名な大手企業も含まれており、「ブラック企業リスト」として関心が集まっています。では、リストに掲載された企業には、どのような傾向があるのでしょうか。
調査を実施した東京商工リサーチによれば、掲載された企業の中で、売上高が「1~5億円未満」が31.5%と最も多く、次いで「1億円未満」が23.7%、「5~10億円未満」が11.8%と、中堅・中小企業が全体の約7割を占めました。掲載企業の中ではすでに倒産・解散している企業もあり、業績悪化や資金力の乏しさが法令違反につながった可能性があると見られています。
また、業種別では建設業が34.6%と最も多く、次いで製造業が22.8%、サービス業が20.5%と続き、上位の3産業が全体の約8割を占めました。一方、金融・保険業は0.3%、不動産業は0.6%と極めて少数でした。
「働き方改革」重要なカギの一つに“ITの活用”があった!
そもそも「ブラック企業リスト」とは、安全管理や長時間労働、賃金不払いなど労働関係法令に違反した疑いで送検された企業の一覧になります。現在、最も多いのは安全管理面での違反ですが、違法な長時間労働など労働基準法における違反例も増えつつあります。このような厚生労働省による企業名公表を受けて、今後は多くの企業が従業員の「働き方改革」に着手するだろうと予想されています。
「働き方改革」の本質には、「時間・場所・個人やハンディキャップを問わず、それぞれの従業員が持てる能力を最大限に発揮できる環境を企業が提供する」ということがあります。基盤となる「労働環境の整備」はもちろん、「長時間労働・残業抑制」や「テレワーク」などを実現するためには、ITの活用が欠かせません。PC・タブレットなどの最新機器の導入や、回線・ネットワークなどのインフラ環境の整備、そして企業を守るために必須とも言えるセキュリティ対策。さまざまな観点で見直すには良い機会かもしれません。
次回は10月上旬の更新予定です。