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【セミナーレポート】建設DXセミナー第2弾:事務所・現場・協力会社をつなぐデジタルプラットフォーム化で生産性アップを! 限りある人材が働きやすさを感じる業務環境へ
建設業のDX~フロントオフィスとバックオフィスをつなぐプラットフォーム~
DX時代における建設業の働き方・業務改革は難しい問題であり、すでに施行開始となっている各種の新たな法律への対応も必要です。そこで、大塚商会では建設業界の皆様へプラットフォームをご用意しました。今回、このプラットフォーム上でフロントオフィスとバックオフィスをつなぎ、DXを推進させる一例を紹介したセミナーの模様をレポート形式でまとめました。
なぜDXの推進が求められているのか
DXの推進が叫ばれている社会的な背景として、「人材不足」「経済情勢」「法改正」の3点がポイントとして挙げられます。
DX推進の社会的な背景
項目 | 抱えている課題 |
---|---|
人材不足 | どこの業界でも人材が不足。目の前の運用、今ある業務で手一杯、未来の戦略を考える時間がない。また、業務が属人化しており、誰かが休むと業務が進まない。 |
経済情勢 | 日本全体の競争力が低下し、人口減少で生産力も低下。長年、賃金が上がらない。 |
法改正 | 時短勤務や育児・介護の休業取得、テレワークの浸透など、時代の変化に伴い、働き方の多様化への対応。 |
また、電子帳簿保存法、働き方改革関連法、インボイス制度など、法改正への対応も求められています。課題や急ぎの対応が山積みです。このような背景がありますからこそ、デジタルによるトランスフォーメーション「DX」による変革が必要になっています。
建設業界における二つのDX
DXとは「デジタルトランスフォーメーション:デジタルによる変革」を意味し、デジタル技術を活用してビジネス全体の変革を行い、さらには新しい価値や収益を生み出す企業変革のことを指します。
大塚商会では、建設業におけるDXは大きく分けて二つあると考えています。
一つは現場のDXです。BIM / CIMを中心にして、測量、設計、施工、維持管理までをデータ一元化で全体最適を図るといったものから現場での工期短縮など、さまざまなソリューションがあります。
もう一つはオフィスのDXです。日々の営業活動や見積書作成などのフロント業務、さらに受注後の協力会社や仕入先への発注~支払業務、仕訳の入力など、バックオフィス業務へデジタル技術の活用が可能になっています。
今回はこのオフィスのDXにフォーカスを当て解説をするセミナーです。
建設業を取り巻く環境
建設業を取り巻く環境について考えてみると、建設業において大きく二つの課題が挙げられます。
一つ目は人材不足です。他の業界と同じく、建設業界でも人材の確保難が叫ばれています。建設業認可業者の減少、建設業人材の高齢化、さらには2025年にはベテラン技術者たちが大勢引退してしまうといわれています。
二つ目の課題は、建設業界のイメージとしてよくいわれている3K(「きつい」「汚い」「危険」)。この3Kのイメージを払拭する必要があり、業界が目指すべき新3Kとして「給与」「休暇」「希望」のイメージ定着を進めています。
業界のイメージを刷新し、若手層の人材確保につなげていくことが急務です。
業績向上、効率アップのための重要なキーワードとは
建設業界における業績向上、効率アップのための重要なキーワードは以下の三つが挙げられます。
- 人をつなぐ
- 仕事をつなぐ
- 未来へつなぐ
つないでいくことで、業績の向上、業務効率アップにつながり、ひいては自社を守り、生き抜いていくことができると考えるからです。
会社を強くする「オフィスのDX」推進のカギ
オフィスのDXを推進していくためには、誰が何を行っているのか、ルーティンワークの洗い出しを行う必要があります。そのために具体的な内容に掘り下げ、デジタルで最適化、効率化を進めるポイントは以下の三つと考えます。
- 重複転記、手作業の廃止
- 紙・ハンコ文化の廃止
- 業務を横断的にデジタル化
業務フローを見直し、バラバラになってしまっている業務を見直し、マンパワーの代わりにITツールを戦略的に活用してスムーズに流れる基盤を作ることが大切です。
大塚商会がおすすめするDX実現のためのITソリューション
大塚商会では、「事務所」「現場」「協力会社」の業務を三位一体でつなぎサポートする建設業界向けの「建設プラットフォーム」を用意しています。さまざまなデータ連携実現し、業務を止めないDX時代の基盤として利用可能です。
建設業のDXについて、自社内の業務にフォーカスを当てて考えてみます。
企業の中でつながる情報の中から、まずは案件情報についてご紹介します。建設プラットフォームでは、建設業向けに上流から下流まで対応できるシステムを用意し、段階的なシステムの導入が選択でき、ミニマムな運用からスタートが可能です。
