第3回 「そもそもなぜ『組織』が必要なのか?」を考える

チームビルディング、組織活性化、コーチング・・・「組織」と「マネジメント」に関わるテーマにはさまざまな「手法」が次々と開発され、導入されます。

しかし、私の知る限り、どの手法も期待される程の成果を上げることができていないように感じます。なぜでしょうか。

私は、最も基本的かつ重要な問いが欠けたところからスタートしているからだと考えています。その問いこそ、「そもそもなぜ『組織』が必要なのか?何の為の組織なのか?」ということです。

現代は、良くも悪くも組織社会。もともと組織という「箱」が与件として与えられている場合が多いので、こういう基本的な問いを見直す機会が少なくなっています。しかし、組織を作る目的という、基本的な問いに立ち返ることなくして、いくら「どう良くするか」を議論してもなかなか上手くいきません。「コーチングやファシリテーションで何となくコミュニケーションは良くなったけど、組織の生産性が大きく上がったとは思えない」といった結果に陥りやすいのです。

ドラッカーは、なぜ組織が必要か、について明快に述べています。

「マネジメントとは、人にかかわるものである。その機能は人が恊働して成果を上げることを可能とし、強みを発揮させ、弱みを無意味なものにすることである。」

人が恊働するものが組織。そして、その組織とは、その中で人が「強み」を発揮し、他メンバーと恊働することでいつしか自身の「弱み」が目立たなくなる、そのような状態であって初めて成功していると言える、ということです。

例えば、Aさんは、製品知識はものすごく豊富だが、一方でマーケティング的な発想が弱いとします。一人で仕事をしていく上では弱みが足かせになり、なかなか事が進まない。そこにBさんというメンバーが加わり、逆にAさんが弱みとすることを強みとして仕事をしたとします。それぞれ一人で仕事をしていた時は、「制約」「問題」と捉えていた性格や能力が、組織で働くことで全く気にならなくなっている。それどころか、強みの相乗効果で、一人では想像もできなかったことが実現できるようになる。

おそらく、多くの方が「あの組織(チーム)は本当に仕事がしやすかったな」と思うのはこういう組織ではないでしょうか。

ドラッカーは、そういう組織を「意図して」作り上げることがマネジメントの重要な仕事だと言っています。実際、スポーツであれビジネスであれ、成果を上げている指導者やリーダーにインタビューすると、共通してこういう思考で組織を作り上げていることが分かります。

その為に、マネージャーに求められることは、大きくは四点だと私は考えます。

 【1】 その組織が何を達成するために存在するか、「目指す成果」を定義する
 【2】 成果を達成する為に必要な「強み」「能力」は何かを定義する
 【3】 組織に加わってもらう人材の「強み」を互いに確認し合い、その強みを全力で発揮してもらう環境を整える
 【4】 弱みを補完し合い、個々の強みが連鎖を起こすよう、同様に人材を招き入れて行く

ある人の弱みは、別の人の強みで補うことで、目的に向けて最も生産的で強い組織が生まれます。
しかし残念ながら、組織のリーダーで上記の四点をマネジメントの重要な仕事として意識している人はまれです。
どちらかというと「部下の弱みの指摘と是正」こそが、マネジメントの役割だと誤解している人も多くいます。
変化が激しく、次々に新しい改善・創造をしてかなくてはいけない時代には、そのようなマネジメントスタイルでは間違いなく早晩行き詰まります。

「強みによる貢献」へとメンバーの焦点が定まってくることで、想像もしないような力が生まれます。
それは、ITによる効率化だけでは実現できない創造的な仕事であり、製品であり、サービスであるはずです。

ドラッカーは、そういった人間の持つ無限の創造性を引き出して、大きな成果を上げることの可能性を常に信じていました。
だから、そのマネジメント理論は「いきいきとした組織」を生む為のヒントを沢山与えてくれるのだと思います。

皆さんも一度じっくり考えてみてください。

部下や同僚の方の「強み」を明確に把握して、それを組織の成果に結びつけられていますか? 

次回は3月1日更新予定です。

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