第1回 来年度W改定と未来

はじめまして。藤井と申します。これから医療や介護のことについて、日々感じていることをお話ししていこうと考えています。また、自分自身のことについても追々自己紹介していこうと思いますので、よろしくお願いします。

さて、今、医療、介護業界の方々の最大の関心ごとは、来年度の診療報酬と介護報酬の同時改定ではないでしょうか?
病院や施設の経営に直接携わっている経営者にとっては、来年以降の収入が増えるのか? 減るのか? という経営を直接左右する大きなイベントとなります。

さらにその病院や施設をお客様とする医療関連企業にとっても大きな影響があります。薬や検査などの診療点数が下がれば同時に販売価格も値下げすることになることが多くなります。
販売価格の下落額は大企業になればなるほど大きな金額になることは言うまでもありませんし、中小企業にとっても売上額の減少にでも繋がれば、一大事です。

そして患者様や利用者様にも大きな影響があります。診療報酬などが上がれば、病院などの収入は増えることになりますが、一方で患者様などの自己負担額も増えます。
また、医療を例にとると、患者という医療消費者の行動として、自己負担が増えれば受診抑制に繋がることはよく知られています。軽症な場合に受診抑制の傾向が強く出ますので、比較的軽症な患者様が多く受診する診療所や病院外来にその影響は多くでます。

また、受診抑制の結果、適正な受診機会を逃すことになり重症化してからの治療開始となるので、治癒までの医療資源や期間も今までより多くかかることになります。
このように来年度の同時改定は、様々な方面に影響を及ぼすことが考えられますが、あまり来年度の改定のことばかりにとらわれてはいけません。中長期的な視野に立っての分析も経営にとって重要です。

以前、ある方に「鷹の目と魚の目を持ちなさい」と言われたことがあります。鷹のように遠くからでも見ることができ、同時に魚のように非常に近くのものも見ることができるようにならなければいけないとの教えと解釈しました。

図1:医療・介護機能再編の方向性イメージ 出典:政府資料をもとに作成

図1は、社会保障と税の一体化改革案に示された図を基に改変した図です。
既にご覧になった方も多くいらっしゃると思います。
このような政府や厚生労働省などが作成した図の多くには、意味を持たせることがあります。
この図で気になる点は、2025年の姿の図の形状が台形に変化している点です。
これは、上にいくほど(何らかの制限により)その施設数は少なくなることを示していると考えられます。

さらに、2011年の機能から2025年に横にその機能を変化させることを意味しているのであれば、一般病床(107万床)は、高度急性期(18万床)、一般急性期病床(35万床)、亜急性期病床(26万床)と三つの病床に分かれその合計病床は79万床となります。
差は▲28万床となります。
この28万床はいったいどこにいくことになるのでしょうか?
自分たちの病院や施設は、2025年になったとき、ここにいると明確に言えますか?

将来像の着地点である2025年までに来年度を含めて同時改定が3回、そのほか診療報酬改定が4回、計7回の改定があります。
さらに、この同時期に法的な整備も進みます。厚生労働省保険局鈴木医療課長は、この2025年に向けての来年度の改定を「踏み出す足の方向と歩幅を間違わずに」と発言しています。
この発言に強い意志を感じます。

皆さんはどう思いますか?

お知らせ:来年2月、診療報酬と介護報酬のW改定のセミナーを開催します。
◆ 実践ソリューションフェア2012◆ <会場>東京・ザ・プリンスパークタワー東京
2012年2月8日(水)16:20~17:20 
「6年に一度の診療報酬・介護報酬ダブル改定!準備は大丈夫ですか?」

次回は2012年1月11日更新予定です。

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この記事の著者

株式会社FMCA 代表取締役

藤井 昌弘

1984年に医療関連企業入社。院内の各種改善活動を指導。急性期医療機関出向、帰任後、厚生労働省担当主任研究員として厚生行政の政策分析に従事。2005年退職、株式会社FMCAを設立。原価計算の導入と活用、病院移転に伴うマネジメントも実施。
株式会社FMCA

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