次に部門間での連携についてご紹介します。
勤怠・給与業務において、紙やExcelで勤怠管理業務を行っている場合、客観的な証拠のない自己申告の勤怠内容では、確認業務に追われることになります。そのうえ、給与に関わることのため、ミスの許されない重大な業務です。集計した勤怠データや残業時間を給与システムに転記、給与システムで明細書を作成。その後、紙で印刷、投函(とうかん)して、部署ごとに配送という流れが想定されますが、手作業の紙運用が多く、手間が掛かり、ヒューマンエラーが起きるリスクもあります。
さらに建設業のよくある複数現場での勤怠管理について考えてみます。現場で働いている方は事務所にいませんので、労務管理の重要度は増します。いつどこで、どれだけ働いたのか管理が必要です。さらに各現場単位で勤怠を管理していて、複数現場での勤務がある従業員の場合、最終的に勤怠集計が必要になります。
勤怠・給与管理業務のDX
建築業界の勤怠・給与管理業務から波及する課題として以下が挙げられます。
- 勤怠データが基幹業務システムに取り込めていない
- 現場の工数集計ができないため原価管理が曖昧
- 工事が完了してからでないと最終利益が分からない
勤怠・給与管理業務の理想のDXとして、打刻集計では、タイムレコーダーやスマートフォンなど、客観的な方法で勤怠打刻を実施することでシステム上で集計が可能になります。
給与計算においては、給与システムと打刻システムを連携することで打刻データを取り込み、スムーズな給与計算が実施できます。さらに明細配信には、今まで紙で印刷を行っていた給与明細を、クラウドから従業員へ自動配信に切り替えることが可能。いつでもどこでも情報の確認が可能です。
DXを推進することで業務を電子化し、一気通貫で処理することで大幅に効率をアップが実現できます。
複数現場で勤務がある場合には勤怠システムの導入で、同一従業員の複数現場の勤怠集計も現場ごとに工数実績管理が可能です。
勤怠データや工数データは、それぞれ基幹業務システムに容易に取り組むことができ現場ごとに明確な工数集計ができるため、原価管理の把握がリアルタイムに行えます。また打刻はスマートフォンで可能ですので、タイムカードを置くことが難しい現場でも問題ありません。
申請・承認業務のDX
申請・承認業務を紙やExcelで管理している場合、申請者は急ぎであっても、一度申請を行うために外出先から事務所に戻り、申請書を作成・印刷して申請を上げる必要があります。さらに現場から事務所に戻ってきても、社内に承認者が必ず在席しているとは限りません。
一方、承認者側は外出先から事務所に戻ってくると「急ぎの承認が溜まっている」「申請内容にミスや記載漏れがある」など、申請者側にも承認者側にも非効率が発生していることがあります。
申請・承認業務のDXを進めた場合、電子化され「部長決済対象」「社長決裁対象」などの条件分岐や承認者が休暇の場合の代理承認の設定も可能です。そのほか、電子化した書類はPDFで出力したり、スマートフォンから確認ができたり業務を止めずに効率化が図れます。
大塚商会がご提案するソリューション「DX統合パッケージ」
大塚商会では、企業のDX推進における基盤作りのためのソリューション「DX統合パッケージ」をご用意しています。
各基幹業務に特化した機能はもちろん、業務に付随した「申請・承認」「情報共有」「情報の保管」までを一気通貫で行うことが可能です。データを蓄積することで可視化や需要予測ができ、日々の業務データを登録することでそのデータを活用し、新たな利益創出をつなげることができます。
さらに、大塚商会は多彩なサポート体制も注力しています。提案から稼働だけでなく、稼働後も安心してご利用いただくためのアフターサポートも万全な体制でお客様をバックアップします。IT導入補助金をはじめとした補助金、助成金などの専門チームも配置していますので、お気軽にお問い合わせいただけます。
最後に:DXの推進のポイント
大塚商会がおすすめしているのは、全体最適を見据えたソリューションのご検討です。まずは全体を見て、全ての業務ルーティンワークを精査し、その後業務をどのようにつなぐかを検討したうえで、DXを推進していく流れになります。
大塚商会では、業務支援コンサルティングもご用意しています。業務内容の分析から実施効果の提案、報告書の提出まで行います。ご不明点・ご相談がございましたら、ぜひお問い合わせください。
本記事の基となるオンラインセミナーのライブ録画の模様を、動画でご覧いただけます。
建設業のDX~フロントオフィスとバックオフィスをつなぐプラットフォーム~
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